「今はお客さんになりそうな人はいないみたいですね」
今、カフェ・シェリーにいるのは窓際の席に女性が二人、これはどうやら主婦のお友達同士のようだ。真ん中の丸テーブル席には学生と思われるカップル。なにやらテキストのようなものを開いて勉強中である。
「確かに、今はいないでしょう。でも大丈夫ですよ。このお店にはさまざまなキャリアをお持ちの方がいらっしゃいますから。先日も常連のコンサルタントの方とお客様を引き合わせることができて、早速活動を始めたようですし」
マスターの言葉で大箱は前向きな気持になれた。きっとこのお店で自分もお客様になりそうな方と出会えるに違いない。
「マスター、このお店は何時からやっているんですか?」
「朝は7時半から開店しています。モーニングを食べに来るお客様も多いですよ」
「モーニングってどんなのを出しているんですか?」
「日替わりで中身が変わるサンドイッチのセットです。コーヒーはシェリー・ブレンドではなくレギュラーコーヒーになりますが」
大箱はここで考えた。
「マスター、ご相談なんですが、開店してからずっとここにいるっていうのはできますか?つまり、誰かと出会うまでってことなんですけど」
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/