ここで道房は、あえて大箱に小声で耳打ちをした。別に周りに聞かれてはいけないような人はいないのに、である。だがこのこそこそ話が大箱の心に火をつけた。
「それ、おもしろい。ぜひやりましょう!」
そうして大箱は道房のスライドづくりを行うこととなった。今回、スライドづくりだけではなくオンラインセミナーの模様を録画し、それを編集して後日オンライン教材として提供する素材にすることにもなった。そのための動画編集を大箱が担当する。
久々に腕が鳴る仕事だということで、大箱は張り切ってわずか二日でスライドを完成させた。そして二人は再びカフェ・シェリーで落ち合うことに。
「こんな感じです。あとはこれを元に唐沢さんでしたっけ、その人からオンラインセミナーの指導を受けるといいですよ」
「すばらしい!予想以上の出来です。ありがとうございます。よかったら大箱さんも唐沢さんに会ってみませんか?」
「えっ、いいんですか?」
「そう思って唐沢さんもここに呼んでいます。多分そろそろ来るんじゃないかと」
その会話をそばで聞いていたのりこは、ひきつった笑いをしていた。
カラン・コロン・カラン
「のりちゃん、元気してた?」
入ってくるなり響く声。
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/