赤ちゃん猫を保護したら2~ミルク・離乳編 | CAPIN(キャピン)公式活動報告

CAPIN(キャピン)公式活動報告

認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
公式ブログ

「赤ちゃん猫を保護したら」詳細続編となります。

 

基本的な必要な情報は、こちらのサイトに網羅してあると言っても過言ではありませんので、ぜひご一読下さい。

子猫のへや「子猫の育て方・実践編」>>>

週齢ごとのミルク量、体重変化の目安、成長の経過などが紹介されています。

 

今回はミルク・離乳についてポイントをご紹介します。

 

(1)授乳

猫用粉ミルクを少量ずつ、1日通して何度も授乳します。牛乳は下痢するので与えないで下さい。

ミルクが入手できるまで代用ミルクの作り方>>>

 

←免疫力アップ、初乳成分入りミルクもオススメです

 

【シリンジによる授乳】

→生後1週間前後のとても小さな子猫や、自力で飲む力が弱い子猫の場合

 

生後1週間以内などあまりに小さい場合、まだ哺乳瓶の乳首が大きいので細いシリンジで、ごく少量ずつゆっくりとお口に含ませ、

誤嚥(※)しないよう時間をかけて与えます。

(※誤嚥=飲食物が食道でなく気管に入ってしまい肺炎になる危険があること)

シリンジはミリ単位で根気よく、少しずつ押し出します。

 

 

シリンジは握るように持ち、親指で押していくと、人差し指の場合よりも加減をコントロールしやすいです

シリンジのガスケットのゴムは1~2日で劣化し、硬くて滑りが悪くなります

(獣医さんによると、洗剤で洗うと特に潤滑油が取れてしまい硬くなるので、使用後はぬるま湯でよく洗うのが良いそうです)。

固くなったガスケットのまま使っていると、押し子が思いがけず大きく動き、ミルクが一気に口に入ると誤嚥の危険があります。

シリンジは獣医さんでこまめにもらうか、高いものではないので通販などで用意し、順次交換しながら使うと安心です。

 

シリンジは1.0ml、2.5ml、5.0ml、10mlなど太さが色々ありますが、赤ちゃん猫はお口の大きさに合う1.0mlが適しています。

(Amazon参考価格: テルモ シリンジ 1ml 10本セット 滅菌 個装 →425円 ※2019/5/4現在)

シリンジが入手できない場合は、ドラッグストアで売っているスポイトでも緊急的に代用できます。

 

誤嚥の危険があるため、絶対に仰向けでは授乳しないで下さい。

 

獣医さんではこのように体を持ち上げた状態で授乳する場合もありますが、体を固定するのが素人では難しいかと思います。

腹ばいに置き、指の間で首元をそっと固定するような形での授乳がやりやすいかと思います。

 

子猫を椅子やテーブルの上に置いて、自分は座って子猫に近い目線だと様子が見えてやりやすいです。

 

授乳の間にすぐミルクが冷めてしまいます。冷たいミルクは下痢の原因ともなりますし、嫌がって飲んでくれません。

人肌程度の温度で与えられるよう、少し多めに作り、スープジャーに入れたお湯の中にミルクのお椀を入れて保温しつつ与えると便利です。

冷めたらレンジで温め直して授乳するのも良いです。

 

参考YouTube動画「子猫へミルクを与える方法

この動画では、シリンジから子猫が自分でミルクを吸い出してくれていますが、そこまで元気がなく飲む意欲が薄い子の場合、

根気よく、少量を口に含ませては飲み込んだことを確認し、また少量を含ませ…の繰り返しになります。

飲みたくてギャーギャー言いながらも、飲むのがヘタな子もいます。

無理に飲ませようと口の中に注ぎ込むと誤嚥の危険があります。その子の飲むペースを尊重して下さい。

 

体重が100gにも満たない小さな子は、一度に1ml飲み切ることも難しい場合があります。

もういらない、という感じで嫌がってきたら切り上げてください。

 

【子猫用哺乳瓶での授乳】

 

自分で飲む意欲のある生後1週間~10日以上位の子猫は、子猫用哺乳瓶が適しています。

シリンジと並行して哺乳瓶を試していき、飲めるようになったら切り替えるのも良い方法です。

シリンジからぐいぐいミルクを吸い出せるようになったら、哺乳瓶に切り替えても大丈夫かと思います。

 

哺乳瓶の場合も、必ず腹ばいで与えます。仰向けはNG!

