前回のつづき
月夜の枯蓮模様
無断転用禁止
夕陽に染まる湖面に枯蓮が影を落としている光景を撮ってやろうと、ここ琵琶湖畔へやって来たのじゃよ。
しかし残念ながら強風のために波が強く、湖面に枯蓮が映り込まないのじゃ。
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撮影をあきらめ、傷心の身をトボトボと駐車場まで戻ってきたのじゃが、その時何気なく空を見上げるとお月さまがぽっかり浮かんでいるではないか…。
(前回まで)
そこで、昼間のリベンジを夜に果たしてやろうと、疲れた老体を奮い立たせて、またヨタヨタと撮影ポイントへやって来たのじゃ。
時刻は午後11時。
ネット検索によると月の入りの公式時間は0時24分となっているが、早めに撮り始めた方が余裕を持って撮影出来るからのう。
ふむふむ。
なかかかいい光景じゃ。
しかもじゃ。
ありがたいことに夜になってから風がピタリと止んでいるではないかえ。
こりゃいいぞえ。
これなら湖面に枯蓮の影が映っているかもしれぬわい。
早速撮影してみると…
おお!
影がくっきりと映っている!
折れ曲がったハスの茎とその影で出来た奇妙なひし形があちらこちらにひしめいているぞえ!
まさかこんな展開になるとは思わなかったわい。
お月さまのお陰で思わぬ儲けものをしたのう。
それにあれほど吹きまくっていた風まで止んでくれたのがなによりじゃて。
思いも及ばなかったことが起こるものじゃわい。
これがあるからカメラがやめられぬというものじゃ。
これで余裕をもってほかの風景も撮影できるわい。
夕方の荒れた波がウソのような沈黙の湖面。
その中にポツリポツリとお星さまの影が宿る。
湖面を煌々と照らすお月さま。
南寄りの風景を撮ると画面が一段と黄色味を帯びる。
北西から射し込む月光のせいか、はたまた遠くの街の灯のせいなのか。
湖の中に鎮座する竹生島の手前には枯蓮の群れ。
波が荒かった夕方はこの幾何学模様が何としても撮れなかったというのに…
それが今ではいくらでも撮り放題じゃ。
それにお月さまやお星さまのおまけ付きじゃわい。
お月さまに露出を合わせると半月の形がよく分かる。
その代わり辺りの景色は真っ黒けじゃ。
お月さまが地表に近づくに従って、辺りが徐々に黄色味を帯びて来た。
湖面も黄金色じゃ。
月の入りが近づいて来ると色合いはますます濃くなって赤味を帯びてくる。
お隠れの時が来たわい。
今夜はこれでお別れじゃ。
お月さまが沈んた後はあっという間に暗闇に。
あとは街の灯りだけになったわい。
さあ、わしもこれで引き揚げじゃ。
‟動くホテル”へ戻ってきたときは真夜中の1時40分。
明日は思いっきり寝坊してやるわい。
ラッシュアワーが収まったころにゆっくりご帰還じゃあ。
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おしまい
無断転用禁止























