ロビンが入っている二頭房は、昔は別の部屋だった。
うす暗くて、殺処分前の猫たちが置かれていた。
この時代を忘れることができない。
毎日のようにガス室が稼働し、煙が上がっていた。
飼い主が放棄した犬猫や、警察や市役所から回収された犬猫は、その日のうちに殺処分され、煙となった。
この子は顔をあげてこちらをチラッと見るようになった。
だんだんとここに馴染み、安心してきたのだろう。
壁の傷
と、アメリカ、シアトル市から来たリアさんは眉をひそめた。
リアさんとはガガやエドを引き出した。
あの2年前から、個別房は広がることもなく、散歩ボランティアを指導センターは受け入れてくれない。
清春。
咬むと書いてあるが、どの程度の咬みなのか、
フードアグレッシブか、怖くてパニックになるか、喜びの甘噛みか、
噛むといっても、様々だから。
怖くてパニックになるなら犬は環境に慣れて人と馴染むとだんだん馴化していく。
犬は社会的な生き物だから。
なかには触っちゃいけない犬もいる。そういう犬は譲渡はできない。分かった方にしか扱えない。シェルターで一生を終えるだろうが毎日の散歩やドッグラン出しはきちんとやれている。
フェンス持ち、慎重に通路から。
やがて古墳ドッグランに出したい。
左 手前から、大部屋56789号室
限られた数の人馴れした犬だけが時折散歩に連れ出されます。
委託業者が収容犬猫の世話をするのですが、人手が足りません。
譲渡困難とされるビビリ犬や引きの強い犬には、排泄や慣らしのための散歩が必要なはずですが、扱えるスタッフは限られており、ほとんど行われていません。
それでもドッグトレーナーさんはじめ、スタッフの皆さんは、限られた時間のなかで、精一杯努力され、名前を呼びおやつを与え、慣らしに尽力されています。
糞尿をしたらスタッフが清掃し片付け水を流します。そのため、床は濡れていることがあります。
ニットイーターでなければ、敷物はなるべく敷くようになっていることにはホッとします。
が、お散歩もなく食べる場所と排泄場所が同じのケージ大の狭い空間に何ヶ月も閉じ込めたり、部屋に未去勢・未避妊の犬を20も30も詰め込む管理の仕方は、現在私たちが一般的に犬の飼い方として認識するあり方とはかけ離れたものです。
茨城県動物指導センターの施設は狂犬病予防法に基づく大量殺処分が平然と行われていた時代の野犬抑留施設のままです。
1、2号室が個別房に変わり、エアコンが付き、猫舎コンテナが2棟でき、ドッグランができたのは大きな前進ではありますが、県民の手本となる飼い方が学べるような施設とは言えません。
県のセンターの分散化は、県議会副議長の館静馬さんも以前より提案されています。
県内に、動物愛護センター、動物共生センター、譲渡啓発センターといった施設がオープンするのはいつの日でしょうか。
県のセンターの分散化を図らないと、笠間のセンター一ヶ所だけではやり切れません。
このままでは、ゴミ処理場と同じ扱いです。
個別房の壁のシミや引っ掻き傷を見るたびに、
どれだけ多くの犬がこの房を通過してガス室に入ったのだろうか考えます。
9号室裏通路
ガス室に繋がる最期の通路。
いったんここに入れば二度と生きて出ることのできなかった犬たち。
当たり前のように殺されてきた時代がありました。
多頭飼育崩壊場から来た未手術のメス2頭。
避妊手術を受けたメスたちは、負傷棟にいました。
慣れ具合や引き具合を見るため、トレーナーさんに個別房の犬をお散歩してもらいました。
可愛くておりこう。
すぐに飼い主さんが見つかりそうです。
by鶴田真子美(おかめ)