いやー、すっかり秋めいてきましたな!
ついこの前まで、連日の酷暑を『コナン・ザ・グレート』で乗り切れだの、『キング・オブ・デストロイヤー』で乗り切れだのと、暑さで頭がやられてしまったとしか思えない提言を繰り返していたわけだが、人間とはえらいもので、あの暑さに慣れてしまうと32、3度程度ではさして暑いとも感じないから不思議なものだ。

この程度の残暑なら、名探偵コナンや未来少年コナンでもしのげるだろうが、せっかくなのでもう一つのコナンを紹介したいと思います。
何がせっかくなのかわからんが!
『コナン・ザ・バーバリアン』

あのシュワ版コナンのリブート作品である本作、見ての通りシュワちゃんは出てこないが、果たしてそれが吉と出るか凶と出るか、そんな不安を抱えながら、ストーリー!

むか~しむかしある所に、アケロンという暗黒帝国がありました。
アケロンは妖術を用いて作られた石仮面により人外の力を得、他の国々を支配しました。
アケロンに対抗できたのは、各地の未開人(バーバリアン)たちだけでした。
激しい戦いの末、未開人たちは石仮面を砕きアケロンを倒し、各部族の族長たちは仮面の欠片をそれぞれに持ち帰り、忌まわしい力が二度と甦らないように厳重に保管しましたとさ。

という世界観。

それから時は流れて、こちらはお馴染みのキンメリア人の集落。
部族の少年らが、族長(ロン・パールマン)の指導のもと、口に入れた卵を割らずに戦うというひねりの効いた訓練に勤しんでいる。
そんな訓練に飛び入り参加してきた少年こそが、幼き日のコナンである。
族長(ロン・パールマン)の息子であるコナンは、女戦士の母が戦場でワイルド過ぎる帝王切開にて出産して絶命したという、壮絶な生い立ちを背負っての登場だ。
↑少年コナンとロン・パールマンパパ

そんなコナンなので、訓練中に襲ってきた他部族の男どもを卵を割らずに一人で皆殺しにするなど、早くも尋常でない戦闘力を発揮する。
我が子の才能にテンションの上がったロン・パールマンパパは、コナンのために鋼の剣を鍛え、稽古をつけてやるが、しかし幸せは長くは続かなかった!

件の仮面を集めて回るどっかの部族のオッサン、カラーがキンメリアの集落を襲撃。

既に仮面のほとんどを集め、多くの部族を下してきたカラーの力は絶大で、キンメリアの集落は壊滅、仮面の最後の一欠片も奪われ、父、ロン・パールマンもコナンを守るようにして死亡。
幼いコナンは復讐を固く誓い、一人吠えるのだった。

あれから10余年!(きみまろ風)

部族の仇を求め、長く険しい旅を続けたコナンは、立派なジェイソン・モモアに成長しました!
あらいやだ、イケメン。

そんなイケメンコナンは、旅の途中でマブダチになった海賊と共に、奴隷商人を襲撃して三分で奴隷を解放するなど、イケメンに相応しい活躍を見せていた。
↑マブダチの海賊。

その夜、奴隷商人から助けたべっぴんさんを侍らせて酒場でウェーイ!って楽しんでたところ、かつて村を滅ぼしたやつらの一味が取り締まりにやって来たので、とりあえずボコッてわざと投獄される。
そこで、カラーの情報を聞き出すだけ聞き出すと、三分で監獄を解放。
かつての仇は今やカラー王を名乗り、各地を支配、石仮面に血を捧げるのに相応しい純血の女を探して進軍しているとのこと。
コナンは単身、カラー王の軍勢の進軍ルートを目指す。

一方その頃、当のカラー王はといえば、とある修道院を襲撃していた。
この修道院に身を寄せるタマラこそ、アケロンの末裔であり、探し求めた純血の女だったのだ!
↑本作のヒロイン、タマラ。

修道院が陥落する中、どうにか逃げ延びたタマラだが、すぐさま追っ手がかかる。
そこに颯爽登場したのが、我らがコナンである。
生け捕りにした敵幹部を、メッセージカード付きで投擲するというダイナミックすぎる方法で、タマラを餌にカラー王を誘い出すコナン。
ついに因縁の対決となったわけだが、カラー王というかカラー王の娘の妖術使いに遅れを取り、仕方なくタマラと共に海に身を投げ仲間の海賊船に逃れる。
↑カラー王の娘。前人未到のデコッパチ。
↑妖術で砂の戦士を作るぞ!

