見ると、すでに岩下はお店に到着していた。
「こんにちは、遅れましてすいません」
「いえ、私のほうが早く着いたもので」
「あ、マスター、シェリー・ブレンドを二つお願いします」
「かしこまりました」
早速コーヒーを注文し、柊は岩下と同じテーブルについた。
「早速なんですけど岩下さん、今日はあなたに検討していただきたいお願いをもってきました」
すぐに本題に入る柊。岩下は自社製品を説明しようと資料を準備している最中だった。
「えっ、なんでしょうか?」
「御社の陥っている実情、これは私達も把握しております。正直に言ってあの新しい社長のやり方はどうかと思っています、岩下さんも今大変困ってらっしゃることでしょう」
その言葉に岩下は首を縦に振った。よし、チャンスだ。柊はそう感じた。
「そこで岩下さん、ぜひ我社に来てくれませんか?」
「えっ!?」
「つまり、今日はあなたをスカウトにきたのです。岩下さんの実績は私達もとても評価しています。今の会社にいるのはもったいない。そう思っているのです」
岩下の表情が変わった。ここからは柊のターン。どうして岩下を欲しがっているのかを説明する。すると彼女の表情がどんどん緩んでいくのがわかる。
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/