 

子猫用哺乳瓶とスペアの替え乳首

Amazonなど通販でも購入できます。

乳首は、歯が生えてくると噛んでちぎってしまうことがあるので注意が必要です。

購入時の乳首の切れ目はとても小さく、子猫がミルクをなかなか吸えない場合も多いので、様子を見ながら、ごく少しずつカッターで切れ目を広げて、出る量を調節しましょう。

切れ目が大きすぎるとミルクが一気に出て誤嚥の危険があるので注意です。

フタを締める時、青いキャップ部分をギュッときつく締めすぎるとミルクの出が悪い場合がありますのでその場合は気持ち緩めてみて下さい。

また、10mlなど飲ませる予定の量が少ない場合は、すぐ乳首に空気が混入してしまいます。少し多めに作って逆さにした時に乳首の中にミルクが溜まっている位だと、ミルクに空気が混入しづらいと思います。

(ただし一気飲みタイプの子は一度に沢山飲み過ぎないように注意)

哺乳器をさかさまにしてゆっくりと1滴ずつポタ、ポタとミルクが垂れるぐらいが丁度よいです。 

 

哺乳瓶の場合も、ミルクが少ないのですぐ冷めてしまうため、保温したり温め直したりしながら、例えば20mlを10mlずつ休憩しながら飲んだりします。一度に飲みきらなくても、子猫が少し飲んで乳首から口を離して「もういらない」素振りから2~3分おいて口に含ませるとまた勢いよく飲み始めることがあります。最終的に本当にお腹いっぱいで要らない場合は「しつこいよ~、もういらないってば」という感じになりますのでなんとなく分かります。

上手に飲める子もいれば、飲みたいのに気持ちが先走って慌ててしまい上手く飲めない、乳首を噛んでしまう、空気を飲みやすいなど色々な子がいます。

また、哺乳瓶で最初からすんなり飲む子もいれば、乳首のゴムの匂いや感触に慣れず、嫌がる子もいます。

哺乳瓶を嫌がる場合は、シリンジと併用しながら、まずは乳首に慣れること、偶然にでもミルクが出てくることを体で覚えるよう、お口に入れる練習をしながらじっくりと促していくと良いです。

(ミルクが出るようにと、口に含ませた状態で哺乳瓶の側面を押したりしないで下さい。誤嚥の危険があります)

 

ミルクを飲んだ後は、人間の赤ちゃんと同じように、自分の肩口でたてに抱っこし、背中を優しくトントンしてゲップを出します。

空気を沢山飲んでしまう子は、時間をかけてしっかりゲップを出してあげましょう。

お腹に空気が残っていて、後でミルクを吐き戻すと誤嚥の危険があります。

 

↑乳首を焦って噛む上に飲む力が弱かったのか、一度に沢山は飲めず、かつ空気を飲みやすかった子です。授乳後しばらくはプツプツ、コロコロと気管?から音がして、兄弟に比べ体重の増えも悪く心配しました。

↓離乳後はたくさん食べてグングン成長し、ムチムチ大食漢になりました


【授乳の間隔】

授乳の間隔の時間は目安はありますが、もちろん個体差があります。

1日の必要なミルク量(目安)がトータルで飲めているかを念頭に、一度に飲める量が少なく、すぐにお腹が空く子は間隔を短く回数を増やし、一回にしっかり量を飲めて長時間寝る子はある程度間隔を空けて、など臨機応変に対応します。

