ちょっと踏込みが甘い気も....『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(ジョーン・ダーキン監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(原題:Martha Marcy May Marlene/2011年アメリカ/102分)

監督・脚本:ショーン・ダーキン

製作:アントニオ・カンポス、パトリック・S・カニンガム、クリス・メイバッハ、ジョシュ・モンド

製作総指揮:テッド・ホープ、シアミ・キム、シャローム・キム、マット・パルミエリ、アレクサンダー・シェプスマン

音楽:ダニエル・ベンシ、サンドラ・ジュリアンズ

撮影:ジョディ・リー・リプス

編集:ザッカリー・スチュアート=ポンティア

出演者:エリザベス・オルセン、ジョン・ホークス、サラ・ポールソン、ヒュー・ダンシー、ブラディ・コーベット、クリストファー・アボット、マリア・ディッツィア、ジュリア・ガーナー、ルイーザ・クラウゼら

100点満点中67点




 騙され、約2年間カルト集団に身を置いた経験から、通常の生活に戻る事に支障をきたす女性の苦悩を描いたヒューマン・スリラー。

 ただ、集団内で、どんなマインドコントロールが行われていたかは、ほとんど描かれていないため、思ったほどのインパクトはなく、主人公が何故、日々幻影を見たり、フラッシュバックに苛まれたり、恐怖感を抱くのかが納得できない内容です。実に惜しい・・・




 主演のエリザベス・オルセンは「マーサ」を演じます。この役は十代で両親を失い、多くはないであろう遺産目当てにカルト集団に連れてこられ、性的暴行を受けたり、動物虐待や強盗を強要された2年間を過ごした経験を持つ女性です。本人はこの作品で有名になり、2013年の『オールド・ボーイ』に出演し、もうすぐ、本邦公開のアメリカ版『GODZILLAゴジラ』にも主役級の役で出演しています。存在感のある個性的な顔立ちの美女です。彼女出なかったら・・・今作の価値は相当下がったろうと思います。


 ジョン・パーキンズはカルト集団のリーダー「パトリック」を演じます。この役は、若い男女を集め、資本主義の否定からくるアナーキズムが自給自足の生活を目指しすが、窃盗・強盗なくしては、一日一食の食事にも困る集団をまとめている人物で、儀式と称し、自分の欲望のまま、グループ内の女性を次々と性欲のはけ口とする偽善者です。裕福そうな邸宅を襲って、場合によっては、メンバーに住人を襲わせます。




 「マーサ」は約2年間の集団生活の後、このリーダーのやり方に耐えられず、脱走するが、姉との静かな生活に戻っても、集団での体験がフラッシュバックし、または、幻影・幻聴をみるようになり、たびたび異常行動を起こすようになります。


(あらすじ)

 「マーサ」は、早くに父を亡くし母と姉と暮らしていたが、姉「ルーシー」が大学生の時、最愛の母もなくなってしまう。姉に頼りたかったが、姉は帰ってこず、孤独に苛まれた挙句、同年代の少女「ゾーイ」の勧めでカルト集団の仲間入りをする。「マーサ」は集団のリーダー「パトリック」が名づけた「マーシー・メイ」を名乗り、ここで約2年間を過ごすが、ある事件をきっかけに脱走をする。

 ほとんど着の身着のままで近くの町にたどり着き、姉「ルーシー」に助けを求める。

 この日から姉夫婦と同居することとなるが、「マーサ」は、集団にいた頃の「マーシー・メイ」の記憶がたびたび甦り、現実を逃避したような言動を繰り返したり、幻覚のようなものを見たり、義理の兄らに暴言を吐くなど日常生活に支障をきたすようになる。