「えぇ、かまいませんよ。このお店、満席になるなんてことあまりありませんし。コーヒー一杯で開店から閉店までいらっしゃっても問題ありません。むしろ、それで私の話し相手をしてくれるとうれしいくらいですよ」
マスターはニコリと笑ってそう答えた。
「じゃぁ、明日から早速やってみたいと思います。いやぁ、偶然とはいえこのお店に立ち寄って良かったです。ありがとうございます」
「こちらこそ。今日はもうお帰りですか?」
「えっ?」
「いやぁ、もしお時間があるのであれば、今日からでも出会い作戦を始めてみてはいかがですか?」
「お邪魔じゃないですか?」
「とんでもない、遠慮はいりませんよ。ひょっとしたらこの後、そういうお客様がいらっしゃるかもしれませんしね」
「私は独り身だし、仕事も今はないし。ではお言葉に甘えて早速待ち伏せの出会い作戦を開始させていただきます」
大箱はここであらためて自分のことを自己紹介した。今までやってきた仕事、どんな子供時代を過ごしたか、趣味はなんなのか、などなど。マスターも、そして時々のりこも会話に混じってカフェ・シェリーでの時間を過ごしていった。
「今日は残念ながらそういったお客様はいなかったですね」
〜おしらせ〜
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