ほんと、何度も何度もこんなこと言いたくはないんだけど…、アツゥイ!!

国が「災害レベルの暑さ」っつってんのに、毎日毎日炎天下で肉体労働に従事しているわけだけど、頭痛、吐き気、手足の痺れといった熱中症の諸症状を、エロいことを考えてごまかすという方法でどうにか耐えている今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

さて、そんなご先祖様も帰省を諦めるような暑い夏を、どのようにして乗り切るべきだろうか?
ウナギを食べてスタミナ増強?
奥日光あたりに避暑にバカンス?

しゃらくせぇ!!

答えは、夏の暑さに負けないくらい暑苦しい映画を見る、ダダダダダ!

例えばそう、『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』だ。

もう何度でも言うが、かつてはこれがヒーローのスタンダードだった!

「鍛え抜かれた知と力」などと謳ってはいるが、知1:力99くらいの割合で、前作よりさらにビルドアップされた肉体を武器に、全編通してほぼ半裸のシュワちゃんがお送りする、暑苦しさメガマックスのヒロイックファンタジー!

それではストーリー!

なんか一仕事終えた風情で戦利品を眺めるコナンと相棒の盗賊。
↑相変わらず厳めしいコナン

↑盗賊のマラク…って、お前誰やねん!?

前作の盗賊サボタイはどこに行ったのか知らんが、気にせず話を進めよう!

そんな二人に、いきなり謎の騎馬集団が襲いかかってくる。
二人は、宝石を盗んだ商人が差し向けた刺客かと思いとりあえず抗戦するが、5、6人ぶっ殺したあたりでネタバラシが行われる。
一団を率いていたのはこの国の王女タラミス。
手下にコナンを襲わせ、腕試しをしていたのだ!
↑怪しい美魔女のタラミス。

腕試しのために手下だいぶ死んだけど、まあ気にすんな!

さて、タラミスが言うにはこうだ。
姪のジェナ姫は、古き言い伝えにある不思議なアザを持って産まれた選ばれし娘っ子。
伝説の宝物、ダゴスの角を求めて危険な旅に出る定め。
姫の護衛を頼まれてはくれまいか?ということだ。
↑胸元パッカンで登場のジェナ姫。

成功の暁には、亡き恋人のヴァレリアを生き返らせてくれるというので、姫の護衛を引き受けるコナン。
どう考えても腹に一物ありそうなタラミス王女だが、そんなことを気にするコナンではなかった!

そんなわけで、コナン、マラク、ジェナ、それに王女の側近のボンバータを加えたパーティーでいざ出発だ!
まず目指すのは、魔術師トスアモンが守る城。
そこには、角を手に入れるための鍵となる宝石、悪魔のハートが安置されており、そこまでの道程を知るのはジェナ姫だけ、さらに、悪魔のハートに触れることができるのもジェナ姫だけ。
なぜなら彼女は、選ばれし娘っ子だから!

と、その前に、相手が魔術師ならば、こちらのパーティーにも魔法使いが必要ということで、前作で神々の墓所を守っていた、魔法使いアキロを訪ねる。
なぜか食人族に食われそうになっていたアキロを助け仲間にするコナン。
↑アジな魔法使いアキロ。
「手を貸せ」「いいとも」の二つ返事で仲間になるぞ!

さらに、途中で立ち寄った村で、村を襲った山賊の残党としてリンチされかけていた女戦士ズーラを助け、彼女もパーティーに加入。
↑棒切れ一本で男どもを翻弄する女傑!

こうして、かなり序盤で仲間集めを完了したコナン一行は、割りとサクッとトスアモンの城に到着。
↑幻想的なお城。

↑魔術師トスアモン。

城が浮かぶ湖畔で呑気にキャンプしてたところ、トスアモンの魔術によってジェナ姫が城に拐われてしまう。
早速城に乗り込む一行だが、仕掛けられたこしゃくな罠により、不思議な鏡張りの部屋にコナン一人が隔離され、モンスターに襲われる。

かなりの苦戦を強いられるコナンだが、偶然と筋力でモンスターを倒し、ドサクサでトスアモンも死亡!
↑魔法関係ない筋肉バトル

こうして、まずは無事に悪魔のハートを手に入れたコナンたち。
しかしその帰路、王女の衛兵たちの襲撃を受けるコナン。
これは余裕で退けるも、王女及びボンバータを怪しみ始めるコナン。
面倒なのでサクッとネタバレしちゃうと、タラミス王女には始めからコナンの望みを叶えるつもりなどなく、ボンバータには、姫の純潔を守りつつ宝物を手に入れたらコナンを殺せという密命を与えていたのだ!

…そんな分かりやすく襲ったら密命の意味ないがな!

そうとは知らない一行が、ジェナ姫に導かれるまま次に辿り着いたのは、古い遺跡のような神殿。
ここで、先程の悪魔のハートを用いることで、ついにダゴスの角をゲット!
ちなみに、ダゴスの角に触れることができるのも、もちろんジェナ姫だけだ。
なぜなら彼女は、選ばれし娘っ子だから!

ここで、壁に書かれた古代の予言を魔法使いアキロが解読して、なんとなく女王の企みが見えてくる。
なんでも、ダゴスの角と純潔乙女を生け贄に捧げれば、強大なダゴス神が蘇り世界終了とのこと。
アキロはコナンにこのことを伝え止めようとするが、コナンは、「見届けてやろうじゃない、彼女の運命を!あとヴァレリアも生き返るしな!といった感じで忠告を無視!

