さてさて、またまただいぶ間が空いてしまいましたが、ジュネーブショーのコンセプトカー紹介を始めたいと思います。
まずはジュネーブの華、大手カロッツェリアから。以前はイタルデザイン、ベルトーネ、ピニンファリーナ、I・DE・Aなどのイタリア勢がひとかたまりとなったブース配置だったのですが、今年からイタルデザインがフォルクスワーゲン村へ移転。いままでとは雰囲気の異なるレイアウトとなっていました。
そのイタルデザインは、VWのバッジを大きく掲げた2台のコンセプトカーを公開。本来ならば「VWのコンセプトカー」として扱うべきなのでしょうが、ここではメーカーとは別にブースを展開したイタルデザインを尊重し、あえてイタルデザインの作品として紹介したいと思います。
公開された2台は、同一プラットフォームから小型MPVと古典的ハッチバック・クーペという2つのキャラクターを展開するとどうなるか、という実験的アプローチ。VWの新プラットフォーム、MQBを用いて全長4mのEVとプラグイン・ハイブリッドを具現化しています。
どちらもスタイリングは「ジウジアーロ流」、つまりスタイリングよりもパッケージレイアウトを素直に包み込む機能性を重視。装飾的要素は少なく「イマドキのスタイリッシュさ」を持たないために、いささか退屈なデザインだと思う人もいるかもしれません。
しかしこれは「カッコよさ」をアピールするコンセプトカーではなく、新プラットフォームの展開自由度の高さ、パッケージレイアウトや搭載パワーユニットの多様性をアピールするもの。今回はEVとガソリン・ハイブリッドですが、MQBプラットフォームはこのほかに燃料電池、天然ガスなどさまざまなパワーユニットを搭載することが可能になっています。
この提案を受けたVWのデザイナーが、どのようなスタイリングを具現化し、商品化するのか。それを楽しみにしたいところですね。
●Italdesign GO! 3995mmというポロと同等の全長ながら、パサートと同じ2500mmというホイールベースを持つEV。シティカーとしての提案ですが床下、とくに座席下を中心に電池をレイアウトし、アップライトな着座姿勢とすることで搭載空間を確保。航続距離は240kmとなっています。
全長にたいして全高が大きいためにドアパネルが上下に厚くなり、鈍重に見えてしまうのを避けるためにサイドウィンドウが大きくされています。
横一文字のピラーはガラスの開閉部分の確保と、乗員に適度な「包まれ感」を与えて不安感を取り除くためのアイデア。
パッケージレイアウト図では「フルサイズSUVよりも広いキャビン」が理解できます。
GO!は特定の車種の将来形を示唆するものではありませんが「ゴルフやゴルフプラスなどのファミリー・フィーリングを損なうことなく、革新的なソリューションを提供するもの」とイタルデザインでは説明しています。未来のゴルフへの出発点だからGO!という名前なわけですね。
ダッシュボードの量感を可能な限り減らすことで室内空間の拡大に貢献するインテリア。メーターパネルはフロントガラスのすぐ後ろにある液晶モニター。
センタークラスターのスイッチはすべてタッチパネルで操作できるようにすることで省スペース化する提案。
●Italdesign TEXいっぽうTEXは3990mmの全長でハイブリッドを実現する、コンパクトクラスのスペシャリティクーペ。オーバーハングもボンネットも短いGO!と異なり、TEXは比較的長いノーズを持っています。ただしこの下には1.4リッターエンジンと駆動用モーター、それにDSGが収められています。
ちなみに車名は1948年から刊行されたイタリアの漫画「テックス・ウィラー・シリーズ」から。西部開拓時代のアリゾナを舞台に正義感溢れる主人公テックスが銃を片手に活躍するヒーローもの。
この漫画の設定が、新興国市場の開拓に乗り出し、北米工場を新設してアメリカでのシェアアップをも目論むVWの姿勢と一致するように思えるのは偶然でしょうか?
インテリアはややタイトな2+2レイアウト。FFですがセンタートンネルがあり、この中にリチウムイオン電池が収納されています。ダッシュボードは2トーンカラーで、操作系をすべて黒い樹脂パネルに集中させてコックピット感覚を演出。
またドアパネルは、通常のようにグリップやアームレストが「壁面から生える」のではなく、壁面を削り込んで室内空間を拡大し、削り残した部分がグリップとアームレストになっているという表現。
GO!とTEXの主要諸元は以下の通り
GO! Dimensions Length:3990mm
Height:1555mm
Width:1745mm
Wheelbase:2700mm
Front Track:1505mm
Rear Track:1505mm
Tyres:205/45 R18
Trunk Volume:220-525liter
Performance Maximum Speed:130km/h
0-100 km/h:11.3sec.
Powertrain Type:Electric Motor
Position:front traverse
Type:PSM
Power peak (cont.):85(45)kW
Torque:225Nm
Gearbox:single gear
Batteries Capacity:33.1kWh
Type:Li-Ion
Cooling:Water
Range:240km
TEX Dimensions Length:3990mm
Height:1355mm
Width:1750mm
Wheelbase:2595mm
Front Track:1515mm
Rear Track:1515mm
Tyres:225/35 R19
Trunk Volume:225liter
Performance Maximum Speed:220km/h
0-100 km/h:6sec.
Powertrain Type:Plug-In Hybrid
Combustion Engine Position:front traverse
Engine Displacement:1.4liter
Engine Cylinders:4
Engine Valves:16
Charger:Turbo
Power:110kW
Torque:225nm
Electric Motor Position:front traverse
Type:PSM
Power peak (cont.):85(45)kW
Torque:260Nm
Combined Power:177kW
Torque:400Nm
Gearbox:7DSG
Batteries Capacity:8.5kWh
Type:Li-Ion
Cooling:Water
Range:35km
(文:古庄速人、写真:古庄速人/イタルデザイン)