4月21日金曜日。6時16分起床。曇天。採血採尿。今日は1日血糖だという。3度の食事前後6回。1回目の血糖値は80ほどだった。
日めくりのカレンダーを1枚1枚めくるように1日1日がはじまる。多少の波乱でもあればまだしも、毎日毎日相変わらずの日々が続く。嗚〜呼とため息がもれる。
午前中体調はかんばしくなかった。リハビリの前に屋上を歩いたが、体がだるく足が重い。いつもは10往復ぐらいは歩くのだが、ふらふらと3往復がやっとだった。やはり低血圧が原因だろうか。
今日から冷房になったという。病院内にいるので外の気温はわからないが夏日だったのかも知れない。
金曜日の昼食は麺類と決まっている。といっても、今日は温かいかけそばだったが、ほうとう、焼きそばの3種類が週替わりで出てくるだけだ。もちろん、かけそばとはいっても、前回は竹輪の天ぷらなどが、今回は焼き魚がついてきた。カロリー制限の病院食にすっかり慣れ、慣れたというよりも諦めがつき、不平不満をいう相手もいないので黙々と完食、なぜか空腹は覚えない。
空き時間には牧野信一を読む。iPadのブックアプリで全集を読んでいるが82パーセントに到達した。他の本も読んでいるので無理かも知れないが、入院はあと約1ヶ月続くから読み切りたい。そして読み終えたら、改めて代表作を読みたい。
忘れていたがネットニュースでディケンズの研究者で名訳者でもある小池滋氏の訃報を知った。享年91歳だという。ぼくの恩師の友人だった。言葉を交わしたことはないが一度新宿のバーで恩師から紹介されたことがあった。次に見かけたのは、いまぼくが入院している病院の近くを走る中央線の各駅停車の車内だった。夜8時過ぎのがらがらの車内で本を読んでいると、車両後方のドアが開いたので顔を上げると小池氏だった。山梨大学に講演に行った帰りだろうか。それにしても特急に乗らずに各停とはと思ったが、氏の鉄道好きはつとに有名だし、敢えて各停を選んだんだろう。そう思ったら声をかけるのは遠慮すべきだと思い、前の車両に移る氏を黙って見送った。
夕刻頭がスッキリしないので病院の庭のベンチにすわり、ヘッドフォンでオイストラフが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴く。夕刻の時間に合う音楽はなんといってもヴァイオリン協奏曲だ。心も体もスッキリした。