角を手に神殿から出ようとしたところ、再び女王の手の者が一行に襲いかかる。
敵魔術師との魔力比べを制したアキロの活躍などもあり、祭壇奥の抜け穴から逃れるコナン一行。
ちなみに、アキロがまともに活躍したのはこのシーンくらいだ!

と、ここで、満を持してボンバータの裏切りが発動。
抜け穴の壁を崩しコナンらの進路を塞ぎ、ジェナ姫と二人でとっとと国へ帰還。
遅れて脱出したコナンは、ようやく女王とボンバータの裏切りに気付き、儀式を阻止すべく王宮に乗り込む。

コナンの前に立ち塞がるボンバータとの筋肉バトルを制し、今にも殺されそうなジェナ姫をズーラの投げ槍で助ける!
しかし、既に角を装着してしまったダゴス神様は、生け贄がないことに激おこ状態で大復活!
目の前のタラミス王女を角で串刺しにして大暴れ!

これが…
こう!

全然違うじゃねーか!

さすがに相手は神と謳われる存在。
さしものコナンも終始押されまくりだが、「奴の弱点は角だ!」ってことで、力づくで角をむしり取り決着!

そしてエピローグ。
タラミスが死に、王座についたジェナ姫。
女戦士ズーラは衛兵隊長として、魔法使いアキロは参謀として、盗賊マラクは道化として、国に召し抱えられる。


共に旅をして淡い恋心を抱いてしまったジェナ姫は、コナンに共に国を治めてほしいと請うが、コナンはヴァレリアが忘れられず「自分の国を持つ」と言って誘いを断り、それからも旅を続け、やがて乾いた心で王座につきましたとさ。

めでたしめでたし!

どうだったろうか?
ご先祖様は帰って来てくれそうだろうか?
むしろ、ドン引きして一層遠退いたかも知れない。

ざっとストーリーだけみれば、姫を助け、仲間を集め、邪神を倒す、まるでRPGのような王道ファンタジーに見えなくもない。
しかし、本作に通低するメッセージはこうだ。

筋肉こそ正義!

例えば、神殿や遺跡の意味深な石扉、秘密の抜け道に設置された鉄格子などに行く手を遮られるシーンが度々出てくるのだが、その悉くを力づくでこじ開けるという方法で解決している。
これがダンジョンRPGであったなら、クソゲーのそしりを免れないところだ。
見ろやこの筋肉!!

あるいは、ファンタジーらしく敵味方ともに魔法使いは出てくるのだが、魔法を用いても発展先は基本的に筋肉バトルである。

そんな、シュワちゃんの筋肉バトル最優先の作風であるため、物語として首をかしげざるを得ない場面も多々ある。
鍵となる悪魔のハートを手に入れた時点で女王の手先が襲ってきて、コナンも嬉々として剣でポージングしながら応戦していたが、まだこれから角を探しに行かなきゃいけないのに、万一コナンを倒しちゃったらどうすつもりだったんだろう?とか。
↑最高にかっこいい無駄なポージング。

鍵となる悪魔のハートがなければ開かないはずの、ダゴスの角が納められた部屋の扉が、魔法使い同士の魔力比べでパカパカ開いたり閉まったりするのはどうなんだろう?とか。
トスアモンの城でコナンを孤立させた鏡張りの扉が剣で簡単に割れるようなシロモノだったけど、なら始めから鏡割って合流しろよとかとか。

そんな感じで、前作にも増してシュワちゃんの肉体で成り立っているような本作だが、しかし一点、どうしても押さえておかなければならないギラギラ黒光りする魅力がある。

そう、女戦士ズーラだ。

最近日本で流行りの、ぬるい異世界転生ファンタジーではまずお目にかかれないようなルックスだが、ヴァレリア亡き今、コナンの隣に侍るべきは彼女を置いて他にいない!とでも言うべき女傑である。
事実、本編中でもコナンは、ヴァレリアのことを聞かれ、「ズーラに似ている」と答えている。

足を繋がれ、村の男たちに囲まれリンチされそうになっていたズーラは、コナンに戒めを解かれると不敵に笑い、「キェ~!!」と雄叫びを上げ、それまで安全圏でヘラヘラしていた男どもをフルボッコ!
その様はまさにアマゾネス!

そしてその足でコナンの元に馳せ参じると、「あんたのために命を捨てる!」と言ってのける男気!

さらに、「心に決めた殿方がいたらどうするの?」というジェナ姫のガールズトークに対しては、「さっと捕まえて、そして頂く」という、何の役にも立たないアドバイスでもって答える肉食っぷり!

かつて、『猛々しき女たち~アマゾネス』というタイトルのエロ漫画を買ってはしゃいでいた俺としては、頂かれてもやむ無し!と覚悟を決めざるを得ない!

しかし一方で、その腰にはモフモフの獣の尻尾を装備し、暗がりでネズミに驚いて思わず悲鳴を上げるなど、ギャップ萌えまで備えたニクイキャラ設定である!

えー、そんなわけで、シュワちゃんの筋肉と黒人の女戦士がギラギラ光る『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』、今年のお盆は是非とも、茄子やキュウリの乗り物の横に、本作のDVDも供えてみてはいかがだろうか?