【ポイント⑥】 ES(従業員満足)=CS(顧客満足)=売上げ

 

「ES」と「CS」というと、まったく別のものという感じを受ける方が多いと思います。
それはそうですよね、従業員満足と顧客満足ですからね。従業員満足というと、どうしても休日日数や残業時間の短縮、福利厚生などが思いつくかと思います。そして顧客満足というと、お客様に感動を!そのためには?というようなことが思い浮かぶのではないでしょうか?

 

従業員満足を高めれば、お客様満足が低くなり、
お客様満足を高めようとすればするほど、従業員には負担をかけていく。

この2つは、どうもそりが悪いなと思っている方も多いのではないでしょうか?

 

でも、もしこの2つがつながり、その上「売上げ」まで直結したら理想だと思いませんか?
従業員満足を高めれば高めるほど、顧客満足は高まり、そしてそのまま売り上げに直結していく「ES=CS=売上げ」という公式です。

 

実は、コトマーケティング的には、この公式を基本に置いています。
それを可能にするのが「独自化コピー」です。

 

 

例えば、大阪の茨木市に外壁塗装専門で「マツミ」という会社があります。

マツミのホームページ

 

この会社の独自化コピーは、
「親兄弟の建物と思って塗らせていただきます」

 

これは、先代の社長の頃から、何かあったら「親の建物だったら、どんな対応をする?」と社員に問いかけてきたコトバがベースになります。

 

この会社は、元々公共事業が9割以上で、一般事業(一般住宅やマンションなどの工事)がほとんどなかった。消費者に価値を伝えるために当時の営業部長がコトマーケティングを学び、その時に、社内のことや社員のコトバ、社長のコトバを振り返りながらつくったのです。そして、もう一度スタッフ皆で考えたのです。「親兄弟の建物だったら、どんなコトがしてあげたいか?」を。ここからマツミの快進撃が始まります。約1年で一般事業を立ち上げ、利益を5倍にまで伸ばすのです。

 

でも正直一筋縄でいかなかったのも事実です。この独自化コピーを決め、チラシ、ホームページはもちろんのこと、工事用のヘルメットや養生シートまでにもでかでかと「親兄弟の建物と思って塗らせていただきます」と書いたら、若手の工事スタッフの数名が辞めると言い出した。その理由は「こんなカッコ悪いのはイヤだ」ということ。そんな中、一本の電話が社長宛にかかってきたのです。電話主は工事現場の近くの住所の方。一瞬クレームかな?と思った社長は身構えたが、話の内容はこんな感じだった。

 

お客様「お宅の現場をみせてもらったんですけど」
社長 「ありがとうございます。何かございましたでしょうか」
お客様「シートに、親兄弟の建物と思ってぬりますというようなことが書いてあったけど、本当ですか?」
社長 「もちろん、その思いでやっているのは間違いなく本当です。ただ、すべての人の行動がそうできているとはいきませんが、100%を目指しやっています」
お客様「わかりました、お宅に頼みたいから自宅に来てもらえますか?」

 

こうして受注したのです。
それまで社長の中にあった少しの疑問が吹き飛びました。
「よし!我が社はこれでいこう!」と覚悟した瞬間でもあります。

 

その後、採用にもこの独自化コピーを活用し、同じ思いを持った社員を採用することになり、以前にもましてチーム力が高まり、お客様の支持も熱くなっている。

 

このように、独自化コピーが軸となり、そのコトバと思いに共感するスタッフが集まり、そのスタッフ同士が「何ができる?」「どうしたらできる?」を考え行動するなことが、お客様に伝わり満足に変わっていく。そして、それが売上げと利益に直結しているのです。

 

ES(従業員満足)=CS(顧客満足)=売上げ

 

この軸になるのが、独自化コピーなのです。
独自化コピーは、決して独創的ではありません。独自化に向かってのコピーです。


・誰の、どんな役に立てるのか?
・誰に、どんなお手伝いができるのか?
・お客様への姿勢やスタンス


こういったことを、社内外に分かりやすいコトバで紡いでいく。

 

 

それが社内を通す軸に、そしてその軸がお客様に繋がっていくのです。
多くの企業がこの独自化コピーをつくることから、独自の価値を生み出し、それが「ES=CS=売上げ」につなげています。

 

一例を紹介します。

 

・体が3℃、心が10℃あたたまる(新潟・松之山温泉)

・車を通して、日常生活を3倍楽しくする(姫路・まるさん自動車)

・シマカゲは幸せ家族の立会い人(岐阜・フォトハウス シマカゲ)

・今より【名手製造所】(豊橋・ヤマモトスポーツ)

・守ってきた近江牛の味わいに人間味というスパイスを利かせたい(彦根・千成亭)

・リラックスできる歯医者さん、子どもの歯医者嫌いをなくすお手伝い(板橋区・仁愛歯科クリニック)

・ひと手間かけて、ふた手間減らすお手伝い(岸和田・産業クリーニングSOC)

・痛みをチャンスに!前より動く体をつくるお手伝い(尼崎・さいの整骨院)

・お湯・人・笑顔で元気になる“もうひとつのふる里”であり続けたい(山梨・源泉館)

・親兄弟の建物と思って塗らせていただきます(茨木市・マツミ)

 

このように、独自化コピーを軸に、ES=CS=売上げと繋がっていってくださいね。

 

 

【ポイント⑦】 商売の原点

 

コトマーケティングの基本となるのは、この2つです。

 

  • 誰に、どんなコトができるのか
  • それが、どうしてできるのか

 

これをいつも頭の片隅に置きながら、情報の発信や行動をしていくこと。
それによって、少しずつですが相手のコトを考えることや、思うこと、寄り添うことが当たり前になっていくのです。

 

これは、商売の原点とも非常に似ているところがあります。
もしあなたが「商売の原点とはなんですか?」と聞かれたら、どんな答えを用意するでしょうか?

