発進時や加速時にクラッチジャダーが発生するという症状で岡山県からご相談頂いたお客様。
既にディーラーさんでは診断済みで、間違いなくクラッチが原因です！という診断結果を携えて、週末に岡山県からご来店頂きました。
「それなら診て貰ったディーラーさんで直して貰ったらいいのに」というご意見もあろうかとは思いますが・・・
担当者とそりが合わなかったり、作業費用の折り合いがつかなかったり、そんなこんなよりも「一度フリークを利用してみたかった」とかもあるかもしれませんし(笑)
私の思慮の範疇では及ばない、色んな事を取捨選択した上で弊社にお越し頂くお客様が非常に多いです。
だから敢えてお断りするでもなく、
「何故弊社に？？」なんて聞く訳でも無く、
「ご来店頂く」という結果をお客様側で出して頂いた以上、
その結論を導いて頂いたお客様に対して精一杯出来る事を行わせて頂いています。
ちなみに、
弊社はディーラーさんより安い訳ではありません。
もちろん価格面で相談させて頂いていく中で、一部純正部品では無く「優良部品」を使用したり、何かしらちょっとオマケしたりする事はありはしますが、決してディーラさんより安い訳では無く、時にはディーラーさんの見積もりよりも高くなる事だってあります。
余談になりますが、
「安さ」を求めて来られる新規のお客様が時々来店されていた頃（5～6年前位）、うちの奥さんに、
「当社は四国で一番高いお店です！！」
という看板を作ろうと考えている事を伝えました。
掲げる場所もだいたい決めていて、必死に説得しましたが、敢え無く却下・・・
結果その看板は現在も作られる事無く、構想のみで止まっています。
でも、それから色々考えました。
そういう事って、内から出て来るものではないかな？？と。
比喩としてはちょっとずれていると思いますが、
お金持っている人って、「私はお金持ち」とは言わないんですよね。
でも、お金の無い人って、妙に「お金がある」をアピールして来ます。
頑張ってない人ほど、「頑張ってるのに！」と言って来るし、
運転の下手な人ほど「自分は運転が上手い」とアピールして来られます。
そういう事って、自ら発信するものでは無くて、周りの人が評価するものなので、余りにもアピールされ続けられると、ちょっと引いてしまう事があります。
すみません。
何か日曜朝から「毒」吐いてて(^^;
つまり、
「〇ッグモーターとコバッ〇で見積もりして来たんだけど、それより安くなる！？」と言って来店されるという事は、まだまだ私が想う「フリーク」になれていないという事であって、来店されるお客様がどうとか言うより、原因は自分自身であると反省し、今日に至っても尚、研鑽の日々を続けています（結局、自分で言うんかい！笑）
今回ご来店のパサートヴァリアントのお客様に対しての誤解が無きよう捕捉させて頂きますが、請求額は結果ディーラーさんと殆ど同じです。
しかし、ご来店して頂くにあたり、
お住まいの地域のディーラーさんへの入庫であれば余計な出費は不要だったでしょうが、遠く愛媛県にお越し頂くにあたり、高速道路費用（特に本州から四国へは橋を渡る必要がありますので費用が割り増しになります）、ガソリン代、貴重な時間、それらをご来店時と納車時にそれぞれ発生してしまう事を全くとしていとわず、更には「お土産」までご持参頂くという男前。
頭が下がります。
早速診断を進めて行きます。
診断機を接続してフォルトチェック、そして試運転・・・と進めて行く訳ですが、最初の診断の時点で、
えっ！？
ミスファイヤー！？
まさか、ミスファイアをジャダーと誤診した訳じゃないよね！？
(ホンダ車などでよく誤診がありますよね）
ちょっと不安になってお客様にも確認してみましたら、どうやらこのフォルトはコイルをご自身で交換された際のものの様。
その後試運転をしましたが、やはりジャダーが発生しています。
ボンネット内には有刺鉄線が(笑)
猫バンバンし忘れても安心ですね。
ミッションを降ろします。
今回は、フライホイールまで交換します。
トラブル、ちらほら報告されているそうです。
乾式クラッチ用のSSTです。
SSTを使用すると、この様に真上を向いた状態で固定出来ます。
くらっち交換作業は、この様に真上を向いた状態にて行います。
純正クラッチはLuKのものです。
今回使用する新品クラッチもフライホイールも、そしてSSTまでも、フリークでは全てLuKの物を使用します。
現在の摩耗度を見てみます。
かなり上下に動いています。
こんなにガタがあってはいけません。
順に取り外して行きます。
SSTを使って、まずは土台をセット。
均等に真っ直ぐ上に引き上げます。
クラッチ部分は全て取り外し完了。
レリーズベアリングとフォークです。
こちらも順番に取り外し。
レリーズフォークごと、全て新しい物に交換します。
トルク締めからの、
角度締め。
レリーズベアリングとフォークを組み付けたら、
次はクラッチに移りますが・・・、
シム選択が必要です。
個体差がありますので、ベストなシムを選択し、精度高く組み上げて行きます。
シムには厚みは記載がありませんので、実寸を計測して行きます。
このシム。
組み付けます。
またまたSSTの出番。
セットして、
完璧なクリアランスを確保。
続いて、またまたシム選択。
このシムで。
再びSSTを使用。
シム選択が終わったら、クラッチ構成部品を組み上げて行きます。
全て規定トルクにて組み付けて行きます。
組み上がりました。
セット位置も合っています。
SSTを使用して、狙っているクリアランスになっているかをチェック。
まさに、狙い通りのクリアランスです。
フライホイールも新品です。
ミッションを取り付けて元通り。
安定化電源を繋いで、クラッチ交換後の作業に移ります。
必要な学習を行い、作業完了です。
この後試運転を行いましたが、
「DSGって、こんなに良いフィーリングなの！？」と、スタッフ全員が驚き！！
最後にサービスショット(笑)
全て一体となっているクラッチセットですが、グラインダーで接続部分を切り落とし、中身を分解してみました。
私、
「なるほど！！こんな構造になっているのか！！」と、
スタッフの前では驚いて見せたものの、
本当は、
「何のこっちゃ！？
頭の偉い人たちの作ったこれは何か知らないけど、
なんかすっげーや！」
ってレベルの知能。
ま、でも、
こんな遠く離れた整備工場を選択して頂いたお客様への感謝を、結果という形でお返し出来た事には大満足です。
実際、ディーラーさんでもここまでの精度は求めていないという事は、多方面から確かな情報として耳に入っています。
自己満足と言われればそれまでかも知れませんが、逆に、自己すら満足させられない整備をして「完成」とさせられる様な柔軟な性格ではありませんので・・・
本日もたくさん学ばせて頂きました！
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
＜参考データ：車両走行距離 102,200km＞
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
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