「それは大変ですね。私はそういうのは作ったことがないですけれど、やっぱりセンスっていうものが必要なんでしょうね」
「そこなんですよ。実はオレ、そういう資料作りは今まで後輩にまかせていたから。だから作り方もよくわからないし、センスなんてないんですよね。唐沢さんからはどんな道筋で作ればいいのかっていうのは教えてもらったんですけど」
「だからシェリー・ブレンドを飲んで、どうすればいいのかのヒントを得たいと思ったんですね」
「そうなんですよ」
そんな会話をマスターと交わしているうちに、シェリー・ブレンドが淹れ終わったようだ。
「はい、シェリー・ブレンドです。どんなお味がしたのか、ぜひ教えて下さい」
道房はコクリと頷き、早速シェリー・ブレンドを口にする。さて、どんな味がしたのか?
このとき、道房は突然隣に顔を向けた。すると、その隣の中年男性と目が合ってしまった。突然のことだったので、二人とも思わず軽い会釈で挨拶を交わす。
その様子を不思議そうに眺めるマスター。
「どんな味がしたんですか?」
「あ、えっとですね、その前に。以前どこかでお会いしたことありました?」
道房は隣の男性にそう声をかける。
「いえ、多分初めてです」
〜おしらせ〜
Cafe Shelly第1部、全120話のバックナンバーを一気に読むことができます
https://ncode.syosetu.com/s5786f/