 

これは、価値観が違うので人それぞれかもしれませんが、コトマーケティング協会ではこう定義しています。

 

 

商売の原点とは・・・お客様への思いや考え、哲学を形にして届けること。自分達の持っている思いを、サービスや商品、そして情報や行動を通してお客様に届けることです。

 

 

そう、私たちは決して品売(品を売る)をしている訳ではなく、商売をさせてもらっているのです。だからこそ、思いを持ち、その思いを形にして届けることが大切になる。

 

お客様への思い=誰に、どんなコトができるのか
形にして届ける=それは、どうしてできるのか

 

こうして考えていくと、コトマーケティングの基本は、商売の原点に非常に近いことに気付きます。

 

これを実践していけば必ず商売は繁盛する。
僕は確信を持っています。

 

なぜなら、それをしっかりとこの目で見てきたからです。
京都の南の方に席数40席ほどの喫茶店があります。
約40年前からずっと繁盛し続けてきた地域では伝説のような喫茶店です。

 

その店主は、もともと友禅の型紙彫りの職人でした。
でも、呉服も着なくなり、型が必要なくなり、どんどん仕事がなくなってきたのです。
大好きな仕事も社会にとって必要でなくなり、1~2年は工場などで働き食いつないだのですが、それも難しくなり商売を始めることを決意します。

 

でも、商売なんてやったことない、お客様もいない、経営も知らない。
何もないところからのスタートでした。

 

義理の父親と母親が農業をやっていたことで土地はあったので、その土地に建物を建てて喫茶店をはじめたのです。普通に考えたら、どう考えても上手くいくはずがないこの挑戦ですが、大方の予想を覆してオープン当初から大繁盛するのです。

 

なんにもなかった店主が一体なにをしたのか?

 

店主は、お店がオープンするまで近所の街中を歩き回りました。
国道で通る車をみては、、、この人たちはどこからくるんだろう?朝ご飯は食べてるのかな?なんてことを考え、何かできることはないだろうか?と。

 

 

PTAの会合に参加して、耳を澄ましていると、、、「たまには外でミーティングしたいわよね」というコトバを聞くと、何かできることはないだろうか?と。

 

近所のご夫婦と話していると、、、「日曜の朝ぐらいはゆっくりとブランチにでも出かけたいわね」というコトバに、何かできることはないだろうか?と。

 

近所を歩いては、人を見て、人と話し、人にできることはないかと考えたのです。

 

結果、朝の7時オープンにしたのは、工事現場に行く人が現場に行く前にお腹いっぱいになってもらうため。10人程度のミーティングルームをつくったのは、PTAや子供会の会合で使ってもらうため。モーニングを5種類用意したのは、ご家族連れでも其々に喜んでもらうため。その他にも、お花や書道の教室の先生にできることは?ひきこもりの子供にできることは?高校を中退した子にできることは?などなど、常に人を見て、人にできることを考えてきた結果、オープンから約40年繁盛し続けたのです。

 

 

そして店主が75歳になるその年、引退を決意します。
引退を決めてからは、いつにも増して満席の店内。閉店1週間前からはお客様から花束がいっぱい届いて、店中を埋め尽くすような状態に。「俺たちの居場所がなくなるのは寂しいけど、長い間ありがとう」そうお客さまに言われながら店を〆たのです。
 

 

どうして、そんなに詳しく知っているのかって?
それは、僕の両親だからです。

 

僕は、こんな両親の後姿をみて育ちました。
だから、仕事は絶対に楽しいと思えます。
お客様にありがとうと言われ、頼りにされ、料金を喜んでお支払いいただく。
そんな仕事は、けっして難しく特殊なことが必要なのではなく、きっと誰もができることを、しっかりとすることで可能なんだと思えます。

 

  • 誰に、どんなコトができるのか
  • それが、どうしてできるのか

 

これをベースに、きっとお客様に喜んでもらえ、繁盛し、仕事は思いっきり楽しくなる。特殊な能力や、特別な技術がなくても可能なのです。

 

そして、これこそが商売の原則なんだと。
この原則を守り、しっかりと行動に移していけるようにたくさんのクライアントさんと実践を繰り返し形にしてきたのが、コトマーケティングです。

 

あなたが楽しく仕事をするための、お役に立てれば嬉しいです。

 

 

 

シリーズ記事:
コト売りで大切な7つのポイント①~③

コト売りで大切な7つのポイント④~⑤