ニューヨークのブラウンストーン。
それは、ニューヨークに住むセレブリティたちをも魅了したのは言うまでもありません。
彼らにとって、高層ビルが連なるニューヨークシティのなかで、庭があり一軒家のような住空間のなかで暮らせるライフスタイルは、とても価値のあることです。
個性的な建築であると同時にプライバシーが保て、フロアによって住空間を区切れるのも、ブラウンストーンの魅力です。
今回は、ニューヨークのブラウンストーンに住んでいた有名人のインテリアをご紹介したいと思います。
サラ・ジェシカ・パーカー
サラ・ジェシカ・パーカーと、夫で俳優のマシュー・ブロデリックが住んでいた赤レンガのファサードのブラウンストーンはマンハッタンのウエストビレッジにあります。
ダウンタウンの西側に位置する閑静な住宅街ウエストビレッジは、お洒落なレストランやショップが点在する、東京でいうと代官山のようなエリアでしょうか。
57 Chales, St, New York, NY
1866年に建てられた、第二帝政期スタイルのエレガントなブラウンストーンです。
このブラウンストーン は、セックス・アンド・ザ・シティでサラ・ジェシカ・パーカーが演じたキャリーが住む、ブラウンストーンと同じブロック内のちょうど裏手に建っており、すぐ近くの場所。
キャリーの自宅として撮影に使用されたウエストビレッジのブラウンストーン
66 Perry St. New York, NY
まさに、サラはドラマで演じたキャリーが住んでいた同じ場所で、リアルな生活を送っていたことになります。
ウエストビレッジの自宅のブラウンストーンに、自身でクリスマスのデコレーションをしているサラ・ジェシカ・パーカー。
Credit: Daily Mail
サラ・ジェシカ・パーカーとマシュー・ブロデリックは、このブラウンストーン を2000年に299万ドル(当時のレートで約3億2千万)で購入し、昨年1500万ドル(当時のレートで15億6千万)で売却したばかりです。
夫婦は、居を構えていた約20年の間、家族が増えるのに合わせて、数年ごとにリノベーションをしていたそうです。
その、サラが子育てをしながら長年住んだブラウンストーン のインテリアは、ヴォーグ誌のインタビューシリーズ『73 Questions』の第1回目として、紹介されました。
動画ではパーラーフロアのみを公開しており、カラフルな装飾と重厚でエレガントなインテリアを垣間見ることができます。
玄関を開けると最初に目に入る、白いニューエル(支柱)と可愛い階段のカーペット
一番奥の部屋であるリアパーラーは、ミントグリーンの壁とグリーンのソファがあるファミリールーム
リアパーラーとミドルパーラーを仕切る、アーチ型のポケットドアがあります
壁一面にある本棚。 結構ぎっしり本が並べられています。
地球儀のオブジェは、エクレクティックなインテリアには欠かせないアイテム
ブックスタンドに置かれた辞書や、ベースボールのコレクション、、
ミドルパーラーには好きなアートが掛けてあったり、床に置かれていたり、、
そしてミドルパーラーのメインはこの卓球台
日当たりの良い玄関すぐ横のフロントパーラーは、ピアノがあるリビングスペース
最後は玄関でインタビュアーの見送りをするサラ。
サラ・ジェシカ・パーラーが住むブラウンストーンのインテリアは、クラッシックな雰囲気がありながらもエレガントでキュート、そして気取りのない、、
そんな彼女の様々な魅力を集めたような、エクレクティックインテリアでした。
リヴ・タイラー
リヴ・タイラーとその家族が住んでいたブラウンストーンは、サラ・ジェシカ・パーカーが住むのと同じ、ウエストビレッジの閑静な住宅街にあります。
サラとキャリーのブラウンストーンがあるブロックから2ブロック先の場所になり、至近距離のご近所同士だったということになりますね。
255 W 11th St, New York, NY
赤レンガがファサードの、1861年に建てられたイタリアネートスタイルのブラウンストーンです。
リヴ・タイラーは、2001年に253万ドル (当時のレートで3億1000万円)で購入し、家族でロンドンに移住するため、2019年に1745万ドル (当時のレートで19億円)で売却しました。
自宅ブラウンストーンのストープ(階段)前でヴィレッジの隣人たちとお喋りをするリヴ・タイラー
Credit: Daily Mail
ウエストビレッジにあるタウンハウスのなかでも特別な存在だった、リヴ・タイラーのブラウンストーン。
