雪のない朝 その1
無断転用禁止
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手元の電話が鳴った。数日前のことじゃ。
「今朝はダイヤモンドダストが出たって、テレビで言っていた。明日の朝も冷え込むらしいよ」
電話は娘からじゃった。
ワシの住処の近辺でダイヤモンドダストは無理かもしれぬが、冷え込むということなら何か冬らしい獲物が見つかるかも知れぬのう。
それでは手っ取り早いところで、また近所のダム湖へでも行ってみるか。
どうせ暇じゃ。
雪なんぞ待っていたらいつまで経っても撮影に行けぬわい。
あのダム湖なら2、30分の距離じゃ。車中泊しなくても済むからお手軽じゃ。
と、その夜はごそごそと撮影機材を確認し、自宅で早寝。
☆
あくる朝は午前5時過ぎに目を覚ました。
午前6時にダム湖に到着すると気温は-5℃。
なるほど。この地方にしては冷え込んだ方かのう。
辺りはまだ薄暗い。
ヘッドランプを頼りにそろりそろりと河川敷へ降りて行ったわい。
谷間の辺りでは朝焼けが始まっている。
未明の空が暁闇の湖を照らす。
周りはまだ薄暗い。
河川敷一帯も霜で真っ白・・・。
秋には華やかに舞い散ったイチョウも今は哀れじゃのう。
晴れ姿を見せてくれたモミジもご覧の有様じゃ。
だんだん明るくなってきたわい。
おや?
何か流れてきたのう。
氷じゃ。
湖に注ぎ込んでいる支流から流れてきたようじゃ。
未明の朝焼けで氷がうっすらと色づいているわい。
しかし山蔭は相変わらず薄暗いままじゃ。
ワシの本来の撮影目的はというと…
実はこの岸辺に朝一番の光が飛び込んで来る瞬間を撮影したいのじゃよ。
だがあらかじめお天道様の位置関係を調べたところでは、この数日間はここには射し込まないようじゃわい。
しかしこれから春に向けて、お天道様のお出ましが少しずつ北に移動して行くからのう。
多分、2月になればこの岸辺に光が当たるようになると思うのじゃがのう。
2月になったらまた改めて来てみるわい。
ただし今日がダメじゃからと言って、せっかく乗り掛かった舟じゃ。
今さら帰れるものではないわえ。
ちょいとばかり毛嵐が湧き出した。
サギはまだ身じろぎひとつしない。
氷流はまだ続いている。
色づいた氷模様もなかなか面白いわい。
しかし日陰の氷は薄暗いままじゃ。
おや…。
谷間から光が入ってきたぞえ。
いよいよ朝ドラが始まるのかのう。
つづく
無断転用禁止






















