秋の好天。K子が仕事なので留守番。読書をしたかったけれど、ちょっと面倒な返信メールを書かねばならなかった。なぜ面倒だったかと言えば、次にような次第である。
AとBという集団がある。Aは使用者側であり、Bは雇用者側である。説明会が開催されて、AはBが納得できない指針を発表した。Bにとっては寝耳に水の不利な話であった。Bの代表がその説明会に参加していたぼくに意見を求めてきた。ぼくの立場は現在はBであるが、かつてはAの責任者であった。現在はまったくAに影響力はなく、たとえあっても行使するつもりはないが、一方かつてAにあったためにBの一員として仕事を得ている。今回のAのやり方はBに対する配慮に欠け、ぼく自身はAに属していたので予測できたことではあったが、事前の意見聴取も相談もなくいきなり決定事項というのはひどい話だと思い、心情的にはBの人たちと同じである。怒りは共有している。しかし、かつてAにいた身からすれば、Aも上からの命令で事を行っているわけで、それがわかっているだけに怒りの矛先をAに向けることもしにくい。ぼくはAに属していた頃、Bの不利益になることはできるだけ避けるべく頑張っていたものの、その点Bの人たちはある程度評価してくれていたが、上からの命令に従わざるをえなかったという点では現在のAと変わりがない。それゆえに、Bと同じ心情を表白したものの、怒りや批判の矛先が鈍っていたことは否めない。まだ何かを恐れているのだろう。
そろそろ来月の文学講座第25回のチラシの作成を始めなければならないが、プリンターのインクや用紙が心もとないということで午後韮崎へ買物に出かけた。ある和菓子店の前を通りかかると、いつもはほとんど車の駐車しているところを見たことがないのに、今日はいっぱいである。近くに地元でも有名な和菓子店があるのだが、そこよりも客で賑わっている。何かあったのかなと不思議に思っていたが謎が解けた。インクや用紙を購入後、スーパーに入ったら、入口を入ってすぐのところで月見団子が売り出されていた。美味しそうだし、K子も喜ぶだろうと思って買って団子を包んであるビニールに貼ってある紙にあの洋菓子店の店名が書かれてあった。買物に来た人たちが次々に買っていく。他の買物をすませて店を出ようとすると、追加の団子が運ばれてきた。客たちがまた次々に買っていく。知らなかったが、地元の人たちは毎年お月見というとその店の団子を買うのだろう。実は、和菓子というともう一軒の店でいつも買っていたのだが、ある日、あまり流行っていないようだけれどもつぶれもせずに店が続いているのが不思議だ(失礼しました)、一度何か買ってみようと買ってみたら素朴な味で美味しかった。値段も高くない。ということでK子ともどもファンになった。残念ながらお月さまは雲の陰になっていた。
富士山などに横雲がかかり、どうやら天候は崩れそうだ。