雨柱立つ高ボッチ高原 | 87歳の車中泊奮闘記~風景写真に魅せられて~

87歳の車中泊奮闘記~風景写真に魅せられて~

風景写真に魅せられた後期高齢者が、車中泊を繰り返しながら撮影を楽しむ様子です。
                       
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雨柱立つ高ボッチ高原

 

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 ご無沙汰してしまったのう。

 

 毎日撮影に行きたくてやきもきしているのじゃが、こうも暑くては表へ出る気力もなくてのう。

 

 こんなに暑い日に撮影などに出かけたのでは、年寄りなどひとたまりもないわえ。

 

 と言っても、毎日々々部屋に閉じこもって冷房漬けになっていたのでは身体は鈍るし、半ボケ頭はまますますひどくなるばかりじゃ。

 

 しかし一つだけいい手はあるのじゃよ。

 

 それは標高1000~2000メートルぐらいの高原へ撮影に行くことじゃ。

 

 そうすればいい運動にはなるし、何よりも気温が涼しい。

 

 さわやかな風が吹き渡る大自然の中に身を置いて、楽チンに撮影ができるからのう。一挙両得というものじゃ。

 

 そこで今日は久しぶりに長野県の高ボッチ高原へ行ってみることに決めたのじゃ。

 

 何かを撮りたいというアテはない。

 

 まあ運動がてら、撮影がてら、避暑がてらというヤツじゃわい。

 

 長野県のほぼ中心に位置する、このちょいと変わった名前の高原は、すぐお隣りの霧ケ峰高原ほど一般的に名を知られていないのじゃが、それでも風景写真のマニアの間では知らぬものとてないほど有名な高原じゃ。

 

 なぜ有名かと言えば、ここには諏訪湖と富士山のコラボが撮れるビューポイントがあるからじゃ。

 

 秋から冬へかけてはお目当ての写真を撮るために、真夜中から続々とマニアが登ってくるぞえ。

 

 しかしこの撮影ポイントはワシとしてはあまり興味はないのじゃよ。

 

 今までにも何度も述べたことじゃが、ここを素材とした写真は今までに先人たちが寄ってたかって撮りまくっているからのう。

 

 そんな所へこんな老人がのこのこ出かけて行ってみても、それを凌駕するような傑作は撮れるはずはないと思ってのう。

 

 じゃから、わしゃここは素通りして、だ~れもいないほかの場所でこっそり写しているのじゃよ。

 

 

 

 

 さて高ボッチ高原はワシの住処から高速道路で約2時間半。

 

 着いてみると青い空に白い雲、あちらこちらにはシシウドが咲き誇り、いかにも高原らしい夏の風景が広がっていたわい。

 

 写真の話なぞ抜きにしてもやはり夏の高原は気持ちがいいのう。

 

 

 

 

 気温が最も上昇する時間帯でも26℃。

 

 下界じゃあ40℃に迫る暑さが続くなどと騒いでいる時にこの気温じゃぞえ。

 

 それだけでもここへ来た甲斐があったというものじゃ。

 

 

 

 

 ここが前述のカメラマニアのメッカともなっている撮影ポイントじゃ。

 

 今日のような夏の真っ昼間では富士山も霞んでしまって見えぬし、何の変哲もない風景じゃがのう。

 

 しかし秋から冬へかけての夜明け前には幻想的な光景に出っくわすことが多いのじゃ。

 

 そんな光景を狙ってその季節になるとこの辺りに三脚がずらりと立ち並ぶのじゃわい。

 

 

 

 

 高ボッチ高原から見えるあの遠くの山は標高約2000メートルの鉢伏山じゃ。

 

 わしゃあ明日の朝にはあの山から撮影しようと思っているのじゃよ。

 

 かなりの山道じゃが舗装はされているからのう。

 

 こんな年寄りでも車で難なく登って行けるのじゃわい。

 

 

 

 

 明日の本番に備えてロケハンがてら鉢伏山へ登って行ってみたわい。

 

 あの山荘付近で標高は1840メートル。

 

 そこまでは車で行けるのじゃ。

 

 若いころはあそこから徒歩で頂上まで行ったものじゃが、この歳ではもう無理な話じゃ。

 

 

 

 

明朝はこの辺りから撮影しようと思ってのう。

 

