今度の米国産は“変?”ではないですよ~『ゴジラ』(ギャレス・エドワーズ監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『ゴジラ』(原題:Godzilla /2014年アメリカ/123分)

監督:ギャレス・エドワーズ

脚本:マックス・ボレンスタイン、フランク・ダラボン、デヴィッド・キャラハム、ドリュー・ピアース、デヴィッド・S・ゴイヤー

原案:デヴィッド・キャラハム

原作:東宝株式会社

製作:メアリー・ペアレント、ジョン・ジャシュニ、トーマス・タル、ブライアン・ロジャース

製作総指揮:坂野義光、奥平謙二、アレックス・ガルシア、パトリシア・ウィッチャー

視覚効果:ジム・ライジール

音楽:アレクサンドル・デスプラ

撮影:シェイマス・マクガーヴェイ

編集:ボブ・ダグセイ

出演者:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン、ブライアン・クランストン

100点満点中141続編が企画されていると言うので・・・)

 

 以下、 “ネタバレ”があります。知りたくない方はご遠慮ください。



 東宝製作の同名映画の怪獣キャラクターを使い、ハリウッドの巨大資本を投じ、レジェンダリー・ピクチャーズが製作したSF怪獣作品。

 アメリカ資本で製作された1998年の前作と違って、東宝のオリジナルシリーズをリスペクトして作られた感がありありで、ゴジラ関係者、映画批評家、すでに見たファンからも高い評価を受けた傑作です。本当におもしろい!

 怪獣映画が大好物な私には、また、 弩ストライク”の作品が、また登場したということで、頭の中の狂喜乱舞が収まりません。

 しかも、あくまでも噂に域を出ませんが・・・続編の製作も決まったとのことで、しばらくこの興奮は収まることはないでしょう。



 監督のギャレス・エドワーズはイギリス出身。『スターウォーズ』を観たことで、自分の進路を決定したと言い、「ゴジラ」の大ファンでもあるといいます。メキシコを舞台にした、2010年のSF作品『モンスターズ/地球外生命体』では監督・撮影・脚本・視覚効果を担当しました。



 脚本に名を連ねているフランク・ダラボン(↑)はフランス出身のハンガリー人で、幼少期にアメリカに移住しました。スティーヴン・キングの小説を映像化することが得意な監督であり脚本家でもあります。1994年の『ショーシャンクの空に』、1999年の『グリーンマイル』が有名ですね。個人的には、2007年のモンスター・パニック作品『ミスト』がお薦めです。ジョージ・ルーカスやスティーヴン・スピルバーグの作品にノンクレジットで、脚本構成に参加するほどの実力派で、今回もその力量を買われて『ゴジラ』の脚本に参加しています。

 また、同じく脚本に名を連ねているドリュー・ピアーズは『アイアンマン3』の脚本を担当し、同じくロバート・ダウニー・Jr主演の『シャーロック・ホームズ』シリーズの3作目の脚本を執筆中です。



 主演のアーロン・テイラー=ジョンソンは「フォード・ブローディ」大尉を演じます。この役は、爆弾処理を専門とする米海軍技術士官で、少年期に、原子力発電所の事故で母親を亡くしてしまった悲しい過去を持つ青年です。看護師の妻と5歳になる息子を持っています。ジョンソン本人は、イギリスの俳優で、2009年の『ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ』でThe Beatlesのメンバー、「ジョン・レノン」の少年期を演じ、2010年の『キック・アス』で、下町のヒーロー「キック・アス」を演じました。2013年にはその続編『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』にも出演しました。




 エリザベス・オルセンは、妻「エル・ブロディ」を演じます。この役はサンフランシスコ総合病院勤務の看護師で、海軍勤務の夫を待つ健気な女性です。オルセン自身はロサンゼルス出身の歌手であり、女優です。姉二人はアシュレー・オルセンとメアリー=ケイト・オルセンの「オルセン姉妹」です。2011年の『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で長編作品に本格デビューしています。以前、この作品の事は記事にしています。( http://ameblo.jp/captainf5525/entry-11836534347.html



 渡辺 謙は、古代生物学者「芹沢猪四郎」を演じます。こてこての役名ですが、ご存じのとおり、1954年公開の『ゴジラ』で、オキシジェン・デストロイヤーという最終兵器を使用し、「ゴジラ」と共に海に没した「芹沢大輔」博士と『ゴジラ』シリーズの監督、本田猪四郎に由来しているということです。役自体は、多国籍研究機関「MONACH(モナーク)」の首席研究員で、ある古代生物の生態を研究しています。




 今作は、本邦で製作された『ゴジラ』シリーズのリブート作品ということで、様々な設定が、大きく変更されていますが、当の「ゴジラ」や他の巨大生物の設定自体が大きく変更されています。以下、その特徴を列記いたしますと・・・


○オリジナル版ではジュラ紀から白亜紀にかけて生息していた巨大生物であった「ゴジラ」に対し、今作の「ゴジラ」は説得力を持たせるため、古生物学における最新の学説(架空)に基づき、より古いペルム紀に生息する海棲爬虫類から陸上獣類への進化過程に生息し、今の人類のように当時の生態系の頂点に立っていた種族の末裔であると設定されています。

○これまで説明が希薄だった「ゴジラ」のエネルギー源が具体化されていて、「ゴジラ」は深深度のマントル内のウランを摂取し、体内にある“原子炉のような器官”を使って、自ら莫大な核熱エネルギーを生成することが可能という設定です。

○この“原子炉のような器官”を持ったせいで、「ゴジラ」の天敵となる「M.U.T.O.(ムートー)」という巨大生物が登場します。この生物は放射能をエネルギー源にし、繁殖に際しては、ある種の蜂が他の昆虫に卵を産み付け寄生するように、「ゴジラ」を宿主として寄生する生態であると推理されています。ちなみに、「M.U.T.O.」はMassive Unidentified Terrestrial Organism (未確認巨大陸生生命体)の略ということです。

○この「M.U.T.O.」なる巨大生物は雌雄があり、ゴキブリに似た昆虫のようスタイル(↓)で、雄は雌に比べてやや小型で、羽を持ち長距離の飛行が可能です。雌は腹にたくさんの卵を抱え、「ゴジラ」と同等程度の大型の生物で、仮死状態となって何千年も耐久し、子孫を残そうとします。昨今の人類による原子力発電所の建設で、次世代の「M.U.T.O.」は「ゴジラ」に寄生せず、人間が作った原子力発電所に“寄生”します。




・・・なので、今作では、「人類」VS.「ゴジラ」という単純な構図ではなく、

「M.U.T.O.」VS.「ゴジラ」の生存競争に「人類」が巻き込まれ、文明社会が存亡の危機に瀕するという設定であり、「ゴジラ」は地球規模の均衡を支配する“地球神”のような存在です。この点、金子修介監督の『平成ガメラ三部作』に設定が似ていますね。ご興味があったら、『平成ガメラ三部作』もご覧ください。

*『平成ガメラ三部作』・・・『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)、『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999年)

















(*公開中のため、あらすじは控えます。)