毎日図書館に通っていたのは樋口一葉だった。(Jan. 21, 2023) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

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八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 8時の気温氷点下4度。来週水曜日は寒気団が張り出し日中の気温が氷点下5度とか。いよいよ厳寒期の峠、いや、谷底へ降るらしい。

 

 

 午前中は井伏鱒二「取材」から「よごのうみ」、「吉備の旅」、「千屋(ちや)の牛市」を読む。どれも興味深いが、「吉備の旅」に登場する有本芳水という詩人の話が、その詩人についての話ではなく、詩人が井伏鱒二たちに語った話が面白かった。この詩人のことは寡聞にして知らなかったが、雑誌「日本少年」の主筆で少年詩を発表し、詩集は版を重ね広く読まれたようだ。また「日本少年」にはのちに大家になる作家や詩人たちの卵が投稿していたようだ。交友が広かった人のようで貧乏で食うに困っていながら大言壮語する石川啄木や、九州の実家が裕福なので早稲田の学生の時に大学近くに一戸を構えて女中も使っていた北原白秋などについての逸話などが面白かった。与謝野鉄幹というのはひどいやつだったという。彼が主催する雑誌の編集時に全国から集まった作品の中に優れたものがあると、それを翻案して自分の名で発表していたのだという。まあ、学者が弟子の業績を己のものにするのはよくあることだ。善い話は薄田泣菫についてで、泣菫という名の由来は、愛する女性が人妻になり、その女の家にまで行き涙を流しながら見るとスミレ(菫)が咲いていたことによるとか。もう一つ東京に出てきた泣菫は上野の図書館で勉強していたが、そこにやはり毎日来て勉強している女性がいたが樋口一葉だったという。薄田泣菫と樋口一葉を読みたくなった。

 

 

 午後2時小淵沢のセルクルへ食パンを買いに行く。K子はフェルトで作ったリースを置いてもらう。散歩しようと、信濃境の井戸尻遺跡へ。土手にはタンポポやオオイヌノフグリやホトケノザが咲いており、池を覗くと池底の泥から赤っぽい睡蓮の芽が出ていた。しかし、風が身を切るように冷たく早々に散歩は取りやめた。帰途カフェ、カッツエン・ストレッケン(伸びする猫)でケーキを買って帰る。

 

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