「何を思ったんだ?」
「柊、いっそのことカミングアウトしてはどうだ?」
「カミングアウトって、自分が同性愛者だって公表しろってことか!?」
喜林の提案に柊は動揺してしまった。こういうことをわざわざ人に言うなんて。だが喜林は冷やかしなどではなく、真面目な顔でこう言う。
「わざわざ記者会見のような形を取れってわけじゃない。もし女性から告白とかされたときにそう言えばいい。それに、淳くんと一緒にいるところを見られたりしたときも、堂々と自分の彼氏だって伝えればいい。柊、お前にはもっと堂々と生きてほしいんだ」
喜林の言葉には真剣さが伝わってきた。
「わかった。とはいっても淳くんともこのことをきちんと話し合ってからにさせてくれ。私の一方的な思いを淳くんに押し付けるわけにはいかないから」
「もちろん、そうしてくれ。あ、それと朗報だ。例の岩下さんを引き抜く件、社長からオーケーをもらった。早速彼女の獲得に動いてくれということだ。これ、お前も手伝ってくれるよな」
「もちろん、自分が言いだしたことだからな。じゃぁ、早速彼女にアプローチをかけてみるよ」
「よろしく頼む」
こうして柊の中では2つのプロジェクトが動き出した。
〜おしらせ〜
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