前回のつづき
涼を求め~②蓼科高原から御射鹿池へ
無断転用禁止
今日も文句なしの晴天が続いている。
下界では30℃を軽く超えていることじゃろうて。
しかしここ長野県蓼科高原は標高約1000~1500メートルの高原地帯じゃ。
爽やかな涼風が頬を撫ぜて行くわい。
まっすぐ伸びた道路の先には八ヶ岳連峰が鎮座している。
見渡す限り畑々。
わしの住む山国では見られぬ光景じゃわい。
この辺りをあちらこちらと彷徨してみたのじゃが、めぼしい被写体に出会えぬうちに疲れが出てしまい、森の中のかなり広い駐車場を見つけてひと休みしたのじゃ。
しかしそこで休んでいるうちになぜか写欲も湧かなくなってしまい、今日はいっそこのままここで車中泊してしまおうと、早めに“動くホテル”へチェックインを決め込んでしまったのじゃわい。
この駐車場は西側は開けているが、残りの三方向は鬱蒼とした森に囲まれている。
夕方になれば盛大な夕焼が見られぬものかと、期待しながら運転席から西空を眺めていたのじゃが…
ちょいとばかり“天使の梯子”が現れたり…
小魚が大きな魚に食べられそうな形の雲が出たりはしたのじゃが、格別の変化はないまま日が暮れて行ったわい。
わしはこの辺りの目ぼしい撮影ポイントを知らぬのじゃよ。
今回は避暑が主目的じゃから写真の収穫はなくともこれでよしとしようわい。
それでは明日に期待して。
翌朝は6時半ごろ起床。
湿気が少ないからか、体感は気温以上に涼しいわい。
ここの東空は深い森に塞がれてしまっていて朝景は撮れぬ。
ゆっくりと起床して駐車場の周りを散歩してみたわい。
駐車場から奥へは遊歩道が続いている。
ここを散歩しがてら撮影したかったのじゃが、何となく熊が出そうな雰囲気が漂う山道なのじゃよ。
わしがいつも出掛ける、例の「熊出没注意」の看板が立つ森なら平気の平左じゃが、通いなれぬ土地では入って行く勇気がないわい。
情けないがこの遊歩道の散策は中止して、駐車場の周囲を一巡り。
何の花かのう。
ツツジに似ているところもあるのじゃがよく分からぬわい。
ヘタなことは言わぬが花じゃ😜
お天道様がやっと森の奥からお昇りなったわい。
森の中へも日差しが射し込んで来たのう。
西の空には残月じゃ。
花の名を調べてみるとコオニタビラコ(小鬼田平子)と出るのじゃが、こんな奇妙な名前は聞いたこともないのう。
いつも言うことじゃが植物の名は無数にあって、半ボケ老人にはとても覚えきれぬわい。
こんな花がこの辺りにはやたらに咲いている。
さて、お得意の撮影スタイルじゃ。
寝転び撮影。
さ~てと。
ここは誰も来ないし涼しくてよいのじゃが、いつまでもここに居るわけにはまいらぬわい。
これと言った被写体も見つからぬしのう。
この後はどこへ行こうかと迷ったのじゃが、実は先ほどふと思いついた“秘密の花園”が、ここからそう遠くない所にあるのじゃよ。
これからそこへ行って見ようと思ってのう。
ただしそこへ行く途中にはあの御射鹿池(みしゃかいけ)を通るのじゃ。
過去に何度も述べてきたことじゃが、御射鹿池はかの東山魁夷画伯の名作「緑響く」のモチーフになったとされるため池じゃ。

緑響く(netより)
御射鹿池は以前は車が3、4台停まれる空き地があるだけのひっそりとしたため池だったのじゃよ。
それがSNSなどで徐々に知られるようになってのう。
今では観光バスなども停まる巨大な駐車場が2面も出来て大賑わいになったしまったのじゃわい。
そのために池の周りには柵が張り巡らされて、池の傍には行けなくなってしまったのじゃ。
いや、当時から柵はあったのじゃが、入り口は開いていて、池の縁まで自由に入って行けたのじゃわい。
しかしいつの間にかその入り口も閉じられてしまってのう。
そうなると道路際からの撮影に限られてしまうため、変化のない画一的な写真ばかりになってしまうのじゃよ。
そんな理由があって、もうここへわざわざ来て撮影したいという意欲は無くなってしまったというわけじゃわい。
去年は久しぶりに来るには来たのじゃが、ただ通りすがりにちょいと寄っただけで、本気撮影をする気にはなれなかったのう。
到着してみると、今日は駐車場が思いがけなく空いているわい。
昨年はもっと多くの車が停まっていたのにのう。
駐車場はこのほかに道路を挟んでもう一面設置されているのじゃが、秋のシーズンになれば両面ともきっと満車状態になることじゃろうて。
なるべく「緑響く」に近いアングルで撮りたかったのじゃが、池の傍まで入って行けぬため、前面の樹木が邪魔になってうまく行かぬわい。
以前はこのレンゲツツジを至近距離まで近づいて左右上下と撮りまくったものじゃった。
この浮島も懐かしいわい。
冬には全面凍結してこの浮島にも雪が積もり、浮島と思えぬぐらいになっていたのう。
カモもよく見かけた。
全面凍結間近になったころ、未凍結のほんの狭い水面をカモが泳いでいたことがあってのう。
そこが凍ってしまったらカモの居場所はどうなるのかと心配したものじゃった。
池畔に見えるあの緑の草は昔も今も印象深い。
ここの秋は黄葉が主体の彩りになるぞえ。
無風の時は池面が見事な水鏡になるのじゃが、今日はあいにくさざ波が立っていて残念じゃ。
さあて。
この池はこのぐらいで打ち止めじゃ。
それでは今朝になって思いついた“秘密の花園”へ今から行って見るとしようか。
秘密の花園と言ってもワシが勝手にそう思っているだけで、実は誰もが知っている花園かもしれぬがのう。
しかし久しぶりじゃから場所が分かるかどうかちょいと心配なのじゃ。
つづく
無断転用禁止



























