ニューヨークのブラウンストーン。
ブラウンストーンは、一概に全てが同じデザインではなく、ブラウンストーンが使用される箇所や建築様式によって様々な外観が存在します。
様々な建築様式の歴史を経て、ブラウンストーンという住居は完成しました。
今回は、あのチョコレート色で覆われた、ニューヨークの ”真のブラウンストーン” といわれる イタリアネート様式 と セカンド・エンパイア様式（第二帝政様式） をご紹介したいと思います。
Ⅲ. イタリアネート様式
イタリアネート様式は、1800年代半ばから後半にかけて建てられた、
15世紀のルネッサンス期のイタリアの宮殿、パラッツォがイタリア風のブラウンストーンの主なインスピレーションとなりました。
その古典的なディテール、優雅さや重厚さは、ニューヨークで成功した人たちの繁栄と社会的地位を象徴するものとしてふさわしいものでした。
イタリアンスタイルの隆盛と同時に、
Credit: Rizzoli
イタリア様式は女性的な曲線と繊細でエレガントな装飾、繰り返しのフォルムが強調された大胆で華やかな建築スタイルです。
イタリアネートブラウンストーンの最大の特徴と魅力は玄関です。
玄関には、大きな付柱がフラットな、もしくはアーチ状や三角形のペディメントを支
奥にある玄関
ドアは重厚な２パネルが一般的です。
三角形のペディメント
Credit: House & Home
アーチ状のペディメント
Credit: Brownstone door
柱頭には、豪華なアカンサスの葉のブラケットがあり、突き出た状態で
Credit: Pinterest
Credit: Brownstoner
そして、イタリアネート様式のもうひとつの特徴であるファサード（建物を正面からみた外観のこと）
イタリアネートスタイルのブラウンストーンタウンハウスのファサードは、すべてチョコレート色のブラウンストーン で覆われています。
192 Columbia Heights, Brooklyn, NY
Credit: NYT
『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー・ブラッドショーの自宅もイタリアネートブラウンストーンです。
映画『マイ・インターン』のアン・ハサウェイ演じる主人公の自宅もブルックリンにあるイタリアネートブラウンストーン でした。
『The Intern』(2015)
Credit: Brick Underground
Credit: OtsoNY.com
『マイ・インターン』の撮影に使用されたブルックリンのブラウンストーン
385 Grand Ave, in Clinton Hill, Brooklyn
Credit: Brownstoner
Credit: Iamnotastalker
イタリアネートのブラウンストーンは、ブルックリンで数多く建てられました。
ブルックリンのフォートグリーン(Fort Greene)には、1850年代から60年代にかけて、多くのブラウンストーンタウンハウスが建てられ、現在では最も保存状態のよい地域のひとつとなっています。
Credit: Compass
なかでもサウスオックスフォードストリートの周辺には、ニューヨークで "最高のブラウンストーン通り"と呼ばれるエリアがあります。
この歴史的な地区では、歴史的建造物に指定された美しいイタリアネートブラウンストーンの街並みを見ることができます。
S. Oxford Street, between Dekalb and Lafayette Ave in Fort Greene, Brooklyn
Credit: parpertynest
Credit: NYT
Ⅳ. セカンド・エンパイア様式（第二帝政様式）
1850年代になると、パリではナポリオン3世による都市改造が行われるようになります。
その影響により、再びマンサード屋根が流行し始め、セカンド・エンパイア（第二帝政）様式と呼ばれる建築運動が起こりました。
第二帝政スタイルはアメリカにも広がり、当時ニューヨークで流行していたイタリアネートブラウンストーンにマンサード屋根を取り入れた、第二帝政様式のブラウンストーンがくつくられるようになります。
イタリアネートの華やかさに女性的な優美なフォルムが加わった、パリの建築を思わせる古典的な建築モチーフです。
マンサード屋根を導入し、屋根裏部屋があるのが特徴です。
マンサード屋根
イタリアネート様式のブラウンストーンに、マンサード屋根と優美で装飾的な曲線の窓を加えた美しい第二帝政スタイルのブラウンストーン
Brownstone in Fort Greene, Brooklyn
Credit: Zillow
Brownstone in Fort Greene, Brooklyn
Credit: Street Easy
Brownstone in Fort Greene, Brooklyn
Credit: 6sqft
Brownstone in Fort Greene, Brooklyn
Credit: Wandering New York
Brownstone in Brooklyn, NY
Credit: Old House
Brownstone in Fort Greene, Brooklyn
Credit: Brownstoner
Credit: Sherwood Residential
ニューヨークで愛され続けている、ブラウンストーンタウンハウスの建築スタイルの変遷を主に19世紀初期から中期にかけて見てきました。
この後、19世紀後半から20世紀初頭のネオグリーク、ロマネスクリバイバル、クイーンアンなど、ニューヨークには様々な建築様式のタウンハウスが造られます。
しかし、ブラウンストーンは徐々に、一部の装飾や建材に使用されるのみとなっていきます。
ネオグリーク様式
ロマネスクリバイバル様式
Credit:Brownstoner
クイーンアン様式
Credit: AD
次回は、ブラウンストーンタウンハウスのなかはどうなっているのか、、
内装や間取りはどんな感じなのか？！
ブラウンストーンのインテリアやフロアプランについて見ていきたいと思います。
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