Cafe Shelly next 第18話 雲をつかむ その26 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「そうですよね。でも、どうして隣の人なんだろう?」

 

 道房は首を傾げている。

 

「先程からのマスターとのお話、耳に入っていましたけど。今、オンライン講座のためのスライドを作ることでお悩みのようですよね」

 

 隣の男性はどうやら道房とマスターの会話を聞いていたようだ。

 

「はい、そうなんです。それで困って魔法のコーヒーの力を借りようと思って今日はやってきたんです。そうしたら、飲んだ瞬間に『隣だ』って声が聞こえた気がして。それでふとあなたの方を向いてしまったんです」

 

「なるほど、そうでしたか。まさか、人との出会いってこんなふうに生まれるとは。ひょっとしたらあなたのその悩み、私が解決できるかもしれません」

 

「えっ、あなたが?」

 

 道房は突然のことなので驚いてしまった。

 

「私、大箱といいます。先月までお菓子の卸売販売の会社に勤めていたんですけど、訳あって仕事を辞めて。それで次の仕事を探している最中なんです」

 

「そうなんですね。オレは道房といいます。オレもつい先日まで営業の仕事をしていたんですけど会社を辞めることになってしまって。それで次を考えていた時にここの魔法のコーヒーを飲んで、営業のセミナーをやることを決めたんです」

 

〜おしらせ〜
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