「シェリー・ブレンドを飲んで、なにか頭に思い浮かんだことはありますか?」
「えっ、あ、そうですね。なんかこのコーヒー、心を刺激するんです。そこで思い浮かんだのは、私がやってきた仕事のことです。私は人の心を刺激するようなプレゼンテーションの資料作りなんかをやってきました。でも…」
「でも?」
「はい、さきほどお話したとおり、会社を辞めさせられて。でも、私がやってきた仕事をもう一度やりたい。いや、この能力をさらに伸ばして人の役に立ちたい。これが思い浮かんだことです」
「なるほど。それがお客様の望んだ答えなのですね」
マスターからそう言われて、あらためて自分が何を望んでいるのか、どんな仕事をしたいのかを自覚した大箱。そこで目が覚める思いがした。
「そうか、食べていかなきゃいけないから仕事をする、ではないんだ。自分が何をしたいのか。それを仕事にする方がいいに決まっている。でも、この自分のやりたいことで本当にメシが食えるんだろうか」
「私はできると思いますよ。そういった心を動かすプレゼンテーション資料を求めているビジネスマンは多いと思います。あとはどうやってお客様を見つけるか。それさえうまくいけば」
〜おしらせ〜
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