有機栽培という言葉が登場して久しいですが、普通に我々がスーパー等で購入する野菜は、多くの場合が農薬まみれ、かつ化成肥料のみで栽培されたものが多いです。
そのような野菜の多くは、形は良いですが、甘みが少なく正直美味しくありません。農薬は健康に少なからず害を与えます。
一方、有機栽培で作られた野菜は、形は不ぞろいですが、味は良いものが多いです。
本当に出来がいい野菜であれば虫食いも少ないので農薬は必要ありません。
この違いはどこからくるのでしょうか?
これを解決するのが土壌中の微生物の数だと考えられます。
土中の微生物と作物の関係は、作物が生育するために重要な関係があるようなのですが、学術的には良く解明されていないようです。
微生物を豊富に含む堆肥を使った有機栽培では、微生物の働きで栄養分が効率良く作物に供給され、生育も良くなり味も良くなるのだと考えられます。
ただし、堆肥と言ってもその種類は大きく二つに分かれます。
その前に、堆肥は法律的には「肥料の品質の確保等に関する法律」によって特別肥料に定義されています。
一般的に化学肥料とか化成肥料とか呼ばれる無機成分の肥料は普通肥料とされています。
それに対して、堆肥や米ぬかなどの有機成分を含む肥料が特別肥料とされています。
化学肥料は有機肥料、有機堆肥に比較して良くないイメージがありますが、含まれる栄養成分による生育効果だけで言えば化学肥料の方が優れています。
ただし、化学肥料は無機質なので、それによって土壌が微生物で活性化した状態にはなりません。
一方の特別肥料に分類される堆肥は、栄養成分の量が一定でない点がデメリットですが、有機なだけにたくさん含まれている微生物によって投入した畑等の土壌を改良します。いわゆる土壌改良剤としての効果が高いです。
堆肥は、一般的には牛糞堆肥とか鶏糞堆肥等の家畜糞尿堆肥がイメージされると思います。実際に流通している堆肥の大部分は、家畜糞尿堆肥です。
しかし、私が取り上げたいのは家畜糞尿堆肥ではありません。
野菜くずを中心とした食品残渣による堆肥です。
家畜糞尿堆肥は、窒素・リン酸、カリウムの肥料の三大成分をそれなりに含んでいて効果も高いですが、デメリットとして病原菌が含まれることが多い点が挙げられます。
家畜の糞尿がベースですから、すぐに嫌気性の微生物が発生し、病原菌を発生しやすくなります。
家畜糞尿を堆肥していく際に、じっくり時間をかけて、いわゆる完熟した発酵状態になれば病原菌の発生も少なくなるのですが、そのような家畜糞尿ベースの堆肥はほとんど見当たりません。
何故なら家畜糞尿の堆肥化に、コストをかけられないからです。
堆肥化しても化学肥料のように高い値段が付かないので、作る方もほどほどに発酵させ完熟させることはありません。
完熟した堆肥であれば家畜糞尿ベースであっても、それほど悪い臭いは発生させなくなります。
一方の野菜くずを初めとした食品残渣の堆肥は、最近の世界的なエコ志向の高まりにより食品工場での残渣処分の一環として脚光を浴びだしたところです。
大規模な食品工場は、食品製品や弁当製品等を作る際、大量の食品を扱いますが、この時に野菜くずなどの材料加工くずが食品残渣であり、毎日たくさん廃棄されています。
ちなみに外食産業のお店やスーパー等の廃棄物は一般廃棄物になります。
食品残渣は、産廃物として産廃業者に委託して焼却処分され、焼却後の灰は最終処分場に埋められることが一般的です。
食品工場は高い焼却代を支払っています。
しかしながら、昨今は地球温暖化が叫ばれるようになり、大量にCO2を排出する焼却処分が敬遠されるようになってきました。
そこで注目を浴びだしたのが食品残渣を微生物で発酵させて堆肥化する技術です。
微生物による堆肥化は、処分費が焼却処分に比較するとかなり安く、堆肥化されて畑に投入され、畑の地力を回復します。その結果、味の善い作物を育てらることから、いいことずくめなのです。
ただし、堆肥化する技術は簡単ではない点が普及しづらい要因になっています。
堆肥化は、好気性の微生物を使って発酵させます。日本酒を作る時の発酵と同じ原理です。
微生物とは言え、生き物を使うために、材料、天候等の諸条件に左右され、完熟した堆肥にするのはとても難しいのです。
私が関与している堆肥化事業所では、放線菌という好気性の微生物を使って、野菜くずを中心とした食品残渣の堆肥化を2年前に実用化しました。それまで15年以上の研究開発期間がかかっています。
完熟した堆肥を作り販売出来るようになることは、そのくらい大変なことなのです。
出来上がった堆肥は、周辺の農家に試してもらっていますが、とても評判がいいです。
まさしくSDGsを実現化しつつある堆肥です。
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放線菌によってつくられた食品残渣を原料とする堆肥が、何故作物の生育に善いのかは、次回に詳細を説明したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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