ニューヨークのブラウンストーン。
映画やドラマで見るブラウンストーンの室内はどれも、ニューヨークらしいシックでモダンなインテリアが散りばめられています。
Credit: HC
Credit: Brick Underground
Credit: Hooked on Houses
Credit: Between naps on the porch
Credit: Hooked on Houses
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でも、実際のブラウンストーンのなかはどうなっているのでしょうか。
内装や間取りはどうなっているのか、、
今回は、ブラウンストーンのフロアプランと内装のディテールについて見ていきたいと思います。
Credit: Brownstoner
ブラウンストーンは、上の立面図のように、一般的に4〜5階建ての住宅です。
最上階には屋根裏部屋があり、一番下の階は地下室になっています。
歩道から階段であるストープ(Stoop)を上ると2階に位置する玄関があります。
玄関には外扉と、小さな玄関ホールを経て建物内部へ入るための内扉があります。
この内扉を入るとすぐに廊下と室内階段があります。
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この、玄関がある2階に位置するフロアを”パーラーフロア (Parlor Floor)”と呼びます。
パーラーフロア(2階)の間取り図
パーラーフロアの室内構造は、上図の間取りのように縦に2分割されています。
片側のスペースの3分の1は廊下と階段が占めていて、残りのスペースがリビングスペースとなります。
通常、建て幅(間口)は18〜20フィート(5.5m〜6m)、奥行きは40〜45フィート(12m〜14m) ほどです。
天井は高い部屋で14フィート(4.3m)ほどにもなります。
1フロアの広さはおおよそ 800〜1000平方フィート(74 〜93㎡)
居住スペースは、約3000〜 4000平方フィート(279 〜372㎡) ほどの広さです。
玄関を入ってすぐ横のリビングルームはフロントパーラー (Front Parlor)、中間エリアをミドルパーラー (Middle Parlor)、奥の裏庭側のリビングルームをリアパーラー (Rear Parlor)と呼びます。
主にフロントパーラーがメインリビングルーム、リアパーラーがライブラリーやフォーマルダイニングルームにするのが伝統的なインテリアです。
開口された壁やポケットドアによってそれぞれのパーラーフロアが仕切られているのもブラウンストーンの伝統的な構造です。
以下が伝統的なパーラーフロアのインテリアになります。
フロントパーラー(メインリビングルーム)
ミドルパーラー(ラウンジスペース)
リアパーラー(フォーマルダイニングルーム)
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近年は、最も広いスペースであるリアパーラーを、オープンキッチンに改装するのがトレンドになっています。
フロントパーラー(メインリビングルーム)
ミドルパーラー(ダイニングルーム)
リアパーラー(オープンキッチン)
Credit: Remodelista
映画「マイ・インターン』でもフロントパーラーからオープンキッチンのリアパーラーまでの間取りを見ることができます。
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そして、パーラーフロアの壁をすべて取り去り、ワンフロアの開放感あるリビング・ダイニングルームとして利用するのもトレンドです。
リビング・ダイニング・キッチンがワンフロアになったパーラーフロア
Credit: ERA
リアパーラーの裏窓をフレンチドアに改装し、バルコニーやデッキを設置して裏庭に出れる階段を取り付けられたブラウンストーンもあります。
Credit: baao
Credit: Remodelista
Credit: Gardenista
パーラーフロア(2階)の上階の3、4階には、主にベッドルームとバスルーム、ドレッシングルームが配置された間取りになっています。
3、4階の間取り
以下が伝統的な3、4階の間取りです。
メインベッドルーム
セカンドベッドルーム
バスルーム
セカンドベッドルームをバスルームにリノベーションし、ワンフロア全てをメインベッドルームとして使用する間取りも今のトレンドです。
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5階は住居スペースの最上階です。
3、4階を簡素化したレイアウトで、屋根裏部屋へ続く階段があります。
子供用のベッドルームやバスルーム、スタディルーム、クローゼットを設置するのが一般的です。
5階の間取り
最上階から見た階段
キッズベッドルーム
バスルーム
スタディルーム
Credit: domino
Credit: Brownstone blog
パーラーフロア(2階)の下の階は裏庭に面したガーデンフロア(1階)です。
ガーデンフロアは、主にファミリールームとして使用されるのが一般的で、キッチンとカジュアルダイニングやファミリーリビングを設置し、裏庭も利用できます。
ガーデンフロアの間取り
オリジナルの梁天井を生かしたインテリアが最も伝統的なデザインです。
Credit: dwell
Credit: dwell
Credit: Anat Soudry Architect
![](https://www.plattdana.com/wp-content/uploads/2020/03/large_web-Garden-1b.jpg)
今は改装し、ワインセラーやファミリールーム、ランドリールームやジムなどに利用するのが一般的になっています。
Credit: Brownstoner
また、オリジナルのブラウンストーンには、クラッシックな装飾や内装にいくつか特徴があります。
伝統的なブラウンストーンのレトロな内装のディテールを見ていきたいと思います。
1、ベスティビュール (Vestibule)
ブラウンストーンの玄関には外扉と、建物内部へ入るための内扉の間にベスティビュールという小さな玄関ホールがあります。
Credit: Brownstoner
Credit: Remodelista
Credit: domino
2. ニューエル (Newel)
階段を支える柱であるニューエルは、ブラウンストーンの室内に入った際に最初に目に入る、最も印象的な装飾です。
Credit: Fairfax & Sammons
Credit:domino
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Credit: Compass
Credit: Brownstoneboys
映画「マイ・インターン」のブラウンストーンでも、ニューエルを視覚的に取り入れたシーンを見ることができます。
Credit: Between Naps on the Porch
3. 暖炉のマントルピース (Fireplace Mantel)
オリジナルのブラウンストーンには基本的に暖炉は全ての部屋に備わっています。
その暖炉のマントルピースの装飾は、ブラウンストーンの華やかなインテリアのひとつとなっています。
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Credit: Brownstone boys
Credit: Compass
Credit: Brownstoner
4. モールディング (Molding)
モールディングとは、天井や床と壁、窓枠の内装の繋ぎ目を埋めるための、漆喰や木材でできた装飾のことです。
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Credit: Sweeten Stories
Credit: AD
Credit: 6sqft
5, ポケットドア (Pocket Door)
ポケットドアとは壁のなかに収まるスライド式の引き込み戸のことです。
オリジナルのブラウンストーンでは、ポケットドアによってパーラーフロアが仕切られているのが伝統的な構造です。
Credit: NYT
Credit: WSJ
Credit: Giggster
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8, ピアミラー (Pier Mirror)
ピアとは窓間壁のことで、ピアミラーとは2つの窓の間の壁のスペースに合うように設計された大きな装飾鏡です。
リビングルームの部屋を明るく広く見せるためのものですが、ブラウンストーンの伝統的な内装には、大きな壁面や玄関にも多く使用されています。
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Credit: Street Easy
9, 木工細工 (Woodwork)
フロアの間仕切りや階段の手すり、ビルトインキャビネットなどの職人による木工細工はブラウンストーンの伝統的な木材装飾です。
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Credit: 6sqft
Credit: Decor Report
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ブラウンストーンは、所有者が室内の内部構造を改修していない限り、以上のような伝統的な間取りや内装、装飾がベースとなっています。
時代を経て、利便性やインテリアのトレンドによりリノベーションが行われ、建築された当時の近い状態で現存するブラウンストーンは希少性のあるものになっています。
当時の趣を残したものから、外観からは想像もできないモダンなものまで、今では様々なインテリアスタイルのブラウンストーン が存在します。
次回は、そんな様々なスタイルのニューヨークのブラウンストーンインテリアをご紹介します。