ニューヨークのセレブリティたちが住んだブラウンストーン。
有名人のひとたちにとって、ブラウンストーンに住むということは決してメリットばかりではありません。
最新設備が整いセキュリティに優れた住居に住むほうが、便利で安全に過ごせるはず。
実際、ブラウンストーンに住むセレブリティは、そんなに多くはありません。
現存するブラウンストーンのほとんどが歴史的地区に指定されているため、住むためには修繕や改築が伴い、住んでいる間は手間のかかるメンテナンスが必要になることもあります。
それにもかかわらず、ブラウンストーンに魅了され、家族との大切な時間をこの空間で過ごしたい、と望んだニューヨークのセレブリティたち。
今回はオリジナルのブラウンストーンの内装や材質を、セレブ達によって大事に残され再生された、建築当時の趣を感じられるブラウンストーンをご紹介します。
マギー・ギレンホールとピーター・サースガード
Credit: NME
監督としてもアカデミー賞にノミネートされ、その才能を遺憾なく発揮する女優のマギー・ギレンホールと夫の俳優ピーター・サースガード。
ハリウッドのパワーカップルである彼らが住んでいたブラウンストーンは、ブルックリンのパークスロープにあります。
パークスロープは、マンハッタンからイーストリバーを超えたブルックリンにある、ベビーカーの往来やリラックスした雰囲気のレストランや街並みで知られる、アーティストらも多く住む地域。
36 Sterling Place, Brooklyn, New York
Credit: Brownstoner
チョコレート色をした、イタリアネート式の美しいブラウンストーンです。
夫妻は、2006年に191万ドル(当時のレートで約2億2500万円)でこの伝統的なブラウンストーンを購入。
その後、子供2人が近隣以外の学校に通うことになったため引っ越すことになり、2019年に385万ドル(当時のレートで約4億1200万円)で売却しました。
マギーが長女を妊娠中に見つけたこのブラウンストーン。
高い天井と南向きの日当たりが特徴で、静かな街並みにセサミストリートの雰囲気が漂い、初めてこの物件を見たとき、クリエイティブなふたりはすぐに気に入ったそうです。
その後夫妻は、ニューヨークの建築家エリザベス・ロバーツとインテリアデザイナーらと協力しながら、3,600平方メートルのブラウンストーンを自分たちの理想的な空間につくりあげました。
彼らはこのブラウンストーンで、子供たちと冬でも温暖な南向きの裏庭に桜の木やマイヤーレモンの鉢植え、チューリップ、つるバラ、ジャスミンや藤、柿までをも育てたそう。
そんな彼らが子育てをした、建築当時の趣のある、クリエイティブなブラウンストーンのインテリアは、ヴォーグの動画で見ることができます。
間取りも公開されています。
※上記の間取りの表示は、本来はSecond Floor はThird Floor、Third Floorは Forth Floorであり、間違って表記されています。
シャンデリアはラスティックな鉄製のアンティーク
Parlor Floor(2階)
フロントパーラーはリビングルーム。暖炉のタイルはヒースセラミックス
リアパーラーは家族の音楽部屋
Credit: Sotheby's
Third Floor (3階)
マスターベッドルーム。木材は全てチーク材
ベッドの反対側には暖炉とチーク材の本棚。
Third Floor (3階)
ボヘミアンなバスルーム。バスタブはチーク材
Third Floor (3階)
夫婦の書斎。暖炉やラウンジチェアはミッドセンチュリーモダン。シャンデリアとラグは異国的。
Forth Floor (4階)
子供のベッドルーム
Garden Floor(1階)
裏庭に続くキッチンダイニング。木の梁の天井とチェスナットのフローリング
ファミリーダイニングスペース。タイルはヒースセラミックス。シャンデリアは、エリック・ホグラン(Erik Höglund)
キッチンから続くファミリーリビングルーム
Garden Floor (1階)
ダイニングエリアから出れるウッドデッキ
Credit: AD、Brownstoner
マギー・ギレンホールとピーター・サースガードが住んだブラウンストーンは、オリジナルなブラウンストーンの趣を大切にしながら、モダンで居心地の良いアーバンラスティックな空間が広がっています。
そのなかに二人の個性が混ざり合い、個性的で折衷的なボヘミアンのディテールに富む、とてもクリエイティブで芸術的なブラウンストーンだといえるでしょう。
ニール・パトリック・ハリス
Credit:PAPER
Netflixオリジナルドラマ「レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと」でオラフ伯爵を演じた俳優のニール・パトリック・ハリス。
2010年には、かつてからから交際中だった俳優兼シェフのデイヴィッド・バーカとのあいだに、代理母出産を経て双子の子供を授かります。
その後、ふたりは10年越しの交際を実らせ結婚しました。
Credit: Instagram