(そのためにも記録ノートで1度に飲んだ量、飲んだ時間の記載が重要となります)

ミルクを飲み終わっても寝ずに鳴いているようだと、ミルクが足りていない場合があるので少し時間を置いて授乳を追加してみて下さい。

満腹になれば大抵すぐ眠ります。

夜間も、6時間位寝てくれる子もいれば、夜中も起きて3時間おき位に授乳が必要な状態の子もいます。

赤ちゃんの頃、手がかからない子もいれば少し大変な子もいる、というのは猫も同じです。

 

■授乳量・間隔の目安→子猫の育て方・実践編(週齢ごとの育て方)>>>

 

!飲んでいる最中にむせたり、ミルクが口や鼻からあふれたりしなくても、咳をしていなくても、誤嚥性肺炎の危険があります。

1度にあまり多くのミルクを飲むと、飲んだ直後に体勢を変えたり動き回るなどした際に、ミルクが胃からあふれて気管に入り、誤嚥性肺炎になる危険があります。たくさん一気飲みしてゲップやシャックリをしたり、吐いたりして気管に入ってしまう場合もあります。

獣医師によると、生後3週位でも1回に飲む量は20ml程度で、何回にも分けてあげるのが安全とのことです。

一度に大量に飲めば飲むほど良いわけではなく、哺乳瓶やシリンジで与えている限り、細心の注意が必要です。

(※生後1か月弱でも、ミルク缶の記載にあるように1回のミルクの量「40ml」は多いと思います。生後1か月過ぎで自分でお皿からミルクを飲める子猫でも、1度に飲み切るのは20ml位です。離乳してからも胃袋はまだ小さいですので、少しずつ何回も飲んだり食べたりします)

 

ぐったりしている、呼吸音がおかしい(クフ、クフと鼻から音がする、ゼロゼロ聞こえるなど)、ハァハァ呼吸が荒い、普段より体が熱くて熱がありそう、いつもと違う場所に出てきてうずくまっている、明らかに元気がないなど、様子がおかしかったらすぐ受診してください。

肺炎になっていても、早く抗生剤を投与したり酸素室に入るなど治療を開始できれば一命をとりとめる子もいます(実際に助かった子の経験があります)。

※誤嚥性肺炎は、お母さん猫や獣医師が育てていても起こり得ることだそうで、赤ちゃん猫を育てることは本当に難しいことだと獣医師も仰っているくらいなので、もし亡くなってしまっても、本当に悲しいことなのですが、どうか自分を責めないでほしいと思います。

 

(2)離乳食

 

生後3週位から、哺乳瓶の乳首を口にくわえさせようとしても吐き出す、吸わずにクチャクチャ噛むなどの様子が見られるようになります。

口に入ったものを吸引する生まれつきの吸引反射が消滅してきた証で、そろそろ離乳の目安となります。

ミルクをまだ哺乳瓶で飲んでくれている3週前後から、哺乳瓶での授乳と並行して、子猫用ちゅ~るなどクリーム状の柔らかいフードをごく少量、自分の手のひらや指に付けて、なめとる練習と同時にミルク以外の味覚に慣れさせていきます。

指の先にごく少量つけたちゅ~るを、お口の中に入れてあげて、味に慣れさせる方法もとります。おいしいと思ったら、自分からなめようと意欲的になります。人の手のひらに塗ったちゅ~るやクリーム状のウエットを、ちゅーちゅー吸いながら食べたりもします(赤ちゃんは、お皿より人の手のひらの方が吸えるため食べやすいようです)。

 

最初は、ペースト状のベビーフードに粉ミルクを混ぜてドロドロにし、ペロペロなめて食べられる離乳食がおすすめです。

ロイヤルカナン「マザー&ベビーキャット」を、最初のうちは1回に1パックの16分の1程度+粉ミルク(10mlの湯で溶く)を混ぜ、茶こしで濾してクリーミーにしたものをよく使いました。

