本を売る、体の一部を失う。(Jul. 29, 2021) | 微睡のブログ〜八ヶ岳南麓から〜

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八ヶ岳南麓、北杜市長坂町小荒間に在住。ときどき仕事をしながら、読書、音楽鑑賞、カメラ撮影、オートバイツーリングなどの趣味を楽しんでいます。

 朝は曇っていた。気温は22度で、最近はこのくらいの気温が多い。比較的涼しい1日だった。

 9時半佐藤書房から電話がある。須玉インターを過ぎたという。10時過ぎだと思っていたので慌てた。前日に待ち合わせ場所に決めていたサンロード駐車場へ急ぐ。

 人生で初めて本を売ることにした。八ヶ岳文化村(旧小泉小学校)の倉庫に入れてあるダンボール箱30箱分の洋書と文化村内に作ったO文庫内の洋書2,3百冊の売却を決意したのは、もうそれらを読む時間も気力もないからだ。また、上野原市の実家の書庫の整理もしなければならず、今は弟の好意で置かせてもらっているがいずれこちらに運んでこらざるをえず、そのスペースを作る必要に迫られていたからだ。

 佐藤書房とは古いつきあいだ。洋書はもう高く売れず、売れたとしてもがっかりする金額だろう。ならば、どちたにせよ安く買い叩かれるならば、古いつきあいの佐藤書房にいくらかでももうけてもらうことにした。

 佐藤書房は3兄弟で経営しており、次男の社長と三男が大型のバンできてくれた。流石に仕事の手際がよい。仕事がどんどん進むので本との別れに感傷的になる暇もなかった。ありがたい。ただし、思いの断ち切れぬものもあった。ダンボール箱にはサインペンで内容が書いてあったが、もうその段ボール箱ごと持っていってくださいならば問題ないが、箱を明けて中身を確認する必要もあったからだ。開ければ、すべて読もうと思って買った本が詰まっている。手放すのがおしい本がある。これは売らずにおこうと取り除ける。しかし、ふとわれにかえると、同じことじゃないか、いずれ読むこともなく売却せざるをえなくなるのだと思い、再び取り除けた本をダンボール箱の中にもどした。

 作業は2時間ほどで終わり、バンは八王子へ帰っていった。

 

 昼食は原村のペチカという洋食屋で食べ、自由農園の八百屋で野菜を買う。自由農園に着いたときからひどく疲れを覚え、立っているのが辛いほどだったので、帰りの運転はK子に任せた。帰宅後ソファに横になって眠る。

 この異常な疲労感は、どうやら本を売却したことによるらしい。何か体の一部を失ったような気がする。