池に浮かぶ鳥居
無断転用禁止
滋賀県・甲賀市に大池寺という寺院があってのう。
その敷地内の池の中に鳥居が立っているというのじゃよ。
海や湖に浮かぶ鳥居は時々耳にするし目にしたこともあるが、お寺の池は初めてじゃわい。
一度この目で確かめてみたいと思ってのう。
そこで今から一ケ月以上も前の6月中旬のある日、暇に任せてノコノコと出かけて行ったというわけじゃ。
緑豊かな森に囲まれて、お目当ての大池寺はひっそりと佇んでいた。
驚いたことにこのお寺も奈良時代の行基大僧正の創建じゃという。
行基さん、奈良の大仏はもちろん、あっちでもこっちっでもワシの行くお寺は全部お作りになって、一体いくつお作りになったのかのう。
ここは本尊のお釈迦さまや庭園が有名らしいが、わしは池の中に建っているという鳥居を早く見たくてのう。
先ずはその池へ直行じゃ。
これはデカい池じゃのう。
池というより湖のようじゃ。
しかも池全体がスイレンの葉っぱで埋め尽くされている!
これでは池だか何だか分からぬではないかえ。
花も咲いてはいるが何しろ葉っぱが多すぎて、風情がないこと夥しいのう。
池の真ん中にこんな島(?)もあって弁財天が祀ってあるそうじゃ。
遠くに鳥居が見えて来た(〇印)。
この池も行基さんが作ったものらしいぞえ。
水不足に悩む農民のために灌漑用として造成したのだという。
行基さんはすごい坊さんじゃのう。
さすが日本初の大僧正だけのことはあるわい。
お寺の敷地に鳥居が建つのは神仏習合時代の名残なのじゃのう。
この池は干ばつの際に田畑へ水を流すため、池の水が少うなってくると鳥居へ渡る道が現れたという。
以前に琵琶湖に出現した“幻の道”がここにもあった!
しかし葉っぱが多すぎて池の中とは思えぬわい。
冬になれば葉っぱがなくなるかのう。
そのころにもう一度来て、正真正銘の水面に佇む鳥居の姿を見てみたいものじゃ。
やっぱり葉っぱがない方がすっきりするのう。
因みに水中に見えるのは藻のようじゃ。
お目当ての鳥居を見終わったところで今度はお寺を拝観すべく、また参道へ戻って来た。
お寺のほうももちろん行基大僧正の創建らしいぞえ。
書院へ入って行くと、大きく開いた窓から自慢の蓬莱庭園が見えてくる。
この庭は大海原に見立てた白砂の上を七福神が宝船に乗って進んでいる所を表現しているらしい。
江戸時代に入ってから小堀遠州が作庭したものだという。
遠州さんもやたらあちらこちらでお庭作って、よく腰が痛くならなかったのう。
腰痛持ちのワシならとても無理な話じゃわい。
上の二段の刈込は大波小波を、真ん中のいくつかの刈込は七福神が乗った蓬莱船(宝船)の姿を現しているという。
書院を出て本堂へと歩を進める。
本堂に入るとすぐ横に阿弥陀如来立像が安置されていた。
もう一歩進むといきなりデカいお釈迦様が拝観者を圧倒する。
これが正面からの本尊の釈迦如来坐像。
高さ2.4メートルのこの巨大な本尊も行基大僧正が作ったといわれる。
奈良の大仏はもちろん、先日行った龍潭寺や摩訶耶寺もみんな行基さんの手になるものばかり。
行基さん、そんなに働いて大丈夫?
大池寺は奈良時代からの1300年の歴史の中で何度も建て替えられているが、本尊は当時のままのお姿だという。
帰り際に出会ったお狸さま。
ここは信楽焼の地元じゃから当たり前じゃわのう。
無事かえる
若がえる
金かえる
わしもこの縁起担ぎにあやかってカエルわい。
今日はお目当てだった鳥居のついでながら、お寺や庭も拝観できたのはもっけの幸いじゃった。
さて今夜はどこで車中泊をしようかと考えたのじゃが、ここからそう遠くない所に、以前に何度か行った西の湖があることに気が付いてのう。
今夜はそこで車中泊をしながら朝景夕景を撮ってやろうと思いついたのじゃ。
善(?)は急げじゃ。
それ行け、やれ行け。
つづく
無断転用禁止


