海賊船にも迫る追っ手を迎撃しつつ、体勢を立て直したコナンは、カラー王と決着を付けるべくたった一人で船を降りる。
ここでマブダチの海賊が、「あちゃー、コナンのやつ、忘れ物してらー。誰か届けてくれねぇかなー?」という雑な三味線でタマラを促す。
お言葉に甘えて、無防備にも一人でコナンを追うタマラ。
無事に合流した二人は、プリミティブにキス&交尾!
そして翌朝、きっちり拐われるタマラ!

これだから未開人は!と言わざるを得ない展開だ。

ともあれ、タマラを助け、一族の仇を討つべく、敵の本拠地に乗り込むしかない!
先だって奴隷商人から解放した盗賊の力を借りつつ、仮面に純血を捧げる儀式真っ最中のドクロの洞窟へ殴り込みだ!
激しく剣を交えながら、縛り付けられたタマラを解放。
コナンとタマラのツープラトンで、まずはカラー王の娘を串刺しの刑!
怒りに震えるカラー王は、仮面の力を使って、死んだ元嫁の魂をタマラの体で復活させようとする!

言い忘れてたけど、カラー王が仮面を集めてた目的って、死んだ嫁を生き返らせるためだったんだけど、まぁ気にすんな!

この局面をコナンは、根性で耐えて、カラー王を奈落の底に突き落とし決着!

そしてエピローグ。
タマラを生まれ故郷まで送り届けたコナン。
「元気でな。アバヨ!と、颯爽と走り去り、エンドだ!

…さて、どうだったろうか?
誤解を恐れずはっきり言わせてもらえば、本作『コナン・ザ・バーバリアン』は、客観的かつ冷静に見れば、シュワ版コナンと比べ全方位的に圧倒的に上回っている!

まず、映像面におけるクオリティの差は鮮明だ。
妖術によって作られた砂人間や敵の砦に潜むモンスターなどのCGは軒並み及第点だし、集団戦における壮大さや迫力も良い。

まあこの辺は、時代も違うし予算も違うので致し方ない面もあろう。
しかし、アクションにおいても、殺陣や肉弾戦にキレがあるし、ストーリー展開も唐突感が少なく自然で、様々な演出も一捻り効いていて飽きさせない。

何より、コナン役、ジェイソン・モモアのセクシーさはどうだ!

文句なくイケメンな、ちょっぴりニヒルな甘いマスク!
美しい、と形容して差し支えない肉体美!
キレのあるアクション!
男の俺でさえ、ジェイソン・モモアに全裸で迫られたらノーとは言えない!
そりゃヒロインのタマラも、「辛抱タマラん!」とばかりに股も開くさ!
素敵!アタイを貫いて!!

…とまあ、これだけベタ誉めしながら、俺の胸中に去来する虚しさはなんだろう?
良いアクション、良いファンタジーを見た、それでいいはずなのに。
この名状し難い圧倒的物足りなさは!

本作に足りないもの、それはそう、シュワちゃんだ!

「お前は一体何を言っているのか?」
そう思われるのは最もだ。
しかし、そう感じてしまったものは仕方ない!

どれほど良作であったとしても、ニヒルな笑みを浮かべながらワイルド&セクシーに敵を切り伏せるコナンは、俺の知るコナンではない。
俺の知るコナンは、目ん玉をひんむいて、斬るというよりは殴る所作で、全ての局面を筋力のみで切り抜ける、そんな朴柮とした男だ。

あるいは、クオリティが高いからこそ、些末な所が気になってしまうということもある。
仮面の力云々よりも、娘の妖術の方がどう考えても強いし、それなのにクライマックスバトルに際してはなんで妖術は使わずにフレディズグローブみたいなので戦ってたのかと思うし、仮面を付けて人外の力を手に入れたはずの敵ボスが普通に転落死だし、結局仮面の力って死者を生き返らせるだけなの?とかとか。

シュワ版コナンは確かに粗だらけだったかも知れない。
しかし、それらを丸め込んでしまう問答無用さがあった。
そして見終わった後には、「なんか知らんがとんでもないモノを見たなぁ…」という感情が残ったものだ。

そんなわけで、コナンからシュワちゃんを除いて新たに作られた『コナン・ザ・バーバリアン』は、ファンタジーアクションとして比較的良作に仕上がったものの、シュワちゃん成分が圧倒的に足りないという当然の帰結を迎えることとなった。

これを式で表すとこうだ。

「コナン」―「シュワちゃん」=「シュワちゃん不足」

テストに出るので覚えておくよーに!!