隣の男性はシェリー・ブレンドを飲んでしばらく黙り込んでいた。が、突然大箱の方に顔を向けた。大箱は慌てて軽く会釈をする。その様子を見ていたマスターがその男性に声をかけた。
「どんな味がしたんですか?」
それに対して、なぜか男性は大箱に向かってこんな質問をしてきた。
「あ、えっとですね、その前に。以前どこかでお会いしたことありました?」
「いえ、多分初めてです」
大箱はそう答える。
「そうですよね。でも、どうして隣の人なんだろう?」
ここで大箱は思い切ってその男性にこう尋ねてみた。
「先程からのマスターとのお話、耳に入っていましたけど。今、オンライン講座のためのスライドを作ることでお悩みのようですよね」
「はい、そうなんです。それで困って魔法のコーヒーの力を借りようと思って今日はやってきたんです。そうしたら、飲んだ瞬間に『隣だ』って声が聞こえた気がして。それでふとあなたの方を向いてしまったんです」
なんと、シェリー・ブレンドが大箱とこの男性を結びつけてくれたのだ。
「なるほど、そうでしたか。まさか、人との出会いってこんなふうに生まれるとは。ひょっとしたらあなたのその悩み、私が解決できるかもしれません」
〜おしらせ〜
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