さて翌日じゃ。
まだ夜明け前じゃが、早めに現場に着いて日が差すのを待ち構えようと思ってな、車を走らせたわい。
辺りはまだ薄暗い。
そんな中、試しに5、6枚撮影したところで、とんでもないことが起こったわい。
何と、突然シャッターが切れなくなっちゃたんじゃよ。
あちらこちらをひねり回してみたんじゃが、ピクリともしない。
こうなるとカメラなんてただの重い塊りじゃ。何のクソの役にも立たんわい。
こうなったらもう引き上げるしかない。
傷心の身を車内に横たえながら、未練がましく横目でカメラを眺めた。 ひょっとすると朝露のしずくでもカメラに入ったのじゃなかろうか、早速帰宅してドライヤーで乾燥させてみようかいな。
そう言えば、以前にも雨に濡れたカメラが動かなくなり、ドライヤーで乾かして直したことがあったわい。
ちょっと元気が出てきて帰宅し始めた。
ところが皮肉なことに、いつの間にか辺りの山々は霧がたなびき、雲海も出て、誠にフォトジェニックな光景になっているんじゃよ。
そんな光景が、幹線道路を走っている間も続き、悔しいのなんのって・・・。
帰宅して早速ドライヤーを当ててみた。
ダメじゃ。
ウンともスンとも言わないぞえ。
カメラ店へ直行じゃ。
しかしカメラ店はつれない返事。修理には出すが帰ってくるのは1ヶ月先じゃという。
秋から冬へかけての、このいちばんシャッターチャンスの多い時に、1ケ月も待てますか?
待てるわけがない。
ついに買っちゃったね。新発売になったばかりのフルサイズのミラーレスカメラ。
道楽というものは恐ろしいもんじゃ。衣服や食い物なぞにはまるで見向きもしないのに、カメラのこととなると、無関心な人から見れば理解に苦しむようなことを平気(?)でやっちゃうんじゃからなあ。
ミラーレスカメラなんて初めて持つんじゃが、果たして扱えるようになるのじゃろうか。多分苦労するじゃろうな。