先ほどまで居た高ボッチ高原が画面左上の一番奥に見える。

 

 

 

 

 ロケハンを終えてふたたび高ボッチ方面へ降りて行った。

 

 これから今夜のねぐらへ行くつもりじゃ。

 

 

 

 

 鉢伏山と高ボッチの中間地点まで下りてきた。

 

 ここが長年のわしの定宿じゃ。 

 

 ここは西向きなのじゃがのう。車が2、3台停まれるぐらいの空き地があるのじゃよ。

 

 昔はここに泊まりながら夕景や夜景を撮ったものじゃ。

 

 ところが近年は前面の樹木が成長してしまってのう。

 

 眼下に広がる市街地や遠くの北アルプスなどがほとんど見えなくなってしまったのじゃ。

 

 まあ今日はこれと言って撮影の目当てはないからのう。ただ落ち着いて眠れる所ならどこでもよいのじゃ。

 

 

 

 

 と、しばらく車内で一休みしながらTVを眺めていると、先ほどまであんなに晴れていた空がにわかに掻き曇り、真っ黒な雲が広がって来たのじゃ。

 

 

 

 

 その黒雲の間から「天使の梯子」が出現してきたわい。

 

 早速その光景を撮ろうとしてみたのじゃが、やはり手前の樹木が邪魔をしてうまくいかない。

 

 

 

 

 どうしても枝の端が写ってしまうわい。

 

 あとからトリミングしても中途半端な画像になってしまうしのう。

 

 

 

 

 これではあきらめるしかないわい。

 

 また車へ戻り、この地方のTVを見るともなく見ていたのじゃよ。

 

 すると天気予報士のお姉さまが、「現在の松本市には雨柱が立っていて大雨になっています」と言ったのじゃ。

 

 何じゃと?

 

 松本と言えばはこの辺りではないかえ。

 

 ということは今わしが見ているこの黒雲の下には雨柱が立っているということかえ?

 

 しかしここからでは目の前の林が邪魔になって見えぬのじゃ。

 

 こうなったら高ボッチへ引き返して行くしかないぞえ。

 

 あそこなら西方面が大きく開けているわい。

 

 大急ぎで高ボッチまで直行じゃ

 🚗ダッシュダッシュダッシュダッシュダッシュ

 

 

 

 

 あわてて北アルプスのビューポイントまで来てみると…

 持ち合わせのレンズでは収まりきらぬほどの巨大な積乱雲の下で雨柱が出現している。

 

 写真では見たことがあるが実物には初めてお目にかかるわい。

 

 

 

 

 黒雲の中から滝のように大雨が流れ落ちている。

 

 名前の如く太い柱のようじゃ。

 

 今ごろあの下は突然の豪雨でてんやわんやの大騒ぎじゃろうのう。

 

 雹が降ることもあるというしのう。

 

 

 

 

 それにしてもデカい積乱雲じゃわい。

 

 

 

 

しかし雨柱のすぐ横では夕日が射していいお天気じゃ。

 

 

 

 

豪雨なぞどこ吹く風の黄昏じゃわい。

 

 

 

 

 明と暗。この差はどうじゃ。

 

 

 

 

 

 場所をちょいと移動して牧場地帯へやって来たわい。

 

 

 

 

 お天道様はもうお隠れになったようじゃ。

 

 

 日没後の余韻。

 

 

 

 

 雨柱を作った黒雲も崩れてきたようじゃ。

 

 

 

 

 牧場内の水たまりが光る。

 

 はっきりは分からぬが、これは放牧した牛馬などの水飲み場かもしれぬのう。

 

 

 

 

 市街地にも明かりが点いた。

 

 わしも今日のところはこれで”店じまい‟とするかのう。

 

 

 

 

 また先ほどのねぐらへ戻って来たわい。

 

 

 

 

 午後7時半近くで気温は21℃。

 

 今夜はクーラーどころかヒーターのお世話になるぐらいの気温になるじゃろうのう。

 

 やっぱり夏の撮影は高原に限るわい。

 

 それでは前祝いに乾杯するとしようか。

 

 ん? 何の前祝じゃ?

 

 理由なぞ何でもいいのじゃ。

 

 何でもよいから乾杯じゃ、乾杯じゃ🤪

 🍱🍺

ダウン

💤💤💤

 

つづく

 

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