前回の続きになります。
食品工場から廃棄される野菜等の食品残渣をベースに、放線菌で作った堆肥について紹介しました。
世の中、SDGsの流れから循環型社会が叫ばれていますが、私が関与している食品残渣の堆肥化は、まさしく循環型社会を目指しています。
皆さんが外食したり、テイクアウトする外食チェーン店の大部分の食品は、大規模な食品工場で作られています。
食品工場では野菜や穀物、肉、魚等を調理して製品化し、外食チェーンの店舗やスーパー等の量販店に卸します。
食品工場では野菜くずを初めとして、食品原料の未使用部分が毎日かなりの量が廃棄されます。
この廃棄物は、産業廃棄物になりますので、産廃業者に処分委託され多くの場合は焼却処分されます。
一部少数は堆肥化されてもいます。堆肥化は難しいうえに時間もかかることからほとんど普及していません。
出来た堆肥は、周辺の農家に使用してもらい野菜を作ってもらっています。
その野菜を、元の食品残渣を排出した食品工場に納品しています。
これが食品リサイクルループ事業で国の認定事業でもあります。
この一環として作られた堆肥が、ご紹介した永遠土(とわーど)です。
植物性たい肥「永遠土」|オンラインショップ「おむすび」 (calseed.co.jp)
永遠土の特徴は、善玉微生物である放線菌によって作られた完熟堆肥であることです。
含まれる窒素、リン酸、カリウムの量は、牛糞や鶏糞に比較すると見劣りします。
そこで、永遠土の効果がどの程度のものなのかを検証するため、熊本県菊池市のごぼう農家に試してもらいました。
ごぼう農家では、牛糞堆肥を中心使っていたのですが、一部だけ永遠土に変えて、ごぼうの生育を比べてもらったのです。
結果は圧倒的に永遠土を使った方が良かったのです。
牛糞堆肥を使用したごぼうは永遠土を使用したごぼうよりも生育が遅く、葉はやや黄色くなっています。(前掲のリンク先「おむすび」の最後の方に比較写真を掲載)
収穫後の味も圧倒的に永遠土の方が甘みがありました。
成分は牛糞堆肥の方が上なのに、結果は反対になったのは何故でしょうか?
我々の知識ではその理由は分かりませんでした。
そこで、佐賀大学農学部の染谷名誉教授に見ていただいたことろ、「牛糞の方は病原菌による病気の状態で、永遠土の方は含まれる拮抗菌(きっこうきん)が病原菌を駆逐したのだと思われます。」との見解でした。
拮抗菌とは、病原菌などの悪い微生物を食べてしまう善玉菌のことで、永遠土に含まれる放線菌は拮抗菌の一種なのだそうです。
栄養成分を多く含む牛糞堆肥ですが、家畜の糞尿だけに病原菌も含みやすいというデメリットもあるのです。豚糞や鶏糞ベースの堆肥も同様で、完熟していないと病原菌を含む場合があるので使用には気を付けなければなりません。
食品残渣を放線菌で発酵させた堆肥には、たくさんの放線菌が含まれています。
この堆肥を土の中にすき込むと、土の有機分を分解しようとして休眠していた放線菌が活性化します。
この時、土に病原菌が含まれていたら、病原菌も駆逐していくそうです。これが拮抗菌の性質です。
その結果、病気にならない丈夫な作物が出来て、なおかつ味も良くなるのです。
食品残渣を放線菌で堆肥化したものは、土壌改良剤としても最適です。地力が弱った畑に入れてみればよく分かります。
また、牛糞堆肥等と混ぜて使うとより効果があると思われます。
いずれにしましても、これからは完熟した善玉微生物が多く含まれる堆肥が、国内の地力を向上していくはずです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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食品由来の堆肥『永遠土(とわーど)』
放線菌が土中の病原菌を駆逐します。善玉微生物がたくさんいる土に変えます。
植物性たい肥「永遠土」|オンラインショップ「おむすび」 (calseed.co.jp)
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