高知県にお住まいの方からのお電話。
娘さんが乗られているフィアット500の修理に付いて。
フィアットディーラーが高知県に無いので、
実は今、愛媛県のフィアットディーラーに修理に出しているのだけれど、既に高額修理になる宣告をされている事も問題だけど、その見積もりの内容に付いて詳しい説明も無く、下取りするから買い替えるという話も出て迷っているとの事。
ここ数ヶ月で故障が立て続けに起こったので買い替えも一考してそうで、実際は一体幾らの値段をつけてくれるのか、その相談でディーラーに一度足を運んでみるが、その話次第で修理を決断する事になったら、フリークで修理は可能か！？というお話しでした。
結局、営業マンに「下取りはゼロ円」と宣言され、フィアット500はフリークに運ばれて来る事になりました・・・
※担当してくれたサービスフロントの方は親身になって相談に乗ってくれたそうで、その点は凄く感謝されていました。
ある輸入車ディーラーで整備士をしている方から衝撃の話を聞いた事があります。
「僕たちディーラーの整備士が日々学んでいるのは現行車両の故障診断＆修理方法です。そりゃ、現行の車両が直せなかったら意味がありませんもの。でも、現行から一世代前になるとちょっと分かりません。では誰が直すのか？それは僕たちの先輩が、当時その車両が現行だった頃に勉強しているから直せます。二世代前ですか？二世代前に付いても実は勉強しているんです！！ただ、勉強の内容は『買い替えに持って行ける見積りの出し方』です。つまり、高額見積もりの出し方を勉強しています。修理方法？？二世代前なんて、直すと怒られちゃいますよ。ま、直し方もよく分かりませんけどね」
この話は本当なの？？
そう思って、別のディーラーの人と話す機会があり聞きました。
すると、
「ああ！まぁ、そんな感じですね！ちなみに、うちでは一世代前で買い替え対象ですけどね！」
そりゃ、
冷蔵庫売ってる家電量販店に冷蔵庫が壊れたって話したら、
新しい冷蔵庫は電気代が安いとか収納が多いとか新しい機能が付いているとか、そんな話しになって買い替えになりますよね。
車の場合と一緒！！
ただし、念押しさせて頂きますが！！
前出のディーラーさんに付いては、
その店舗それぞれで考え方が違う所も多いでしょうし、
「直す事」に全力を注いでくれるディーラーさんも実際にあります！！
会社の方針が例え買い替え方向に完全にベクトルが向いていても、整備の担当者が直す事に一生懸命取り組んでいてくれている所だってありますから、そういう所は太刀打ち出来ないレベルで本当に凄くて強いんです。
効率を上げ売り上げ＆利益を上げて行く事に注力する事も、これもひとつ、企業としての正義です。
お客様が買い替えを検討されているのに、「直しましょう！」と強く提案し、多額の修理費用を支払って頂く事、これが悪になる事だってあります。
私たちフリークは「買い替える」お店では無く、「直す」お店ですので、もちろん修理のお話をじっくり行わせて頂きます。
当然ご予算もある事ですから、何処をどうやって節約出来るのか、そしてそのリスクはどの様なものなのかも時にはお話ししています。
その中で、「さすがにこれは修理する事はお勧め出来ません！」とお伝えする事もあります。
今回のフィアット500に付いても見積もりを行い、ご予算・ご希望をうかがった上で修理を決定して頂きました。
エラーの内容から、まず絶対ダメなのはクラッチ関連。
レリーズベアリングかレリーズフォークかのどちらかが犯人というのは分かるのですが、両者ともに壊しあう性質の為、ミッション本体を下ろしてクラッチ関連パーツは一式交換、これ鉄則ですね。
ダイヤフラムスプリングには、レリーズベアリングが暴れた痕跡が。
しかも、カラーが一部刺さったままという・・・(^^;
あ～ぁ・・・
破損したベアリングは急速に摩擦熱が加わり、溶けて粉砕していきます。
レリーズフォークの接点すらも、熱で湾曲させるという程のになります。
破損したパーツたち。
内部を綺麗に掃除。
レリーズフォーク及び上下のカラーブッシュとロックピン、そしてレリーズベアリングを新品に交換。
各摺動部には専用の潤滑グリースを塗布し、動作確認も行います。
クランクリヤシール、クラッチディスク、クラッチカバーを新品に交換。
デュアロジックも挙動が不安定。
記憶されていたエラーの中にはデュアロジックに関するものもありました。
デュアロジック交換はお客様より当初からのご依頼内容でしたので、今後安心して乗れる様に、対策済みデュアロジックに交換です。
デュアロジック・クラッチ関連の作業が完了後、安定化電源を接続してキャリブレーションを行います。
元々抱えていたエラーは全部で4つ。
手順通りに進めていきます。
全ての作業が完了。
エラーは全て消失！
走行フィーリングもGOOD！！
作業の流れの中で、
ドライブシャフトブーツが破れてグリースが飛び散っていたのと、ドライブベルトの摩耗が見受けられましたので、その辺りの整備も今回一緒に行う事を提案させて頂き、修理の了承を頂きましたので作業を行っております。
今回のクラッチオーバーホール及びデュアロジック関連作業では、
・クラッチディスク交換
・クラッチカバー交換
・クラッチレリーズベアリング交換
・クラッチレリーズフォーク交換
・クラッチレリーズフォークブッシュ上下交換
・クラッチレリーズフォークロックリング交換
・ミッションオイル交換
・ロングライフクーラント交換
・デュアロジックユニットASSY交換
・コントロールユニットキャリブレーション
・ドライブシャフト左側アウターブーツ交換
・ブーツバンド大/小交換
・ハブロックナット交換
・等速ジョイントグリース
・ドライブベルト交換
・ドライブベルトテンショナーベアリング交換
・ドライブベルトアイドラベアリング交換
以上の作業を行っております。
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
＜参考データ：車両走行距離 104,700km＞
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
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