大箱のその言葉に、隣の男性は驚きの表情を浮かべた。
このあと二人は自己紹介。男性は道房といい、営業の仕事をしていたが自分の傲慢さが原因で会社を去ることになってしまったとのこと。そんな道房も出会いがあり、営業セミナーを開く運びとなった。しかし、そのためのスライドづくりを宿題に出されて困っている状況だった。
道房は会社を辞めたばかりでお金がないとのこと。ここで大箱は一つのアイデアが浮かんだ。
「成果報酬にしませんか?」
「成果報酬?」
「はい、私のスライド資料で道房さんが獲得した金額の10%をいただきたいんです」
「えっ、10%ですか?」
大箱としては10%というのはそれほど高くはない計算だと思っている。道房は一瞬考えたそこで出した結論がこれだ。
「わかりました。それでお願いできますか?」
これで交渉成立。この後二人は早速その内容の打ち合わせに入った。マスターのはからいでちょうど窓際の席が空いたのでそちらに移動。気がつけば昼過ぎまで二人はスライドの内容とイメージを打ち合わせていた。
道房がふと壁の時計を見る。
「あれっ、もうこんな時間なんだ。驚いたな」
大箱もその言葉で、ようやく今の時間に気づいたようだ。
〜おしらせ〜
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