まずは目先の仕事、岩下さんの獲得から手を付けるとしよう。柊は早速岩下に連絡を入れようとした。ちょうどそのとき、岩下から電話が。ナイスタイミング、柊はチャンスととらえた。
「柊さん、こんにちは。先日のお話のことなのですが」
先日売り込みに来た商品の件なのだろう。どうせなら社内じゃなく、カフェ・シェリーに行ってみるとおもしろいかもしれない。彼女の願望もわかるだろうし。
「岩下さん、ちょっとおもしろい喫茶店があるので今回はそこでお会いしませんか?」
「わかりました。場所はどちらですか?」
よし、これはいけそうだ。柊は直感的にそう思った。
「ちょっとわかりにくいのでメールで場所を連絡しました」
これで彼女にアポは取れた。あとはうまくこちらに引き込むことができるか、だ。これに対しては勝算がある。なにしろ岩下が務めている会社、先代の社長のときはホワイト企業代表と言ってもいいくらいの処遇だったのだが、三代目に変わってからは一気にブラック企業に落ちている。岩下が不満を持っていないわけがない。
早速カフェ・シェリーへと足を運ぶ。
カラン・コロン・カラン
店に入ると、あのコーヒーの香りに包まれた異空間を感じる。いい店だ。
〜おしらせ〜
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