どんなコーヒーを飲ませてくれるのか、楽しみになってきた淳。そんな期待を胸にカフェ・シェリーへ到着した。
カラン・コロン・カラン
「いらっしゃいませ」
その声を耳にした瞬間。
「あ、のりねぇ!」
「淳くん、久しぶり」
「のりねぇって、ここで働いてたの?」
「うん。それよりも淳くん、おばさんが心配してたよ。家を飛び出したきり、ぜんぜん連絡がないって」
それに対して淳は何も言えなかった。
「まぁまぁ、その話は後にしましょう。柊さん、席を準備していますのでそちらへ」
マスターが割って入り、二人は窓際の席へと案内された。
「まさか、のりねぇがいるからこの店に連れてきたんですか?」
「いや、それは私も後から知ったんだよ。ひょっとしたら淳が自分のいとこかもしれないって。でも詳しい事情は聞いていない。それよりも今日は私と淳、二人のこれからのことを考えようと思ってやってきたんだ」
「それなら、この店じゃなくても…」
「これからの二人のことを考えるには、ここの魔法のコーヒー、シェリー・ブレンドの力を借りたいんだよ」
「魔法のコーヒー?」
不思議な顔をする淳。柊は目でマスターに合図を送る。その合図でマスターはコーヒーを淹れ始めた。
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/