「お客様を見つける、か。それこそどうすればいいのか。私の場合、すでに知り合いになっている客様に対してさらに売り込みをかけようとするのは得意なんですけど。新規のお客様とどうやれば出会えるのか、そこはやったことがなくて」
「確かに、新規顧客をこちらから見つけるのは難しそうですね」
「マスターはどうやってお店のお客さんを集めているんですか?」
「私の場合、特にこれといったことはやっていません。ありがたいことに紹介でやってきたりすることが多いかな。たまに偶然立ち寄ってみたという方もいますよ。お客様みたいに」
うぅん、このお店のやり方はあまり参考にならないか。そう思った大箱は無意識にシェリー・ブレンドに手を伸ばして口に運んでいた。
このとき、このカフェ・シェリーの光景が強く頭の中に飛び込んできた。
「えっ、どういうことだ?」
「何か思い浮かびましたか?」
「いやぁ、なぜだかこのお店のこの光景が頭の中に飛び込んできたんです。これってどういう意味なんでしょうか?」
「うぅん、ひょっとして、ですけど。ここをお客様の出会いの場としてみてはどうか、ということじゃないでしょうか」
「私の出会いの場?」
大箱はお店を見渡した。
〜おしらせ〜
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