その理由は、彼女自身がこのブラウンストーンがあるウエストビレッジという街において、代名詞的なセレブリティだと言われていたからです。
彼女はここに長年住み続けた間、通りで犬を散歩させたり、ベビーカーを押したり、食料品を買うためにストアに駆け込んだりと、地元に密着したその様子は何度も写真に収められています。
ロブスターの産地、メイン州育ちのリヴが足繁く通ったウエストビレッジのシーフードレストラン、マリーズ・フィッシュ・キャンプ
Mary's Fish Camp:64 Charles St, New York, NY
Credit: Manhattan Sideways
Credit: Nooklyn
Credit: westvillagefood.com
そしてもうひとつの理由は、彼女のブラウンストーンへの個人的なこだわりにあります。
古く傷んでいたこのブラウンストーンを初めて見た時、当時20代だったリヴは、この家を建築当時の元の輝きに戻したい、、、! と思ったのだそうです。
1861年に建てられたこの家は、建築当初の伝統的な内装はほとんど残っておらず、なんとしても当時の建築ディテールが備わったブラウンストーンに再生したかったとのこと。
そんな彼女は、このブラウンストーンを購入後まもなく、ニューヨークのトップインテリアデザイナーとともに、大規模な修復に着手しました。
当時は地元ウエストビレッジのレストランで、デザイナーたちと忙しい合間を縫って何時間ものミーティングを重ねたそうです。
リヴがデザイナーたちとのミーティングに使用していた、タルティーヌレストラン
Tartine:253 W 11th St, New York, NY
Credit: USA Restaurant
Credit: New York
”この家は私にとって特別なものです” と語るリヴ・タイラー。
彼女は、デザインに興味がある一方で、スタッフとして汗を流すことも厭いませんでした。
部屋につくられた足場に立ち、石膏を塗る作業を手伝ったり、配管工や電気技師、塗装工と過ごしながら、作業がどのように行われるのかを理解し、様々なことを学ぶのが楽しかったとのこと。
階段や貴重なピアミラーを修復し、伝統的なポケットドアを新しく取り付け、ラスティックなフローリングはニューヨーク北部の農場から調達したものだそう。
窓も、建築当時の趣にしたかったので、一枚ガラスを吹き付ける工場で作られたポーランド製のガラスを使用したとのこと。
何年もかけて修繕し続けたこのブラウンストーンは、1800年代後半を思わせる多くの建築的ディテールとモダンな華やぎを備えた、完璧な空間にリノベーションされました。
その、こだわりと愛情がつまったリヴのブラウンストーンは、ヴォーグジャパンの動画で堪能することができます。
ニューエル(支柱)と階段は、この家のなかで数少ないオリジナルの内装のひとつ
ピンクのソファとブルーのチェアが可愛い、パーラーフロアのリビングルーム。
シャンデリアは、細長い間取りに合うデザインを検討し尽くした結果選んだもの。
グラマラスなソファとチェア、ベルベットのロングドレープカーテン。
シャンデリアはイタリア製で、ラグは何枚もの織物をリヴ自身が縫い合わせて作ったのだそう。
グラマラスなクリーム色のヘッドボードと木のサイドテーブルが個性的。
ランプは彼女が10代の頃に使用していたヴィンテージ
クローゼットのシャンデリアは、ミッドセンチュリー期のイタリアのヴィンテージデザイン
ロンドンの有名なアンティークマーケットに何度も足を運び、このピンクのヴィンテージのシャンデリアを見つけたのだそう。
大きな窓とベルベットのドレープカーテンがある、子供のリビングエリア
ポケットドアの向こう側は、白とグレーの子供部屋
窓からマグノリアの木が見える、白と大理石の子供用バスルーム
階段に面した子供部屋。建築当時の黒い階段が美しい
リヴは、19世紀初頭にこのタウンハウスが建てられた当時のように、キッチンをグランドフロア(1階)に置き、家族と庭やキッチンで過ごすのが幸せな時間だそう。
シックで美しい黒のキャビネット。ランプはフィンランドのヴィンテージ
キッチンの隣にある北欧スタイルな書斎。椅子はハンス・ウェグナーのヴィンテージ
キッチンと同じグランドフロアにある、グラムなファミリーリビングスペース
リヴ・タイラーとニューヨークのトップデザイナーや職人たちによって、見事にクラッシックでモダンなものに蘇ったブラウンスーン。
家と家族への優しさと愛情に溢れた、そして感性豊かな彼女を象徴するような、リヴ・タイラーらしい美しいグラマラスインテリアだといえるでしょう。