「てなことで、まずはスライドづくりからスタートだな。どんな順番でどんな感じでつくればいいのか、その道筋ってのもあるからそいつを教えるわ」
こうして急遽、唐沢による講師になるためのレクチャーが始まってしまった。道房は唐沢の言うことを熱心に聞き、メモを取り、ときには質問を交えて頭の中に叩き入れるようにした。
「じゃぁ早速家に帰って資料作りから始めます。今日はありがとうございました」
「おう、できあがったら見せてくれよな。いいものをつくっていこうぜ!」
「はい、がんばります!」
道房はガッツポーズをして唐沢の期待に応えようとした。だが、いざ家路につくと不安が襲ってきた。本当に自分にあんな資料が作れるんだろうか。そもそもそういったのを作ったことがないのだから。
誰か作ってくれる人っていないか。会社にいた頃は後輩に命令すれば作ってくれていた。けれど今は自分しかいない。唐沢の心のなかでは、カフェ・シェリーで味わったあの雲をつかむ感覚が蘇ってきた。
そこでふと思った。そうだ、カフェ・シェリーだ。あの魔法のコーヒーを飲むことでヒントをもらえばいいんだ。
今日はもう遅い。明日またカフェ・シェリーに行ってみよう。
〜おしらせ〜
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