「はい、私のスライド資料で道房さんが獲得した金額の10%をいただきたいんです」
「えっ、10%ですか?」
道房は少し考えてみた。仮に10万円なら1万円、というところか。安くはないが高いわけでもない。いや、むしろ自分の時間を割くくらいならそのくらいの金額を支払ったほうがいい。その分、自分のやるべきことで稼げばいいんだから。
「わかりました。それでお願いできますか?」
「ではこれで交渉成立、ということで。よろしくおねがいします」
大箱は右手を差し出し握手を求めた。道房もそれに応えるように右手を差し出し、お互いに握手を交わす。
「よかったですね。これでシェリー・ブレンドから教えてもらった答のとおりになりましたね」
マスターがほほえみながらそう言う。
「はい、おかげさまで」
「えっ、どういうことですか?」
マスターと大箱の会話を聞いて、何が起こったのか知りたくなった道房。
「実は、今のような交渉をしなさいとシェリー・ブレンドが教えてくれたんです。私、こういった交渉事が苦手でして。そのせいで会社から理不尽な要求を突きつけられて辞めることになってしまったんです」
「そうだったんですね。オレは交渉事は得意だけどなぁ」
〜おしらせ〜
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