車検整備-ポルシェ 911(993)部品のチョイスもスキルのひとつ!!で、、す、よね? | フリークのブログ

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車検をご用命頂きありがとうございました<(_ _)>


車検整備の内容を、写真付きで解りやすく紹介しております。
整備の内容だけでなく、同時にお車の状況を把握する事も出来ると思いますので、
ぜひ、最後までお付き合い下さい(^^)


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本文中に専門用語なども出てまいります。
理解しにくい内容になってしまうかも知れませんが、
解説付きのだらだらと長い文章になる事を避ける為、
専門用語の使用についてはご理解下さい。
なるべく解りやすくお伝え出来る様、努めてまいります<(_ _)>


◆◆◆◆◆◆◆


それでは説明に移らせて頂きます。




スピードイエローの993。

2年程前にエンジンやミッションにある程度の手が入っているそうです。

確かに、エンジンフィーリングなどは違和感や不調感は無さそうです。

 

事前に試運転をしてもエンジン・ミッションは調子良さそう!!

でも、足回りは結構フニャフニャ。

続いて、リフトアップしてから順に診て行きましょう!!

 

 

 

フロント足回りです。

ダンパーオイル、めちゃくちゃ漏れています。

 

 

 

これは酷い。

 

 

 

ライトを当てているので分かり難いですが、下の方までしっとりと濡れています。

 

 

 

ショックベローズ(ダストカバー)も破れて無くなっていますので、ダンパーから漏れたオイルが、土や砂などを捕まえてしまい、シリンダー摺動部に溜まっています。

 

 

 

左右どちらもアウト!

よく見たら、ホースも固定されていません。

 

 

 

リヤ側。

ショックは漏れてはいませんが、状態はあまり良くなさそう。

スタビライザーのリンクロッドは破れてオイル漏れ。

 

 

 

リヤブレーキディスクはこの状態。

ブレーキパッド、殆ど当たっていない??

本当に効いていた??って状態です。

 

 

装着状態では確認が難しいので、先にディスクローターを取り外し。

研磨で対応出来るのか、それとも交換しないといけないのか・・・

研磨する事によって摩耗限度を超えるor超えないを判断し、お客様への提案をどちらに振るかを検討。

 

 

ドライブシャフトブーツは、インナー側は全周完全に破断。

 

 

 

アウター側は破れてこそは無いものの、かなり深いヒビが入っていて今にも破れそうです。

 

 

 

タイヤ。

フロントはショルダー部分がツルツル。

リヤはスリップサインぎりぎりな上、製造が2013年の10週目という古さです。

 

他にも色々あり、一通り見積もりをしてお客様にお知らせ。

 

それはそれなりの金額になった訳ですが、整備内容と金額に快諾頂きましたので、早速部品を手配します。

 

 

しかし、肝心のショックアブソーバーが問題。

純正は供給出来るのかどうかが全く不明。

本国(ドイツ)にはビルシュタインのスポーツサスペンションなら在庫があるが、これがまたハードな味付けな上に、納期が1ヶ月以上かかるとか・・・

 

 

多くの部品が国内在庫無しで、

海外にBO(バックオーダー)となる様ですが、

目安の納期が4~6週間(^^;

まぁまぁざっくりとしていますね。

 

しかも、

納期の問い合わせは不可、

途中キャンセルは不可、

金額変更の可能性あり、

しかも、

そもそもが生産終了の可能性もあるがそれも今の段階では分かりません・・・

という回答。

そして更に、コロナウィルスの影響で納期が遅れる可能性あり・・・

 

お客様には、何をどう説明すれば良いの???

 

 

 

実際、日々肌で感じている事ですが、

国内在庫が無いものに関しては、納期が遅れるだけでなく見積もりにも時間がかかり、金額が確定するのにも時間がかかり、そして納品時期も金額すらも何もかも不安定。

 

コロナ前は、滅多に無かったこんな事。

まだまだ影を落とすコロナウィルス。

 

こんな状態の中、本国と一生懸命やり取りしてくれている部品商さんには、本当に頭が下がります。

誰が悪い訳でも無い。

もう少しの我慢と、各々言い聞かせながら現状を認め、流れに寄り添うしかありません。

 

 

しかし、

使えるコネクションはしっかり活用(笑)

 

フリークでは海外のポルシェ専門パーツショップとも取引していますので、そこの担当者と念密に打ち合わせをして、結果、全ての部品をまとめて手配する事にしました。

 

 

 

ただし、

こちらは、当初購入を予定していて、お客様にも「適合するものが見つかりました」とお伝えしていたビルシュタインの足回り。

 

先述した通り、乗り味がかなりスポーティーな味付けの為、サーキットを走る様なハードな走りをする方にはいいのですが・・・

 

 

この911のオーナーの好みは、

ハードな乗り味を求めている訳では無く、

純正などオリジナリティを大切にされている方!!

