薔薇と罌粟(May 29, 2022) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

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八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 8時の気温21度。天気予報では最高気温30度になるとのことだが、空の青も濃くて、予報通り夏日になりそうだ。今日は風も木の枝をわずかにゆするだけだ。

 野薔薇が咲いた。赤薔薇は蕾が数日前に割れたがなかなか開かず、野薔薇に先を越されてしまった。他の薔薇も蕾が膨らんできたし楽しみだ。枯れたと思った白薔薇は、今夏はもう花は見られないだろうが、根元の付近から濃い紅色の芽が伸びて葉が生えてきた。10年以上前に植えた、わが家の薔薇の中ではもっとも古い薔薇で一入愛着があるから嬉しい。

 

 

 薔薇が咲いたのにちなんで、森鷗外訳のウィード・グスターフ「薔薇」を読む。赤薔薇が咲く麗しい朝、溌剌としたかわいい貴族の令嬢、しかし人生の舞台は一気に暗転する。

 ウッドデッキは半透明のビニールの屋根で陽光はある程度遮られるが、今日のような日は暑さが耐え難くなる。そこでディレクターズチェアを庭の日陰に持ち出して読書を続ける。朝はほとんど吹いてなかった涼風が心地よい。日陰が移動するにつれて椅子を移動させて読書を続ける。

 青空文庫にはタイトルに「薔薇」が含まれている作品はグスターフ「薔薇」しかなかった。そこで、深紅のポピーが目にとまったので「罌粟」で検索すると、横光利一「罌粟の中」、三好達治「ケシの花」、小川未明「けしの圃」が見つかった。

 

 

 横光利一は最近よくヒットする。電子ブックの作品集も読書継続中だし、横光利一がもっと読めといってるのかもしれない。「罌粟の中」はハンガリー旅行記である。あるいは『旅愁』のスピンオフ的な小説か。どちらでもよい。タイトルの「罌粟の中」は、語り手が汽車でブタペストに向かっているときに、車窓一面に広がる罌粟の花を見て感動したことによる。線路も罌粟の花におおわれ、列車はその上を走っているのではないかと幻視するほどだったようだ。旅行記だとしても、小説だとしても、異国での孤独感が惻々と迫る。

 三好達治はケシを詠んだ俳句を紹介し、自作の詩をのせていた。小川未明の短編は人攫いにさらわれた男の子が海の母親のもとへ帰る物語であった。

 日陰の読書は快適だ。幸いまだ蚊もでない。日陰が後退し暑くなった。ディレクターズチェアを日陰に移す。何度かそれをくり返す。さあ、もうすぐ予定の読書を終える。最後にチェアを動かし腰を落とすと、尻の下の化学繊維の生地が裂けた。

 

 

 薪を注文する。昨年は40センチの薪1束が300円だったが、今年は40センチがすでに予約で売り切れ35センチしかなく、しかも1束が400円だという。たぶんそれでも他よりの安いと思って注文したが、毎年毎年世知辛くなるばかりだ。望遠レンズの修理賃の見積もりが6万円と出たが、昨日4万7千円で済んだと連絡があり喜んだのも束の間、もうこれだ。結局相殺だ。

 

 

 2時小淵沢のセルクルへ行く。食パンを買う目的以外に、飼い犬のトイプードルをモデルにフェルトで作ってほしいと依頼を受けたK子が依頼主と打ち合わせる用があった。依頼主の犬は11歳で、先に犬を亡くした時の喪失感が半端なかったようだ。わざわざフェルトに埋め込んでくれと犬の毛を切って持ってきていた。

 

 

 綿半で黒メダカ1匹、ヒメダカ5匹、シシトウノ、パセリ、イタリアンパセリの苗を買う。メダカはもっと欲しかったが、水槽には黒メダカは1匹しか残っていなかった。今日注文を出すから水曜日には来ると店員にいわれたが、さびしそうに泳いでいる1匹を捨てておけなかった。メダカように水を溜めていた水槽にはボウフラがわいていたのも、急いでメダカを買った理由だ。