様子を見ながら段々と1回の量を増やし、漉していたのもやめてスプーンで粗潰しにして噛む練習をしていきます。

離乳時は特に下痢に注意が必要な時期とのことですが、幸いこのレシピでこれまですんなりと離乳できました。

※離乳食も人肌程度に温めて与えましょう。冷たいとお腹をこわすし食べてくれません。

 

離乳食ペーストをお口からまだあまり食べられないけど、哺乳瓶からのミルクも吸わない場合は、離乳食を1mlシリンジで少しずつお口に入れて食べる練習をさせていくのも1つの方法です。

最初は嫌がるかもしれませんが、少しずつ味に慣れておいしいと思えば、自分からお皿デビューしてくれると思います。シリンジからの食べが良くなってきたら、お皿を試してみましょう。

(※シリンジで離乳食を与える場合は必ず濾してなめらかにしましょう。粒が残っているとシリンジの中で引っかかってしまい、押した時にスポっと抜けて一気に口の中に流動食が入り誤嚥の危険があります)

 

小さな浅めのお皿にミルクを入れてなめる練習も、少しずつ始めます。最初は鼻から突っ込んでブシュっとなったりしてうまく飲めませんが、段々慣れて上手にピチャピチャ飲めるようになります。

深いお皿に沢山入れてしまうと、鼻ごと突っ込んだりしてミルクや離乳食が気管に入ったり、むせて誤嚥の危険があるので、浅いお皿になめ取れる程度の少しの量だけ入れるようにしましょう。

作った1回量のうち少しだけ皿に入れ、残りを器にとってシリンジに吸引しておき、食べ終わる少し前を見計らってシリンジからお皿に注ぎ足していくと良いです(ご飯追加はスプーンでも大丈夫ですが子猫の気が散る場合があります)。

ベッタベタになるので、食後はウエットティッシュで顔や手を綺麗にします。汚れるので、ペットシーツの上で食べさせるのが良いです。


上記のペースト離乳食と、合間にお皿でミルク(20mlぐらい)を、

体重と週齢により1日にトータルで必要なカロリーの目安を念頭に、回数を計算して与えます。

ドライフードはロイヤルカナンのベビー&マザーキャットが極小粒でふやけやすく、デビューするには食べやすいです。

ふやかさなくてもいきなりドライをポリポリ食べてくれる子、離乳食ペーストに混ぜて味に慣れてからドライデビューする子など様々です。

だんだんドライをメインに移行出来れば、焦らなくても良いと思います。

また、ペースト(ムース)離乳食はミルク多めに溶いて、舌でなめとっているうちは良いのですが、しっかり噛んで食べるようになってきて混ぜるミルク量を減らすと、なめているうちにペーストが寄って固まってしまい、食べづらい場合があります。

その際は、子猫用ウエットパウチなど、ゼリー状の水分多めのウエットに切り替えると食べやすいようです(猫個人の好みもあります)。

 

お水は、もっと大きくなるにつれて自然と飲むようになっていきますので、最初は飲まなくてもお部屋に置いておいてあげましょう。

ミルクの卒業時期にも個人差があります。ミルク好きでおやつ代わりに3~4ヶ月くらいまで飲む子もいれば、早々と卒業する子もいます。

本猫にもうミルクはいらない、と言われるまでは、おやつに少しあげるのが良いと思います。

 

自分で食べられ、飲めるようになれば離乳完了ですが、まだ1度に食べられる量は少なくこまめに与える必要があり、下痢など体調も崩しやすいので、引き続き気をつけて観察していきます。

離乳完了の目安は1ヶ月半位です。この頃にはトイレも自分でしっかり出来ているかと思います。

生後2ヶ月位でワクチン、猫エイズ・白血病のウイルス検査(血液検査)をして、里親募集の活動も開始することが出来ます。

 

→基本編へ

→排泄編へ

 

(byドラメイ)