読んだことないけど...『ジェイン・オースティンの読書会』(ロビン・スウィコード監督・脚本作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『ジェイン・オースティンの読書会』(原題:The Jane Austen Book Club /2007年アメリカ/106分)

監督・脚本:ロビン・スウィコード

原作:カレン・ジョイ・ファウラー

製作:ジョン・コーリー、ジュリー・リン、ダイアナ・ナッパー

製作総指揮:マーシャル・ローズ

音楽:アーロン・ジグマン

撮影:ジョン・トゥーン

編集:メリアン・ブランドン

出演者:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エイミー・ブラント、エイミー・ブレネマン、マギー・グレイス、ヒュー・ダンシー、ケヴィン・ゼガーズ、ジミー・スミッツら

100点満点中82



 カレン・ジョイ・ファウラーの同名小説を原作としたヒューマン作品。

 6人の男女が、ジェイン・オースティンの長編小説6作をテーマとする「読書会」を企画・実施するのですが、彼らが織り成す人間模様を、オースティン作品の主題と絡めてストーリーが進む展開です。この映像作品自体の大命題は“家族・友人・恋愛という人間関係を真摯に見つめ直す”ということです。

 オースティン作品を読み進めていく中で、登場人物のものの考え方や人間関係が中盤から微妙に変化していき、ラスト近くで大きく変わっていく様が、なるほどと“腑に落ちる”結末です。・・・なので、地味な作品ですが、私の評価は82点です。

*「ジェイン・オースティン」・・・ 1775年12月16日 ~1817年7月18日。イギリスの小説家、18世紀から19世紀イングランドにおける田舎の中流社会を舞台として、女性の私生活を結婚を中心として皮肉と愛情を込めて描き、その作品は近代イギリス長編小説の頂点とみなされている。また英語における自由間接話法(描出話法)の発達に大きく貢献したことでも知られる。主要作品は、『分別と多感』『高慢と偏見』『エマ』『マンスフィールド・パーク』『ノーサンガー僧院』『説得』の6作品。(WIKIより)


 今作を鑑賞なさる前に、あらかじめこの小説6作のストーリーを把握しないと楽しめない作品かというと、必ずしもそうとは言えません。むしろ、今作を鑑賞後、オースティン作品に興味を持って、小説を読み始めるというのでもいいのではないでしょうか?


 「読書会」という“集まり”は、私の周りでは全く見たことも聞いたこともありませんが、日本でこのような同好会的アクティビティは、たくさんあるのでしょうか?作品の中では、全く赤の他人であっても、気を置かずに参加を勧誘するのですが、日本人にはこのような社交性や習慣はあまりないように感じます。・・・ですから、やや好奇の目でこの作品を鑑賞していました。


*「読書会」・・・集団で読書または読書に関するコミュニケーションを行うためのイベント、またはイベントを開催するグループである。アメリカにおける読書会の形態として最も普及している形式は、一般にブッククラブと呼ばれている。ブッククラブでは、ある程度固定されたメンバーによって不定期にイベントとして開催される。イベントの内容は、特定の本をそのイベントのテーマとしてメンバーが事前に読んでおき、イベント当日にはテーマとなる本の内容についてメンバー同士で自由にディスカッションするというスタイルが一般的である。(WIKIより)



 監督と脚本を兼任するロビン・スウィコードは1952年サウスカロライナ州出身で、夫は『欲望という名の電車』、『波止場』、『エデンの東』などの作品を手掛けた監督エリア・カザンの息子ニコラス・カザンで、彼も脚本家です。また、娘のゾーイ・カザンは女優であり、脚本家です。ゾーイの出演作で印象的なのは、パートナーのポール・ダノ主演の『ルビー・スパークス』です。この作品では、ダノと彼女は製作総指揮に名を連ねています。



 出演者では、エイミー・ブラントが「プルーディー」を演じます。この役は、高校生から言い寄られるフランス語の教師で、亭主との関係が冷え切っているせいで、この誘惑に負けそうになります。母親との関係も良好とはいえず、対人関係は相当不得手です。ブラント自身は、最近作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』に機動歩兵軍曹の役で出演しています。




 マギー・グレイスは「アレグラ」を演じます。この役は、両親が離婚の危機に瀕した20代前半の娘で、レズビアンです。グレイス自身はテレビシリーズ『LOST』に「シャノン・ルサフォード」役でレギュラー出演して有名になり、2008年の『96時間』と続編の『96時間/リベンジ』で、リーアム・ニーソン演じる「ブライアン・ミルズ」の娘「キム」を演じました。


(あらすじ)

 「シルヴィア」とその娘「アレグラ」そして「バーナデッド」は、葬儀に参加している。大型犬リッジ・バックのブリーダーである「ジョスリン」の愛犬がこの世を去ったからだ。「ジョスリン」は、未婚で40代半ばの女性であるが、他に家族がいないせいもあって、この愛犬の死が相当こたえている様子である。「シルビア」と娘「アレグラ」は、失意の底にいる「ジョスリン」を慰め、また、互いの友情を再確認しようと、「バーナテッド」が“人生の解毒剤”として勧めるジェイン・オースティンの読書会を企画する。オースティンの代表作は6作あることから、あと2人を誘って、毎月1作品づつ持ち回りで担当し、研究会式に意見交換をする形式とした。

 高校のフランス語教師「プルーディー」は、セクシーでキュートな男子高校生「トレイ」から目が離せない。夫は夫婦関係よりも自分の趣味を優先させるし、単調な毎日にうんざりしている。ある晩、接待と言ってNBA観戦に行ってしまった夫のワガママに我慢ができず、映画館の前で号泣していると・・・「バーナテッド」から声を掛けられ、読書会に勧誘される。

 「シルヴィア」は、優しいと思っていた夫「ダニエル」から、離婚を切り出される。会社の部下の女性と暮らしたいと言われたのだ。この事実は「ジョスリン」の耳にも入り、偶然出会ったITサポート企業で働くSF小説マニアの「グレッグ」を「シルヴィア」に紹介しようと、読書会に勧誘する。

 こうして、「シルヴィア」、「バーナデッド」、「ジョスリン」の3人に「アレグラ」と高校教師「プルーディー」、SF小説マニアで、オースティン作品が初めての「グレッグ」が加わって、ジェイン・オースティンの読書会が始まるのであるが、20代~40代の各世代間のギャップや生活環境、生い立ちの違いによって、作品自体や登場人物に対する意見が大分違ってくると同時に、お互いの人間性が作用し、それぞれの生き方・考え方が大きく変化していくととになるのだが・・・