 

だと、私が勝手に判断(^^;

 

まだ少しだけ時間があったので、「ドライビング」を楽しくしてくれるのか否かを大きく左右する「足回り」に関しては、もう少し深堀りさせて貰っていましたら、

 

こんなタイミングで話がもたらされるという。

まさに神がかり(笑)

 

 

「ポルシェ社」自身が、現在の最新技術で当時のショックアブソーバーをリバイバルしていて、それが手に入るという情報が舞い込んで来ました。

 

 

 

ポルシェ社の説明には、更に心くすぐられます。

当然、すぐに手配!!

 

 

 

大きな箱に入って、大量の部品が到着!

 

流石にこれだけの量となりますと、関税を払ってでも、国内で調達するよりも遥かにお安くなります。

一生懸命探してくれていた国内の部品商さんごめんなさい。

 

 

 

ポルシェ社が再生・再販したショックアブソーバー。

当時のカラーもそのまま再現しているところも、さすがです!

 

 

 

 

まずは、フロント足回りからスタート。

コイルスプリングは、

「純正のスプリングは20万キロはもつよ!」とポルシェ専門家からのお墨付きも貰いましたので再利用です。

 

 

アッパーマウントからベローズからバンプラバーから、何から何まで、スプリング以外は全て新品に!

 

 

 

改めて見ると酷い漏れです。

外したダンパーはスカスカでした。

 

 

 

組付けて行きます。

 

 

 

周辺の小さなパーツも交換です。

破断している物に関しても、

 

 

ぶら~んとなって放置されていた物に関しても、

 

 

 

部品を新しくして、それぞれの収まるべき所にきちんと収まって貰います。

 

 

フロントブレーキディスクローター。

 

 

 

結構減っていて、面が波打っています。

 

 

 

リヤも手を加えないと、これではダメ。

世界一と言われるポルシェのブレーキの、その片鱗すらありません。

 

 

 

厚さを計測。

まだ行ける!

 

 

生まれ変わりました。

 

 

 

一部錆は気になりますが、性能には全く問題無し!

次回のブレーキパッド交換まで充分に役目を果たしてくれるでしょう!

 

 

 

取り付けて行きます。

 

 

ブレーキパッドは結構摩耗。

交換必須でしたので、パッドセンサーと共に新調します。

 

 

 

キャリパーは汚れが酷かったので綺麗。

表面のクリアコートが剥がれていたので、こちらは軽くクリアーを吹いて処理しておきました。

(写真ありませんが、綺麗になりました)

 

 

 

 

 

とても綺麗になりました。

ブレーキも各所新しくなり、本来のポルシェらしいブレーキも取り戻せたでしょう!

 

 

 

センサーなどを固定するパーツも破損していましたので、それらも新品に交換。

センサーやブレーキホースがぶらりと垂れ下がっているなんて、とても恐ろしい事。

 

全て純正パーツを使用してしっかりと固定しておきました。

 

 

こちらはリヤ。

ショックアブソーバー自体漏れはありませんが、見るからに、かなりのお疲れ状態。

 

 

それに、ショック変えるなら前後セットはセオリーでしょう。

 

 

リヤも勿論フロントとセットのポルシェリバイバルショックアブソーバーを使用。

ベローズやバンプラバー、アッパーマウントも何もかも、コイルスプリング以外は全て新品に交換です。

 

 

 

長い間お疲れさまでした。

 

 

これからはあなたのDNAをしっかり引き継いだ最新のショックアブソーバーが頑張ってくれます。

 

 

反対側も取り外して分解していきます。

 

 

 

組付けて行きます。

 

 

完成。

 

 

インストール。

 

 

 

反対側も組み付け完了。

ブーツが破れてグリースが漏れていたスタビライザーリンクロッドも新品に。

 

 

 

ブーツが破れていたドライブシャフト。

ブーツ破れは車検にも通りません。

 

 

ジョイントグリースは、ロイヤルパープルのウルトラパフォーマンスグリースを使用。

レースなどでも使われる高性能・高耐久グリースです。

フリークでは、ドライブシャフトグリースにもボールジョイントグリースにも、適合する箇所には全てこのウルトラパフォーマンスグリースを使用しています。

性能が余りにも良いので安心して使用できますが、名前が長い事が難点。

 

 

完成。

 

 

外側も深いヒビが入っていたので交換済み。

 

 

 

反対側も。

 

 

ばっくり破れています。

 

 

 

