前回のつづき
幻の道を歩いた
無断転用禁止
時は昨年12月中旬ー。
琵琶湖東岸の”定宿‟で車中泊した翌朝じゃ。
この数ヶ月間の降雨量が少なかったために琵琶湖の水位が下がり、湖上に浮かぶ奥の州と呼ばれる中州まで歩いて渡れる「幻の道」が出現したと聞いてやってきているのじゃわい。(前回まで)
お天道様はお出ましになったが、ここ東岸側の日の出は当然ながら琵琶湖とは反対側からじゃ。
この辺りは夕日の名所じゃから朝は人影もまばらでありがたいわい。
そこを狙って、夕べ車中泊した”定宿”から「幻の道」付近の駐車場へ車を乗り入れた。
予想通り駐車場はガラ空きじゃ。
おや。幻日じゃのう。
久しぶりに見たわい。
幻日が現れると願い事が叶うとか、吉祥の予兆だとか言うぞえ。
むふふふ。
湖畔の堤防から階段を降りて行くと、木々の間に泥道が通っている。長靴を履いてきてよかったわい。
この道は大勢のカメラマンや観光客が行き交ううちに、自然にできてしまったけもの道(?)じゃろうのう。
湖底へ降りてみて気が付いたのじゃが、ここには目の前にかなり大きな流れが行先を阻んでいたのじゃよ。
ここからでは中州へ渡れぬわい。
もう一度仕切り直しじゃ。
最初の堤防付近へ戻って、もう一本の別の道をたどって行く。
これでやっと中州まで行けるわい。
最初の道はこの水流が行き先を阻んでいたのじゃ。
「幻の道」は思ったより砂地が締まっていて歩きやすい。
歩きながら眺める左方の景色。
右方を眺めると浮島が見える。
これはワシがいつも撮影に行くハスの群生地から見えていた浮島かもしれぬわい。
奥の州の入り口にたどり着いた。
枝に漂流物が引っ掛かっているのは、以前はここまで水位があった証拠じゃろうのう。
中州へ侵入じゃ。
道らしい道はない。ちょっとしたジャングル状態じゃわい。
ターザンにでも出くわしそうじゃ(古っ)。
ここには小道が付いているわい。
小道を進んでいくと石碑が立っていた。
「飯開神社跡地」の文字。
碑の裏に刻まれた文字を読むと、正暦3年(992年)にこの地を襲った風水害により、ここに鎮座していた飯開神社(いびらきじんじゃ)が流失したため、大治5年(1130年)に対岸の陸地へ遷宮したのだという。
992年か…。
気の遠くなるような古い話じゃ。
ワシの方がよっぽど若いぞえ😁
中州を横断して反対側の岸辺へ出てきた。
白鳥が仲良く逆さまになっているわい。
水草を食しているようじゃ。
辺り一面に羽根が散乱している。
ここでも食事の真っ最中じゃ。
うらやましいのう。わしゃまだ朝食前じゃというのに。
何の実かは定かでないが、あちらこちらで見かけたわい。
「奥の州」はその名の如く、意外に奥が深うてまだまだ続いているのじゃが、わしゃもう腰が痛うて痛うて、これ以上奥まで行こうものなら途中でダウンしてしまいそうじゃ。
ダウンしてもここには救急車は来てくれぬしのう。
名残惜しいがもう退散するしか仕方がないわえ。
あとから知ったことじゃが、奥の州に立ち入るときは自然破壊防止のための配慮をしてほしいという市の意向があるらしい。
こりゃ途中で引き返してきて却ってよかったかもしれぬわい。
自然破壊に一役買ってしまっては後味が悪いからのう。
ただし立ち入りを禁止しているわけではないというからまずは一安心。
ふたたび「幻の道」を対岸へ向かってヨタヨタと戻って行った。
道幅はかなり広く平坦で、こんな老人でも危険を感じることは何もない。
中央奥に小さく見える山影はどうやら伊吹山のようじゃわい。
途中で見掛けた流木。
湖岸まではまだまだ遠い。
ヨタヨタ、トボトボ…。
頑張れカメじい。
フラフラ、ヘロヘロ…。
やれやれ。
何とか元の湖岸へたどり着いたわい。
振り返ってみると、まだ人影はない。朝は静かなものじゃ。
冥途の土産に歩いてみたかった「幻の道」や奥の州に何とか行ってこられたわい。よかったよかった。
それでは「動くホテル」へ帰って待望の朝食にありつくことにしようわい。
白鳥がうまそうに水草を食していたからのう。
あれを見たらわしも腹が空いてきたわい。
食事が済んで一休みしたら、もう一度いつものハスの群生地へ行ってみるつもりじゃ。
何じゃと?
まだ帰らぬつもりかいな!
あれほど疲れた疲れたと言いながらのう。
まったく度し難いカメじいじゃわい😬
つづく
無断転用禁止




























