カワラヒワを捕食するモカ(Dec. 19, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

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八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 9時の気温零下3.5度。正午を過ぎてもまだ氷点下であった。

 五木寛之の「私刑の夏」という短篇を読んでいると、モカが鳥を捕まえた、口に咥えたから入ってくるわよ、とK子がいう。居間と玄関の間のドアを見ていると、猫ドアから鳥を咥えたモカが入ってきた。われわれに獲物を見せにくる。カワラヒワだ。モカは背を向けると食べ始めた。やがてモカが去るとわずかな羽だけが残った。

 

 

 午後は仕事で甲府である。服装で悩む。甲府は気温が高いのではないか。もし数度違えば、厚着をしていけば邪魔になるだろう。結局、厚着のまま出かけた。帰りは確実に気温が下がるはずだからだ。

 

 

 K子に長坂駅まで送ってもらう。空がきれいだ。青みが薄れて水色である。その水色のフィルターが風景にかかっているように見える。

 

 

 甲府までの車中では林京子「雛人形」を読む。短篇だが、重曹的なプロット、深みがある。以前別の小説を読んだ時も思ったが、ほんとうに優れた小説家だ。

 甲府はやはり数度以上気温が高かった。しかし澄んだ風がさわやかで厚着は邪魔にならなかった。

 仕事中にYouTubeにあった赤い鳥「紙風船」と高田渡「夕暮れ」を流す。どちらも黒田三郎の詩だ。

 部屋で休んでいると、この人、知ってますか、といわれる。指さす先にある壁のポスターを見ると、何かの講演会のポスターで、小さく女性の写真がある。演者は片岡という臨床心理士である。吉永小百合のお姉さんですよといわれ、あゝ、そうだったと思った。K子が教えてくれたのではなかったか。彼女もかつて臨床心理士の仕事をしていた。

 Uさんが最近イギリス旅行から帰ったMさんからお土産を渡してと郵送されて来たと、クリスマスカードともに渡してくれる。何歳になっても外国へ一人旅するMさんの健康と裕福さがうらやましい。そして必ずお土産を送ってくる律儀さには感謝である。

 帰りの車中では中勘助「島守」を読む。島というからにはどこか海に浮かぶ島かと思っていたが、信州野尻湖の島だった。中勘助がその島で独居生活をしていたことを初めて知った。中勘助らしい心に沁みる文章だ。

 5時20分長坂駅着。K子が迎えにきてくれていた。今日は迎えの車がいつもより少ない。そういえば高校生が少なかった。駅前は暗い。暗くても車のナンバーに光が当たっていればすぐにわが家の車だとわかる。ナンバーを覚えていたことはかつて一度もないが、今の車のナンバーはアイルランドの伝説的な盲目のハープ奏者ターロック・オキャロランの生まれた西暦なのである。車を買ったらついてきたナンバーがそれだったというわけでまったくの偶然だが、ぼくはこのような偶然がなければナンバーが覚えられないのである。

 夕食後フランス映画『ローズメーカー 奇跡のバラ』を観る。倒産寸前のバラ園が、職業訓練所から前科者など3名を格安の賃金で雇い、品種改良で起死回生を図るというよくある話。美しいバラが見られたのは眼福だった。バラ園は規模ははるかに大きいがわが家の庭に植えてあるジャクリーヌ・デュ・プレを購入したバラ園と似ていた。