ヴェテランは新兵を遠ざける。(Jan. 22, 2024) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

1月22日(月)

 9時20分起床。やや曇り。気温3度。体重72.1キロ。

 亡くなったHさんのブログが更新されるとメールで通知される。今朝も通知が届いたので開けると「長いお別れ」というタイトルで娘さんが逝去の告知とブログを読んでくれた人たちへ感謝の言葉を述べられていた。Hさんにとってブログは人生の大切な一部であったともあったが実際にそうだったのだろう。娘さんの早い反応を見てもわかる。家族たちも応援していたのだろう。ブログのよい店仕舞いをしてもらった。

 昔、友人たちと作った雑誌の創刊号に詩人の田村隆一(ぼくらの世代にとっては戦後詩のスーパースターだ)が2篇の詩を寄せてくれた。新年の手紙についての詩で、年々手紙が来なくなることの寂しさを詠っていた。歳を取るとはそういうことで、歳を取るとはそれを受け入れることだ。新しい友だちも作らない。その気持ちもよくわかる。少し話はちがうが、アメリカの戦争映画でヴェテランーー幾多の激戦を生き残った古参兵ーーが同じ部隊の新兵に冷たく接するシーンを何度も観たがーー同じ映画を何度も観たのか、似たようなシーンを別の映画でも観たことがあったのか記憶にないーー古参兵は多くの戦友を失ってきたので、もう戦友の死に目にあいたくないのだ。

 

 

 朝食を食べながら、ウッドデッキの軒から吊るした野鳥の餌台(リストランテ・トリノ)へやってくる野鳥たちーーシジュウカラ、ヤマガラ、スズメ、アトリ、カワラヒワーーを見る。見飽きることがない。

 

 

 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』の続きを読む。一気に読むのがもったいない本だ。

 午後郵便局へ。灰色の空、八ヶ岳は雲に押しつぶされているように見える。灰色なのは空ばかりではない。地上も灰色にくすんでいる。郵便局で定期預金を解約する。銀行に補充する必要があったのである。理由はお察しの通りで何件かの引き落としが迫っていたのだ。しかし、風景は灰色で薄暗く、預金は減るばかりだが、気持ちは平静である。天候で気分が左右されることはほとんどなくなった。懐具合が淋しいことにも慣れた。ダイソーへ行き、K子に頼まれた羊毛を入れるプラスティックケースを買う。

 帰宅後、居眠りを交えながら久生十蘭『顎十郎捕物帳』を読む。

 夕食はオートミールにとろろをかけて麦とろ風にして食べる。

 ココアを加えたオートミール蒸しパンを作る。

 

 

 喪服を出して試着してみた。喪服は久しぶりだが久しぶりでもよくない。

 YouTubeでアラウのベートーヴェン、ピアノ協奏曲第五番「皇帝」とルービンシュタインのピアノ協奏曲第三番を聴く。2人の巨匠のキャリアの長さには驚嘆する。ルービンシュタインに至っては80年だという。