読経の終りし僧は向き変えて 
         秋田なまりの法話しみじみ

   祖父の法要で秋田え行く田沢湖に近い静かな町
   民家も疎らで杉の山やまに囲まれたお寺で法事
   が行われた 暖かい近隣の人たちも来てささやか
  ながら始められた 読経が終わると参列者の方に向き変えた
  老僧の秋田弁の法話が心にしみじみ伝はって来ました

 沿線に生ふる夏草刈られおり 
        所どころに咲く百合 残して
 
 沿線に つい最近まで若草が萌えだして春のよろこび 
 に弾んでいたのに もう七十センチから八十センチ位に
 伸びてきてゐたが いつの間にかきれいに刈られて
 所どころに可憐に咲く白百合の花が残され 電車の通る
 たび風に揺れてゐる

  此処は娘の通ひし学び舎 面映く
        公開講座の万葉集を聴く
  去年の夏詠んだ歌です  夏休みのあいだに公開
  講座がひらかれ 受講することにした 娘がかよって
  ゐた学び舎ですが私は初めて門を通つた 何故か緊張
  して講義の室へ入つた記憶がある学生さんも沢山 聴講
   しており最初の頃は上の空で聴いていたような
   気がしましたね~




   藤の花

 十九の春逝きたる友を偲ぶ宵
       藤のはな揺る心の内にも  

  t子さん  あれから随分 年月が過ぎましたねあの
  日は土曜日でしたね 『藤のはなを見に行こう』 と
  私を誘ってくれ授業のない午後から近くの公園にゆき
  ベンチに掛けてt子さんはデザイナーをめざし夢をかたって
 ゐましたね 二人とも夕暮れまで楽しく話しつずけましたよね
 『さようならナラナラ』t子さんの口癖でしたね~
  日曜日 も 過ぎて月曜日のこと t子さんの自殺の知らせに
 耳を疑つていました 姿の見えない現実の悲しさ今だにわすれ
ません 毎年藤のはなが咲くと思いだしていますよ
 

  賀状でも電話でもない日暮れまで
         石けりをした友に逢いたい

   故郷をはなれてより毎年 賀状は来ますし
   時折電話で話をする幼友達 やはり眼裏に
   浮かぶのは縄飛びやおはじきなどして遊んだ
   笑顔  あの頃にかえって遊んでみたいなあ~
   特に 若葉風の吹く夕暮れは郷愁をさそいますね 
                                     


  
   いつしかに犬のモックは主従なし
          散歩に我が前を闊歩してゆく
  
   マルチーズのモックは我が家の一員になつて
   五年め 犬は主従を群れの中で作ると聞いてゐましたが
   何時も散歩のときは私の前を歩いている私の後に付いて
  来る事はないですね  私の主は犬という事になるらしい
  犬の習性ではそうかもしれない 犬が居心地よく暮らせたら
  まあ~其れでもいいかな~  




藍色の木立の間に灯がともり
        湖畔の村は童話めきたり
   湖面も周囲の木々も群青いろに変わり木の間より
   ほつほつと明かりが灯る静かな夕ぐれ 湖岸には
   大きなホテルもあるが対岸の村には幼いころにみた
  童話の木の妖精や湖の妖精などを思い浮かべしばし心を遊ばせ
  ていた 
 

    今日はもう過去になりゆく 夕っ方
            散りたる椿を掃き集めをり 

    桜の花もさっと散ってしまひ椿ももうおわり
    きせつの移ろいは早いとつくずく思う今日このごろ
    (花の命は短くて)たしかにそうですよね  桜の
    花の咲いた時のよろこびも束の間  椿の花も濃い
    緑の葉影にいじらしく咲いていたのも過去なって
    しまいましたね 過ぎ去ったものを追いかける
    訳にはいきません 一日の大切さを思い知る日でした

  七半を飛ばしし少年のジャンパーに
          刺繍の虎は背中に吠える
   
   新緑のかぜをきってオートバイで疾走してゆく
   少年 若さがあふれているジャンパーの背中に
   刺繍の虎が風にふくらみ揺れてゆく それは虎が
   吠えてゐるようにもみえる
            

  七半を飛ばしし少年のジャンパーに
          刺繍の虎は背中に吠える
   
   新緑のかぜをきってオートバイで疾走してゆく
   少年 若さがあふれているジャンパーの背中に
   刺繍の虎が風にふくらみ揺れてゆく それは虎が
   吠えてゐるようにもみえる