エンジンがかからない、ハンドルロックも解けなくて押して動かす事も出来ないというR55ミニ クラブマンがレッカー搬送にて入庫して来ました。
同業者さんからのご依頼です。
キーを差してスタートボタンを押すと、メーターパネルに真っ赤なハンドル＆鍵マークが表示されるだけで、うんともすんとも言いません。
診断機を接続してフォルトチェック。
診断結果はCASユニット故障。
CASユニット故障と出たからと言って、軽佻にCASユニットを交換する訳には行きません。
CASユニットがダメなのか、それともステアリングシャフトロックがダメなのか、切り分けが必要です。
調べて行くと、CASユニットからロック解除の信号が出ていません。
※今回の切り分けにはオシロとサーキットテスターを使いました（青森県・須藤さんが送ってくれた波形データと配線図を参照しました）。今後の同様トラブル入庫の際は切り分けが簡単に出来る様にとシュミレータ―を購入しましたが（福岡県の島本さんからそんな物があるという事を教わりました）、今回の事案解決までには入荷が間に合わず・・・次回に期待です。
ELVのカウンターリセットを行います。
CASユニットは、ダッシュボード天板を取り外した、
こんなところに隠れています。
これがCASユニット。
セキュリティに関する部品の為、「外販不可部品」とされ基本手に入りませんが、弊社ではBMWジャパンにてVIN登録の行われたCASユニットの新品が手に入ります。
古いユニットを、
新しいものに交換。
エンジン始動！！！
が、しかし問題が！
赤丸＆青丸は、共にパワーウィンドースイッチですが、
赤丸を上下すると、本来運転席側（右側）のパワーウィンドーが上下するはずが、何故か助手席側（左側）のパワーウィンドーが上下します。
青丸の方も同じ様に、上下すると何故か運転席側のパワーウィンドーが上下します。
診断機を接続して各車両設定を確認しても、右ハンドル仕様になっていて、パワーウィンドーの項目から入って行っても、運転席側の動作では右側が、助手席側の動作では左側がきちんと作動する。
こうなってしまう原因は、CASユニットが新しくなったせいで、FRMユニットなどとの整合性が取れなくなってしまった事の様（ミニ愛媛さんから助言多々頂きました）。
続いてCASのコーディングに入る訳ですが、実はもう一点この車には問題が(^^;
オーディオが社外に交換されていて、純正オーディオが他所に移設されている訳では無い様です。もちろん純正機の積み込みもありません。
この場合、だいたいプログラミング関係は成功しません。
（オーディオ交換しているBMW全般に言える事ですが）
果たしてコーディングが成功するのか？？
ISTA（BMW純正診断機）での診断の中でもよくツリー途中で引っ掛かっているけれど、今回のパターンの場合、基本的にコーディングを含めリプロ関連も不可の可能性が・・・
まあ、出来るのか出来ないのかの判断は、結局やってみるしかないので、コーディング、始めちゃいましょう！
ISTAにてコーディングを開始。
新しくしたユニット選択で「CAS」をチェック。
エキスパートモードにてコーディング開始。
CASのプログラミング。
続いてKOMBIのプログラミング。
これが完了すれば、このツリーはクリア！という事に。
セットでコーディング（プログラミング）完了出来ました！
良かった～(^^)
コーディング結果も表示されます。
全て正常に終了です。
（プリントアウトにも飛ばしたけど、結局プリンターまで距離があり過ぎて印刷されずでしたが）
全てのセッションが終了し、各スイッチの動作確認を実施。
全て正常に動作（パワーウィンドースイッチは、もちろん右は右、左は左に）する事を確認し、最後に改めて全ての項目に付いてトータル診断を実施。
ついでにサービスインターバルで期限の更新が必要なものに付いて、入庫頂いた同業者さんに了承を得た上で更新作業を実施。
ついでに、簡単に点検も実施。
エンジンオイルがLOWレベルだったので、FULLレベルまでエンジンオイルを補充。
他は問題無さそうなので、（探せば幾らでも出て来そうでしたが・・・）そっとボンネットを閉めて(笑)、全ての作業終了です。
ご用命、ありがとうございました<(_ _)>
＜参考データ：車両走行距離 107,600km＞
■作業メカニック － 野間雄司
■写真撮影 － 野間雄司
■文 － 野間雄司
※同じ内容の故障事例でも、作業内容や手順、個体差や経年劣化、部品価格の変動等により必ずしも同一価格・同一修理とはなりません。上記価格や修理内容を他の整備工場さんに強要する様な行為はお控え下さい。
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愛媛新聞社の「マイベストプロ」に掲載されました