そんな家族が暮らしたブラウンストーンは、マンハッタンの北に位置するハーレムにあります。
2036 Fifth Ave, New York, NY
Credit:Harlem+Bespoke
1908年に建てられたイタリアネート様式のブラウンストーンです。
彼らはこのブラウンストーンを2013年に360万ドル(当時のレートで3億7000万円)で購入。
そして、先月の8月には、すでに所有しているハンプトンにある家を主な住居にするため、約700万ドル(約9億5000万円)で売却したばかりです。
8000平方フィート(約743㎡)もの広さがあるこのブラウンストーンは、その昔、アイルランドの工場労働者のための酒場や女学校の校舎としても使われており、彼らが購入する前はベッド&ブレックファストとして使用されていました。
奥行きが80フィート(約24m)で5階建ての、ハーレムならではの重厚で広々とした間取りです。
「ブラウンストーンの歴史的側面を尊重しながらも、現代的で創造的、そして友人たちをもてなすための意心地の良い雰囲気にしたかった」と語るニールとデイヴィッド。
19世紀末に建てられたこの5階建てのブラウンストーンは、個性的であるとともにニールの制作会社のオフィスや試写室を設けるにも十分な広さがあり、初めてこの建物に入った際すぐに様々なデザインイメージが沸き上がったとのこと。
そして、ニューヨークの建築家ジェフリー・ポヴェロとロサンゼルスを拠点とするインテリアデザイナーが共同で監修し、約14カ月かけてこのブラウンストーンのリノベーションが行われました。
彫刻が施されたモールディングや多くの木工家具、オークの床や、シカモア、アッシュの装飾的な階段など、重厚なオリジナルの建築物の多くを丹念に修復しながらモダンな要素を加えた、見事なブラウンストーンが完成します。
玄関ホールの階段とニューエル(支柱)。建築当時の木の装飾が残されています
Credit:Forbs
Parlor Floor(2階)
中央ホールには、ヴェニーニ製のヴィンテージのシャンデリアとトム・ラデュークの彫刻。
フロントパーラーは友人たちと過ごすための音楽部屋。壁にはアニー・ラパンの絵と、建築当時の木製のモールディング細工が美しい。
リアパーラーは同じく友人たちをもてなすためのサロン
シャンデリアは、キャロライナ・フォントーラ・アルサーガの古くなった自転車をリサイクルした作品
コネチカット州のホテルで使用されていたのを移築した、バーカウンター
バーからは屋外のデッキへ出ることができます
Third Floor(3階)
ファミリーリビングルーム。ミッドセンチュリーと1920年代のヴィンテージがミックスされたインテリア
ファミリーダイニング
ポケットドアの向こうにはキッチン
キッチン
大理石のバックスプラッシュと、シーザーストーンのカウンタートップ
Forth Floor(4階)
書斎の壁はアンドリュー・マーティンの壁紙。ソファはRHのもの。
マスターベッドルーム。照明はジェイソン・ミラー製。壁紙はカリコ・ウォールペーパー
マスターベッドルームの隣はクローゼット
クローゼットの奥はマスターバスルーム
マスターベッドルームの奥には屋外ジャグジー
Fifth Floor(5階)
仕掛け扉とその奥にはニールの書斎。
子供たちのベッドルーム。2段ベッドはRH Baby & Child製
セカンドベッドルーム
バーベキューができるルーフデッキ
Garden Floor(1階)のオフィス
Cellar(地下室)のホームシアター
Credit: AD, Compass, Povero&Company
そして、このブラウンストーンのインテリアの真骨頂は、エンターテイナーでおもてなし好きな彼らならではの、クリスマスのデコレーション。
友人たちをエンターテインするためにつくられたパーラーフロアの重厚なインテリアは、まるでクリスマスデコレーションのためにあるかのよう。
そんな彼らのクリスマスの装飾は、子供たちへの愛情にもあふれています。
大きなツリー、ガーランド、ストッキングらの伝統的なクリスマスデコレーション。
アメリカらしい華やかで楽しい彼らのホリデースタイルのブラウンストーンを、アーキテクチャルダイジェストの動画(英語)でぜひご覧ください。
英語版ですが、字幕を日本語に設定できます
双子の大きな四角いポートレートは、写真家のジル・グリーンバーグが手がけたもの。
ブラウンストーンの高い天井にも届きそうな豪華なクリスマスツリー
ゲストのためにカクテルをつくる、通称モンキー・バー
朝起きたら、子供たちがクリスマスプレゼントを開けるリビングルーム
コーヒーテーブルにはくるみ割り人形のコレクション
Credit: AD
ニール・パトリック・ハリスのブラウンストーンインテリア。
ニューヨークらしい伝統的でモダンな要素のなかに、ディズニーランドのように非日常が存在する楽しく華やかなインテリアスタイルです。
トラディショナルなスタイルをベースに、アーバンモダンのエッセンスが散りばめられ、ふたりの美学によりエンターテイメントな空間に昇華された、、
そんなニューヨークらしい、様々なカルチャーやアートが共存する、モダンでクリエイティブなインテリアだといえるでしょう。