ボールまで綺麗にします。

ここまで分解する事で、内部の小さなゴミや砂も取り除けますし、何より、パーツに傷や破損が無いかの判断が目視で出来ます。

 

 

 

右側組み付け。

 

 

 

左側も完了です。

 

 

リヤブレーキ。

 

 

 

残量は微妙。

パッドセンサーはもうすぐ干渉を始めます。

近い内に警告がでそうなので、交換させてもらう事に。

 

 

足回りが一通り終わったので、続いてはエンジンルームへ。

 

 

 

切れたら大変な事になるドライブベルトのメンテナンスから。

 

 

外したベルトはこの状態。

万が一にも破断するととんでもない事になっていました。

 

 

ベルトは3種類。全てポルシェ純正。

 

 

数種類のシムを使って、

 

 

 

ベルトに丁度良い張りを与えられるよう、

 

 

 

細かく調整していきます。

 

 

1本ずつ決めて行きます。

 

 

オルタネータのシュラウドカバー。

 

 

ばっくりと破れ、大きな穴が開いています。

よく破れる部品です。

 

 

新品に交換。

 

 

 

エンジンオイルの量は現在LOWレベル。

空冷ポルシェにとっては命のオイル。

 

 

ドライサンプ。

2個所から抜き取ります。

 

 

使用するのはロイヤルパープルのHPS 20W-50。

かなり高性能なエンジンオイルで、フリークに数多あるオイルの中でもトップクラスです。

 

 

ミッションオイル(&デフ)も勿論交換。

 

 

磁石付きのドレンプラグ。

 

 

綺麗に掃除してガスケットを新品に交換。

 

 

使用するオイルはこちらもロイヤルパープル。

BMW-X5やポルシェカイエンのトランスファから来る異音や振動、BMWミニの社外デフから来る酷いチャタリングも、こいつは全て綺麗に収めて来ました。

ディーラーさんで80万円です!って言われた不具合を、このオイルに変えただけで直してしまったという凄いやつ。

そんな事されたら、整備士要らんじゃん(笑)

でも、それから惚れ込んで皆さんにお勧めしています。

 

 

 

いよいよ完成です。

各所を再度点検。

 

写真はありませんが、

タイヤは4本とも、ブリジストン ポテンザ 71RS に交換。

サイズは、

・フロント 225/40R18

・リヤ 265/35R18

ですので、それだけでもそれなりの価格に・・・

 

 


最後に4輪アライメント調整を行って、全ての作業完了です。


試乗した感じはメチャクチャ良くて、

ポルシェのオリジナル足回りの良さというのを物凄く感じます!

交換前の、あの足回りは一体何だったの??

そしてブレーキも本当に素晴らしい。

 

本当に「生まれ変わり」ました。

その一翼を担えた事を嬉しく思います。



上記交換部品も含め、今回の車検で交換した部品や作業した箇所は、

 ・エンジンオイル(ロイヤルパープル HPS 20W-50)交換
 ・オイルドレンパッキン 2個所交換
 ・オイルエレメント 2個所交換
 ・ブレーキフルード(DOT4)交換
 ・ドライブベルト交換

 ・ドライブベルト調整シム

 ・フロントタイヤ 225/40R18 交換

 ・リヤタイヤ 265/35R18 交換

 ・タイヤエアバルブ交換

 ・ドライブシャフトブーツ 4箇所全て交換

 ・等速ジョイントグリース

 ・ミッション側フランジボルト交換

 ・フランジボルトスペーサー交換

 ・フロントブレーキディスクパッド交換

 ・フロントブレーキディスクパッドセンサー交換

 ・フロントブレーキディスクローター研磨

 ・リヤブレーキディスクパッド交換

 ・リヤブレーキディスクパッドセンサー交換

 ・リヤブレーキディスクローター研磨

 ・オルタネータシュラウドカバー交換

 ・フロントショックアブソーバー交換

 ・フロントアッパーマウント交換

 ・ショックベローズ交換

 ・コネクターレフト交換

 ・コネクタークリップ交換

 ・CONCAVE WASHER LOWER交換

 ・CONCAVE WASHER UPPER交換

 ・リヤショックアブソーバー交換

 ・リヤアッパーマウント交換

 ・ショックベローズ交換

 ・コイルスプリングベース交換

 ・スタビライザーマウンティング交換

 ・ミッションオイル(ロイヤルパープル マックスギア)交換

 ・ミッションオイルドレンプラグガスケット上下交換

 ・アンダーカバー固定ビス2本交換

 ・四輪アライメント調整



以上となります。


交換を必要としなかった部品につきましても、
各所点検・調整・清掃・グリースアップなど行っております。


ありがとうございました<(_ _)>


 
 <参考データ:車両走行距離  107,600km>






※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
 


 

 

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