「あの…今、淳って言いました?」
のりこがそう尋ねてくる。
「あ、はい」
「ひょっとして、お相手の名前って飯田橋淳っていうんじゃないですか?年齢は26歳」
「えっ、のりこさん淳のことご存知なんですか?」
「たぶん。彼、私のいとこかもしれない」
これには柊も驚いた。
「でも、まだ確定したわけじゃないから、私がここにいることはまだ淳くんには黙っておいてね」
「わ、わかりました」
ともあれ、淳をこの店へ連れてくる段取りはできた。
そうして迎えた土曜日。昼に落ち合い久々にランチを楽しむ。会話は最近の仕事のこととか、そんな他愛のない内容である。
「へぇ、柊さんのところにそんな元気な女性が入社するかもしれないんですね」
「あぁ、これは楽しみだよ。きっと営業部に活気が出てくるだろう。さて、そろそろ行こうか」
時計を見ると3時40分。ここからカフェ・シェリーまでは歩いて十分程度。余裕を見て丁度いいくらいか。
「それで、どんなお店に連れて行ってくれるんですか?」
「喫茶店なんだけどね。ここのお店で出されるコーヒーが格別なんだよ」
魔法のコーヒーのことはまだ黙っておこうと思った柊。
「どおりで、さっきのお店でコーヒーを頼まないと思った」
〜おしらせ〜
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